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大阪・泉州地域の自動車教習所、「高石自動車スクール」は1960年創業の歴史ある教習所です。少子化や若者の車離れ・免許離れを背景に業界全体が縮小傾向にあるなか、同社は2010年から組織改革に着手し、売上増収を実現。しかし、それ以前は組織力の低下などさまざまな課題を抱えていました。その改革の契機となったのが、株式会社Kimete(当時:株式会社武蔵野)の人の輝き方発見ツール(アセスメントツール)「マルコポーロ」と総合人材診断サービス「ミルメ」の導入です。今回は導入前の課題から具体的な成果、組織づくりへの活用について、代表取締役社長の藤井氏にお話を伺いました。
| 導入前の課題 | 即戦力重視の中途採用に偏り、人材の適性把握が不十分で社風とのミスマッチや不満が発生。若手人材も不足し、顧客減少と相まって経営への危機感が高まっていた。 |
| 導入の決め手 | 新卒採用への転換にともない、適性を客観的に判断できる仕組みが必要だった。数値で人材特性を可視化でき、採用だけでなく組織づくりにも活用できる点が決め手になった。 |
| 導入の成果 | 適性の可視化により採用精度が向上。また、データに基づく配置で組織が活性化した。安定した採用と組織力向上が業績の継続的な成長を支えている。 |
即戦力採用の偏重が組織の年齢層の偏りと連携力低下を招いていた

――貴社の社員構成は20代・30代を合わせると5割以上を占めるそうですね。
藤井氏:はい。これは自動車教習所業界ではかなり異例なんですよ。というのも、この業界では「有資格者」と呼ばれる教習指導の資格を持つ人材を採用することがほとんどで、他の教習所で経験を積んだ方を中途採用し、即戦力として迎えるのが一般的なんです。当社も以前は同様に中途採用しか行っておらず、それもあって指導員の年齢層は高く、平均年齢が年々上がっていくような状態でした。
――その結果、会社の雰囲気や経営にどのような影響がありましたか?
藤井氏:今から16年ほど前は採用も即戦力を前提としていたため面接も簡易になりがちで、当社の方針や社風と合わない人材を採用してしまうケースもありました。その結果トラブルも多く、離職率自体はそれほど高くないものの、不満を抱える社員が多く、社内のコミュニケーションもあまり良い状態ではありませんでした。また、明確なルールが整っていなかったこともあり、各自が好きなように動く組織になっていましたね。ちょうどそのころはお客様も減少傾向にあり、少子化の影響もあって、このままでは会社が成り立たなくなるという危機感がありました。そこでまずは、組織の軸となる経営企画書を作りたいと考え、KIMETEさんへご相談したのが、お付き合いの始まりです。
難しいとされてきた新卒採用に踏み出した理由とは

――そこから組織に変化が生まれていったのですね。具体的にはどのような取り組みをされたのでしょうか。
藤井氏:経営企画書の策定に加え、経営計画発表会の実施や、武蔵野さんの環境整備プログラムを取り入れるなど、14〜15年ほど継続して取り組んできました。そのなかで社員の意識や行動が少しずつ変わり、組織力が高まっていったと感じています。
――そして2016年からは新卒採用に力を入れられたそうですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。
藤井氏:新卒採用に踏み切ったきっかけは「このまま中途採用ばかり続けていても会社は変わらない。新卒採用をやるべきだ」という助言を受けたことです。当時は先述の理由から教習所業界で新卒採用はほとんど行われておらず、「それは難しいのでは」というのが正直な第一印象でした。
――教習所業界での新卒採用はどのくらい珍しいのでしょうか?
藤井氏:かなり珍しいですね。大阪には40社ほどの教習所がありますが、毎年新卒採用を行っているのはごく少数で、当社はそのうちの1社です。新卒は育成に時間がかかり、その間も人件費が発生するため、これまで敬遠されてきたというのが実情です。しかし「このままでは会社がもたないのではないか」という危機感に加え、「やってみればうまくいくかもしれない」という直感もありました。また、KIMETEさんの取り組みや若手社員の方々を見て、若い人材の必要性も強く感じていたことも後押しになり、最終的に踏み切ることにしたんです。
マルコポーロとミルメを活用。可視化された適性が採用精度を大きく高めた

――新卒採用をスタートするにあたり、マルコポーロとミルメを導入されたのですね。
藤井氏:2016年の初年度はミルメの前身である人材・組織の特性分析ツールを導入し、その後、2022年にマルコポーロ、2023年にミルメを導入しました。ミルメでは、人材の情報処理能力や性格傾向を測定でき、マルコポーロではより詳細な性格特性やメンタル傾向を測定することができます。この2つのツールを組み合わせて活用するようになってから、人材の適性をかなり高い精度で判断できるようになりましたね。当社には人事部がないため、両ツールの数値データをもとにして合否を判断し、最終面接は確認の場として位置付けています。もともと面接の経験が多くなかったこともあり、これらのツールが採用面で大いに役立っています。
――会社説明会でも学生に対して両ツールを活用されているそうですね。
藤井氏:説明会では、母集団の拡大というねらいも兼ねて「自己分析ツールを無料で受けられる」と案内しています。当社の場合、まず「運転が好きか」「教えることが好きか」といった適性に加え、「地元・泉州地域の出身であること」も重視しているんです。道を覚える必要もありますし、だんじりをはじめとしたこの地域特有の気質や文化も理解してもらう必要があるので(笑)。そうなると、採用条件が限られるので、応募者数を増やす目的で活用しています。
――導入の効果はいかがですか?
藤井氏:年間で2〜3人、多いときで4〜5人の採用につながっています。適性の可視化により、ミスマッチの大きい層を事前に見極められるようになりました。離職率は必ずしもゼロではありませんが、教習所業界全体でみると定着率は比較的高いと感じています。
マルコポーロとミルメを活用し、組織変革を加速

――貴社では採用のシーンだけでなく、マルコポーロとミルメを活用することで、会社組織の変革にも大きな成果を上げていると伺っています。
藤井氏:マルコポーロに加え、特にミルメを活用したことで会社は大きく変わりました。まず、ミルメの特性をお話すると、主に3つの要素で構成されています。1つ目が処理能力のスピード。作業の速さやミスの傾向、ストレス耐性、パフォーマンスなどがわかります。2つ目は現在の性格傾向です。例えば、真面目だが柔軟性に欠けるタイプや、気づきはあるが関心のある業務に優先的に取り組む傾向があるタイプなど、人との関わり方や指導性などがみえます。3つ目がモチベーションです。会社や社長に対する愛着、報酬や休暇への関心、楽しさを重視するかどうか、職場の人間関係がうまくいっているかどうかなど、現在の状態を可視化できます。私自身、この3年で約2,000人以上のデータを見てきました。そのなかで傾向もわかるようになり、それを組織づくりに活かしたんですよ。
――かなり使いこなされているんですね!実際にはどのように活用されているのでしょうか?
藤井氏:全社員に毎年マルコポーロとミルメを受けてもらい、そのデータをもとに分析し、配置やチーム編成を行っています。処理能力や性格、そして年齢なども踏まえ、「誰をどこに配置するか」「誰と組ませるか」を徹底して判断しています。中でも大きかったのは、同年代でチームを編成したことです。以前は世代を横断したチーム編成をしていましたが、世代間での価値観や行動様式の違いがお互いの負担やストレスになっていることがデータからわかり、その点を見直したんです。結果として、ベテラン層は話や価値観の合う仲間と一緒に働けることで活気が増し、一方で若手層は年齢の近い先輩が指導役となることで、教えやすく学びやすい体制が整いました。新卒2〜3年目でリーダーを任せることもありますが、期待以上の力を発揮しています。
適性に基づく適材適所の配置で、組織全体が活性化

――組織の変化により、社員の意識にも変化はありましたか?
藤井氏:新卒採用を始めた当初は一部で反発もあったかもしれませんが、特性に合わせた組織編成に変えてからは不満はほとんどみられなくなりました。かつては不満も多く、働く意欲がやや低下していたベテラン層も、今ではむしろ一番元気で、若い世代よりも活気があるほどです(笑)。ミルメとマルコポーロによって人材と組織の状態を正確に把握し、適材適所の配置を徹底できたことが大きいと感じています。
マルコポーロとミルメの併用で、採用と組織の成果を最大化する
――同じような課題を抱える企業にマルコポーロやミルメをご推薦いただくとしたら、どの点を特に勧めたいとお考えですか?
藤井氏:マルコポーロ、ミルメとも最適な人材採用や人材配置に有効ですが、実際にはマルコポーロのみを導入している企業が多いと聞いています。だからこそ、私としてはぜひミルメをもっと活用してほしいですね。これまでを振り返っても、性格面のみならず情報処理能力等も診断できるミルメを併用していたからこそ判断できたケースは多く、両方を組み合わせてこそ成果につながると感じています。
――今後の活用について教えてください。
藤井氏:最終的な目的はやはり業績向上です。KIMETEさんの指導もあり、2009年から2019年までの10年間で、お客様数は右肩上がりに増え、売り上げも145%増となりました。直近はそこまで大きな伸びではないものの、5〜10%の成長を維持しています。少子高齢化の影響で教習生数がこの30年で半減するという厳しい状況のなかでも、当社は大きく落ち込むこともなく推移しており、この点には一定の手応えを感じています。今後も組織力を高めるために、マルコポーロとミルメを活用し、適材適所の配置を徹底していきたいと考えています。