新卒の半数が退職した会社が、採用基準を確立。採用の「入口」のみならず、「社員を輝かせる」ツールへ


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1965年創業、静岡を拠点に地域に密着し、清掃から警備、マンション管理まで建物の総合管理を手がけるビルメンテナンス会社であるヤマダユニア株式会社。50年以上にわたり実績を積み重ねる一方、今後のさらなる発展を目指すなかで、自社に適した人材の採用や社員一人ひとりの力を活かすためのマネジメントに課題を抱えていました。そこで、従来使用していた特性診断ツールに代わり、より精度の高いツールとして導入したのが、株式会社Kimeteの人の輝き方発見ツール(アセスメントツール)「マルコポーロ」です。今回は導入前の課題から具体的な成果、活用方法やマルコポーロのコンサルティングサービスについて代表取締役の山田氏にお話を伺いました。

導入前の課題 明確な採用基準がなく、担当者の感覚に頼った採用になりがちだった。会社側が求める人材像とのミスマッチから、入社数年ほどで退職する新卒社員が多かったことも課題に。
導入の決め手 従来の特性診断ツールと比較して、より精度が高く、自社が求める人物像を的確に言語化でき、定量的に見極められる点に魅力を感じ導入。
導入の成果 自社の採用基準が明確になり、診断結果をもとに人材を見極められるように。新卒社員の定着率も向上しただけでなく、社員の育成やマネジメントにも活用するなど、人材に関する幅広い課題に役立てている。

感覚に頼っていた採用から、自社基準を活かした採用へ

――マルコポーロを導入されたきっかけについて教えてください。

山田氏:当社は1965年創業、静岡を拠点に地域に密着して事業を展開するビルメンテナンス会社で、私が3代目です。前社長が武蔵野さんのセミナーへ参加し、経営サポート会員になりました。マルコポーロを導入する前から当社では採用時に別の特性診断ツールを使っていましたが、診断結果として数値は出るものの、「自社にどのような人材がマッチするのか」という明確な基準がなく、「何を基準に採用を判断するのか」が曖昧でした。より精度の高いツールはないかと考えていたところ、武蔵野さんからマルコポーロをご紹介いただき、2023年に導入しました。

――当時、採用面ではどのような課題があったのでしょうか。

山田氏:当社はもともと、新卒を採用するのは数年に一度でした。それが、武蔵野さんのセミナーを通して人材戦略の重要性を学び、新卒採用に力を入れるようになりました。ただ、人材を見極めるためのツールを十分に活用できておらず、どうしても採用担当者の感覚に頼っていた部分がありました。そのため、当時採用した新卒社員は、半分くらいが退職している状況でした。

――採用後の定着にも課題があったのですね。

山田氏:入社1〜2年は仕事を覚える段階ですが、3年目くらいになると仕事への理解が深まり、自分なりの考えを持つようになります。そのタイミングで本人の考えと会社の現状や方向性との間にミスマッチが生じ、退職につながるケースが多くありました。これから戦力として活躍してほしいという時期の退職は、会社にとって大きな痛手でした。

――マルコポーロを導入して、採用は変わりましたか。

山田氏:大きいのは自社の採用基準がつくれたことです。「こういう人材がほしい」「こういう波形を持った方を採用したい」ということに対して、それまでの定性的な情報だけでなく、マルコポーロによる定量的な情報も加えて判断できるようになり、選考もしやすくなりました。一時期、内定辞退が続いたことがあったのですが、採用担当者もマルコポーロを使って内定者の特性を見ることで「次にどんなアクションを取ったら良いのか」「どんな話をしたら良いのか」といったことも少しずつわかるようになってきたと聞いています。まだ導入して数年なので、活用の幅はまだまだ広げられると考えていますが、徐々に成功事例は増えていますし、私たちが求める人材を採用できる流れにはなってきていると感じています。

採用だけでなく、上司と部下とのコミュニケーションにも活用

――Kimeteのコンサルティングサービスも受けられたと聞いていますが、どのような理由からですか。

山田氏:導入した当初は採用面での活用が目的でしたが、ちょうどそのころ、社内では世代交代が進み、新たに幹部になる社員が増えていました。その中には部下とのコミュニケーションに難しさを感じている社員もいたのです。せっかくマルコポーロを導入したのだから、もっと活用して、社員同士のコミュニケーションにも役立てていきたい。そう考えていたときにコンサルティングサービスのご案内をいただきました。各社の人材や組織に関する課題に合わせてプログラムをカスタマイズしてもらえるという点に魅力を感じ、受講することにしました。

――具体的にはどのようなプログラムだったのでしょうか。

山田氏:訪問型のコンサルティングサービスとして、2025年の秋ごろから4〜5か月にわたって当社向けにカスタマイズしたプログラムを実施していただきました。採用担当者と当時の所属長クラスの社員が参加しています。最初はマルコポーロについての基礎的な知識を学び、その後、診断結果を読み解く練習をしました。最後には上司と部下が面談する際に使う「フィードバックレポート」(上司が自分の性格特性と部下の性格特性のデータを比較し、特性の違いを理解した上で最適な接し方を考えるためのレポート)を実際に作るワークにも取り組みました。

――特に手応えを感じたのはどのような点でしたか。

山田氏:それまでは上司も自分の感覚や経験に頼って部下とコミュニケーションを取っていましたが、マルコポーロを深く学んでレポートを作っていくなかで、「自分は良かれと思って接していたけれど、部下はそうは捉えていなかったかもしれない」といった気づきがありました。受講後の感想として「次に部下と面談するときにはこういうポイントを意識してコミュニケーションを取りたい」という声が多く聞かれました。

――現在、所属長の方々はマルコポーロをどのように活用されていますか。

山田氏:正直にお話しすると、活用度合いについては社員間でまだ差があるのが実状です。ただ、積極的に活用して成果が出た事例もあります。社内のある部署では、チームをまとめる立場になった社員が、マルコポーロでメンバーそれぞれの特性を見ながら話し方や接し方を変えたところ、部下のモチベーションが高まり、仕事に対する姿勢や行動にも実際に変化が見られました。

――一方で、活用を広げていく上での課題はありますか。

山田氏:コンサルティングの際、フィードバックレポートを作成するプロセスは大変有意義な取り組みでしたが、やはり時間はかかります。そこで、AIを使って効率的にマルコポーロのデータを読み解ける「取説パック」も導入しています。ただ一方で、マルコポーロそのものを理解するためには、コンサルティングで学んだように自分の手と目でデータを読み解くステップも大切だと思っています。最初からAIでパッと結果が出てきても、マルコポーロを十分に理解していなければ、「本当にそうなの?」で終わってしまうかもしれない。マルコポーロの理解を深めた上で自分自身でデータを読み解くからこそ、気づきが生まれると思います。しかし、所属長クラスはいろいろな業務を抱えているので、毎回そこまで時間をかけられないのも現実です。そのため、マルコポーロへの理解を深めるプロセスは大切にしながら、AIなどを活用して効率化も進め、日常的に使い続けられる形にしていくことが今後の課題だと思っています。

マルコポーロを経営判断にも活用

――御社はもともと社員の定着率が高い会社だそうですね。

山田氏:ここ2年ほどは中間層を中心に年間2〜3人が辞める傾向が続いていますが、それでも離職率でいえば3〜4%くらいだと思います。特に新卒の定着率はここ数年すごく良くなっていて、マルコポーロの効果も大きいのかなと思っています。ただ、定着率が高かったことには明確な理由があり、良い意味でも悪い意味でも「変わらない会社」だったからです。社員全員に一度マルコポーロを受検してもらったのですが、結果を見たところ、社員の多くが「変わらないこと」を望む傾向があり、会社全体としてもそういう風土があったんだなと改めて感じました。

――その会社の在り方がここ数年で変わってきたということでしょうか。

山田氏:そうですね。コロナ禍を経て社会の流れが目まぐるしく変わるなか、私自身「変えるべきところは変えていかなければならない」と考えるようになり、会社の方向性も少しずつ変えてきました。そうすると、変わりたくない方が会社を離れることもあれば、反対に変化を待ちきれずに辞める方もいる。ここ数年の中間層の退職にはその両方のケースがあると考えています。

――社員の特性が見えたことで、会社の方針転換のしかたについても意識は変わりましたか。

山田氏:社員に「変わらないこと」を好む傾向があるとわかったので、方針を変えるにしても、いきなり大きく変えるのではなく、ペースを考えながら計画的に進めなければいけないと思うようになりました。人材採用や社員同士のコミュニケーションだけでなく、「会社をどのようなペースで変えていくのか」という経営判断をする上でもマルコポーロから得られる情報は参考になっています。

採用という「入口」だけでなく、今いる社員を輝かせるツールに

――マルコポーロをどのような企業にすすめたいですか。

山田氏:マルコポーロは人材に関する情報を可視化できるツールなので、まずは「自社に適合する人材をしっかり見極めたい」という企業にはぜひ使っていただきたいです。ただ、採用という「入口」の部分だけではなく、今いる社員をどうしたらもっと輝かせられるのか、社員の力をどう活かしていけば良いのか、そういうことで悩んでいる経営者の方にもおすすめしたいです。

――今後、マルコポーロをどのように活用されていこうとお考えですか。

山田氏:採用で引き続き活用していくのはもちろん、特に今後力を入れたいのが、社員との月次面談です。コンサルティングで学んだことを実際の面談でも活用できればと思っています。採用や配置、上司と部下の関係など、人に関するところにはいろいろなミスマッチがあります。そういうミスマッチをできるだけなくしていく。そして、新しく入社される方だけではなく、現在当社で働いてくれている社員がもっと力を発揮できるようにする。私自身もマルコポーロを「今いる社員を輝かせるためのツール」として、これからもっと活用していきたいと思っています。