ソーシャルリクルーティングを検討しているものの、なかなか踏み出せずに悩んでいる担当者は、多いのではないでしょうか。SNSでは直接、求職者とコミュニケーションが取れるため、効率的に採用活動が行えます。しかし、間違った運用では炎上する可能性があるため、注意が必要です。

そこで本記事では、ソーシャルリクルーティングのメリット・デメリットについて解説します。効果的なSNSの活用方法も紹介します。ぜひ、最後までご覧下さい。

意味|ソーシャルリクルーティングとは

ソーシャルリクルーティングとは、SNSを活用した採用手法のことです。2010年頃からIT企業を中心に新卒採用で導入され始めました。ポテンシャルの高い人材に直接、働きかけることができ、求職者も直接企業と連絡が取れるメリットがあります。

ソーシャルリクルーティングと似た言葉に、ダイレクトリクルーティングがあります。ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者にアプローチする採用プロセスのことです。ダイレクトリクルーティングでは、SNS以外にも求人サイトなどさまざまな媒体を利用して求職者にアプローチします。

一方、ソーシャルリクルーティングはSNSに特化した採用手法です。SNSは無料でアカウントを作成できるため、うまく活用すれば、採用コストを下げられます。

      

ソーシャルリクルーティングに役立つSNSの種類

Facebook

Facebookとは、日記形式のSNSです。実名でアカウントを作成し顔写真や年齢、職業などの詳しいプロフィールを登録し利用します。

総務省の調査によると、日本でのFacebookの利用率は29.9%で、男性の利用者がやや多いです。中でも、30・40代の利用が目立ちます。

参考:総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)とは、140文字程度のテキストや画像、映像を投稿できるSNSです。X(Twitter)の有料プランでは、最大2,000文字の投稿が可能です。詳細なプロフィールを登録しなくても始められるため、匿名性が高く気楽に利用できます。

2023年7月24日にTwitterからXに名称変更しました。総務省の調査によると、日本の利用率は45.3%です。利用率の男女差はあまりなく、20代の利用者が多いSNSです。

参考:総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

Instagram

   

Instagramは、画像や動画が投稿できるSNSです。アカウント作成に実名は必要なく、匿名性が高いSNSです。フォロワー数が多い人の中には、報酬を得て企業のサービスや商品のPRを行う人もいます。

総務省の調査では、日本での利用率は50.1%です。女性の利用者が少し多く、10・20代の利用が目立ちます。

参考:総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

YouTube

YouTubeは、映像や音楽などの投稿を主とする動画共有サービスです。どなたでも無料で登録し利用できます。YouTubeでは事前に収録・編集した動画を配信できる他、配信者と視聴者がリアルタイムに交流できるライブ配信も可能です。

総務省の調査によると、国内での利用率は87.1%で、男女差はほとんどありません。10〜30代の利用率は90%を超え、40・50代も80%を超え、さまざまな世代が利用しています。

参考:総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

LinkedIn

LinkedIn(リンクトイン)は、ビジネスに特化したアメリカ発のSNSです。実名でアカウントを作成し、ビジネス上の相手とのつながりに特化していることが、LinkedInの特徴です。

LinkedInでは、企業でアカウントを作成できます。採用情報・募集要項を掲載でき、ユーザーにスカウトを送ることも可能です。ユーザー数は世界で9億人以上とされています。

FacebookとLinkedInはどちらも実名登録ですが、Facebookはプライベートで利用する傾向にあります。ビジネスに特化したSNSの利用を検討しているなら、LinkedInを始めましょう。

ブログ

ブログはWeblogの略で、Webサイト上にテキストや画像、映像などを投稿し、記録できるサービスです。デザインをカスタマイズでき比較的自由度が高く、個性を存分にアピールできます。コメント機能を利用できるブログがあるため、スカウトしたい求職者への連絡が可能です。

ブログサービスには、有料と無料の2種類があります。有料サービスでは関連記事の追加やSNSの表示などのカスタマイズができ、独自デザインで仕上げることが可能です。また、サービス終了によって記事が消えることがありません。

総務省が2018年に発表した調査報告書によると、ブログを利用したことがある人の割合は34.4%となっています。

参考:総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」

LINE

LINEはコミュニケーションアプリで、日本やインドネシア、タイ、台湾を中心にLINEは利用されています。プライベートなチャットルームで双方向のコミュニケーションがとれるため、ユーザーの囲い込みやファン化に効果を発揮します。

情報発信ツールとして、多くの企業でLINEは利用されています。総務省の調査では日本での利用率は94%で、女性の利用率が少し高いです。10〜50代の利用者は90%を超え、60代でも80%を超えています。

参考:総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

   

重要|ソーシャルリクルーティングのメリット

   

SNSを活用するメリットは、無料で始められるだけではありません。求職者のニーズが把握でき、スキルも確認できます。ソーシャルリクルーティングのメリットを確認して、早速アカウントを作成しましょう。

人材紹介サービスより採用費用を抑えやすい(基本無料)

SNSは無料で利用できるため、採用コストを抑えやすいことが、ソーシャルリクルーティングのメリットです。人材紹介サービスとは、人材を採用したい企業から依頼を受け求人要件に適した人材を紹介する有料の採用支援のことです。

人材紹介サービスは成功報酬型が多く、採用や応募など一定の条件で費用が発生します。例えば中途採用での費用は、採用者年収の30〜40%が相場です。年収500万円の人材で40%の報酬設定の場合、200万円の費用が必要です。

しかし、SNSはアカウントの作成や投稿も無料です。また、求職者からの質問回答や選考スケジュールの調整など、自動化すれば、担当者の負担を軽減できるメリットがあります。

求職者と直接コミュニケーションを取れる

求職者と直接、双方向でのコミュニケーションが取れることが、ソーシャルリクルーティングのメリットです。自社の魅力を深く伝えられ、求職者のニーズを詳しく把握できます。ミスマッチの防止となり、スピーディーな採用活動ができるでしょう。

具体的に求職者とコミュニケーションを取る方法は、SNSの投稿にコメントすることやチャットボットでの自動返答などです。求職者の中にはメールを見ない人もおり、コミュニケーションがスムーズにできない場合があるため、SNSの活用が重要です。

投稿内容などから各求職者の能力を把握できる

エントリーシートや履歴書、面接だけでは見えない人柄をSNSの投稿で知ることができるため、求職者のポテンシャルを見極めやすくなります。SNSの投稿を通して、生活習慣や趣味嗜好、物事の考え方など、求職者の人間性に関する情報を読みとれます。

また、X(旧Twitter)やブログではライティングスキルの確認が可能です。スキルが高い文章は結論や根拠が明確になっており、論理的で分かりやすいでしょう。論理的な文章力は、お客様への提案や報告書などで役立ちます。

企業情報の発信など利用時の自由度が高い

SNSでは職場の雰囲気が感じられる画像や動画など、求職者に親近感を持ってもらえるコンテンツを投稿できます。そのため、企業ホームページや求人サイトよりも自由度が高いと言えるでしょう。

社員の人柄や職場の雰囲気を発信することで自社のファンが増えれば、採用ブランディングにつながります。自社の経営理念やビジョンに共感する求職者が増えれば、ミスマッチを減らせるでしょう。

   

ソーシャルリクルーティングのデメリット

   

無料で活用できるSNSですが、デメリットも存在します。特に炎上してしまうと、大きな損害が発生してしまうケースもあります。デメリットを理解した上でSNSの活用を行いましょう。

炎上する可能性がある

炎上とは否定的なコメントが集中して投稿されることで、火が勢いよく燃えることの比喩として使われます。炎上する原因には、以下のようなものがあります。

  • 不適切な内容
  • 差別と受け取られる表現
  • 商品・サービスへのクレーム
  • 虚偽の投稿
  • 一般常識からかけ離れた内容

不適切な内容や配慮に欠けた投稿をしてしまうと、企業イメージの低下につながるでしょう。お客様からの信頼を失い、売り上げの低下や株価の暴落などが発生する場合があります。

定期的に情報を発信しないと注目されづらい

SNSでは日々、多くの投稿が行われるため、定期的に発信しないと、求職者に興味を持ってもらえない可能性があります。定期的に投稿しないと、採用意欲が薄いと求職者が感じる場合があります。

定期的な投稿をするには、会社や部署全体でSNS運用を行うことが重要です。定期的に投稿するには、予約投稿がおすすめです。投稿内容が決まっていれば、予約投稿で定期的な投稿ができるでしょう。

   

活用方法|ソーシャルリクルーティングの効果的な手法

SNSを定期的に更新するには担当者の手間が必要であるため、効果的に運用することが重要です。ここでは、ターゲットの選定や運用方法など、効果的にSNSを活用する手法について解説します。採用担当者は、ぜひ参考にして下さい。

ターゲットをふまえてSNSを選ぶ

   

自社が求める求職者が利用するSNSを活用しないとミスマッチが起こり得るため、欲しい人材が利用するSNSを選びましょう。SNSの利用者層は、以下の通りです。

  • Facebook:30〜40代
  • X(旧Twitter):20代
  • Instagram:10〜20代

Facebookでは30〜40代の男性がメイン利用層であるため、即戦力となる転職希望者を探す場合におすすめです。X(旧Twitter)では、新卒や第二新卒をターゲットにする際に活用するのが良いでしょう。新卒や第二新卒でも女性を採用したい場合には、Instagramを利用することをおすすめします。

運用方法を決めておく

SNSの活用を始める前に運用方法を決めておくと、炎上した場合にも素早く対応できます。SNSの運用方法として、以下のようなことを決めることをおすすめします。

  • 発信スタイル
  • 投稿内容
  • 投稿頻度

発信スタイルは企業名アカウントで硬く行うのか、求職者に寄り添い担当者の実名アカウントで緩く行うのかを決めておきましょう。炎上を防ぐために、投稿内容を複数人で確認することが大切です。

更新頻度を決めておくことは、定期的な投稿を行う上で重要です。スケジュールが決まっていれば、投稿内容の準備も進めやすくなります。

動画・自社サイトの記事を活用する

自社のことを魅力的に見せ親近感を持ってもらうために、動画や記事を併用するとソーシャルリクルーティングを効果的にします。動画は、視覚的に魅力を伝えるために効果的な手法です。

数値で表現できない定性的な内容を的確に伝えられるため、動画は効果が高いと言えます。社内の雰囲気や社員の人柄などを動画で伝えれば、ミスマッチが減らせるでしょう。

また記事は、短時間で魅力を伝えられます。気になる部分だけ読める記事は、企業情報を得るために効率的なインプット方法です。

セミナーなど求職者のニーズに合う企画を考える

求職者が求める投稿をしないと、自社に応募者が集まらない可能性があるため、求職者のニーズに合う内容を発信することが重要です。求職者のニーズを調べるには、会社説明会やセミナーを開催した後にSNSで検索すれば、来場者の生の声や反応を集められます。

SNSのエンゲージメントやクリック数などで反応を確認し、求職者のニーズを探ることが可能です。また、競合他社の反応が良い投稿でも求職者のニーズをつかめます。効果的にSNSを活用するには、求職者のニーズをつかみましょう。

本などから成功事例を確認する

採用課題の改善へのヒントになるため、成功事例を学ぶことは効果的なSNSの活用となります。成功事例を確認することのメリットは、試行錯誤する時間の削減になることです。成功事例を学ぶには、手に入りやすいWebサイトの記事や書籍を参考にするのが良いでしょう。

成功事例から学ぶ際に大切なことは、他社の事例をそのまま自社に当てはめないことです。他社と自社では事業内容や経営理念など、異なる点がたくさんあります。他社はなぜ成功したのかを分析して、自社に当てはまる部分だけを採用することが重要です。

代行サービスを活用する

自分の業務に集中でき、プロである代行サービスに依頼することで効果が期待できます。ソーシャルリクルーティングの代行サービスとは、企業の代わりにSNS運用を行って求人募集を行い、応募者を集めるサービスです。

自社の強みや課題、求める人物像などをヒアリングし、SNS代行の専門チームが定期的に投稿します。求職者から反応があるか確認し、改善を行い応募者を集めます。

代行サービス会社を選ぶ際には、自社が活用したいSNSの実績があるのか、確認しましょう。Facebookを活用したいのに、Instagramの実績しかなければ、利用しても効果が期待できない場合があります。

   

まとめ

ソーシャルリクルーティングとは、SNSを活用した採用手法です。直接、求職者とコミュニケーションが取れ、ポテンシャルの高い人材の採用につながります。しかし、SNSの活用が思ったようにうまくいかず、悩んでいる担当者は多いのではないでしょうか。

SNSを活用するには、求職者を集めるための採用プロセスを理解することが重要です。採用プロセスをまとめたノウハウが知りたい担当者には、kimeteの「採用に関するチェックリスト」がおすすめです。

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