採用がうまくいかず人材に悩んでいる方は、多いのではないでしょうか。日々の業務に追われ採用戦略を作成する時間がないと感じる方もいるでしょう。そこで本記事では、人材採用戦略の立案方法について解説します。定着率が良くなく人材に悩んでいる担当者は、ぜひ参考にしてください。

人材採用戦略とは

人材採用戦略とは、人材を計画的に獲得するためのプランです。労働人口が減少する現在では、やみくもに採用活動を行っても人材の獲得が難しいでしょう。

中期経営計画に沿って数年に渡る採用戦略を立てることが、安定した企業経営につながります。採用戦略に沿って1年ごとの採用計画を立て、採用活動を行っていきましょう。

採用計画では、どの部署にどのポジションが不足しているのかを把握したうえで、採用フローに落とし込み、適した人材を採用します。新卒・中途採用だけではなく、他部署からの異動など、さまざまな方法で人材を獲得するため、人材採用戦略を立てることは重要です。

 

人材採用戦略の重要度が高まる理由

近年、企業は選ばれる時代へと変化しています。ここでは、人材採用戦略の重要度が高まる理由について解説します。

労働力人口が減少すると予想されるため

日本の人口は減少傾向にあり、少子高齢化が進んでいるため、労働者が減る傾向にあります。以前と同じ選考では大手や人気企業に人材を奪われるでしょう。

労働人口の減少により、採用コストをかけても応募者が集まらないことも想定されます。

各社で人材の奪い合いになるため、人材採用戦略が重要です。

優秀な人材を多く採用するため

優秀な人材を獲得するには、人材採用戦略は欠かせません。厚生労働省の資料によると、2023年5月の有効求人倍率は1.31倍でした。求職者が企業を選べるため、優秀な人材は条件の良い企業に入社するでしょう。

戦略がない採用活動では、求職者から選ばれない可能性があります。自社にマッチする優秀な人材を獲得するためには人材採用戦略が必要です。

人材の流動化が進んでいるため

人材の流動化が進み、転職する人が増えているため、人材採用戦略は重要です。自分には合わないと感じ、退職を検討する人が増えると、人員の流出につながるでしょう。人材の流動化が進む要因は、終身雇用制度の衰退と求職者ニーズの多様化です。

終身雇用制度が衰退し、今より良い環境を求め転職する人が多くなっています。また、求職者のニーズが多様化し、フレックスタイム制やリモートワークを希望する人が増えています。人材の流動化が進んでいるため、求職者のニーズを捉えることが大切です。

 

人材採用戦略を立案するメリット・必要な理由

人材採用戦略に沿って広告を打つと、採用活動の効率を高められます。ここでは、人材採用戦略を立案するメリットについて解説します。

採用活動の効率を高められる

人材採用戦略のメリットは、応募者を選別しやすくなることです。自社が求める人物像を決めておけば、マッチする人材だけ選べます。自社が求める人物だけを面接するため、担当者の負担を減らせるでしょう。

また、自社が求める経験やスキルを打ち出しておけば、合致する求職者のみが応募することも考えられます。採用人数を増やすことにつながり、経営の安定に貢献するでしょう。採用活動を効率良く行うために、戦略を立てることは重要です。

ミスマッチを防止しやすくなる

人材採用戦略の立案は、ミスマッチの防止に役立ちます。思っていた仕事内容にギャップがあると、早期退職につながる可能性があります。予算をかけて採用したのに、早期退職されると損害が大きいでしょう。

新たな人員募集のために採用費が必要となり、経営を圧迫する可能性があります。人材採用戦略を立案する際には自社の強み・弱みを把握し、求める人物像を設定するため、活躍できる人材の特徴が把握でき、ミスマッチの防止につながります。

母集団の形成に役立つ

人材採用戦略の立案は、母集団の形成に貢献します。人材採用戦略において母集団形成とは、自社に興味を示す応募者を集めることです。魅力や求める人物像を明確にすれば、自社に興味を示す応募者を集められます。

採用コストを抑えやすくなる

人材採用戦略を立てると、コストの削減につながります。自社のターゲットとなる人物が触れることが多い媒体に絞って、広告を打つことが可能です。

ターゲットを絞ると、人材紹介サービスを利用するのか求人広告を打つのか、打ち手が決まりやすくなります。媒体を絞るため、採用コストの削減につながります。

 

人材採用戦略の立て方・立案の流れ

ここでは、具体的な人材採用戦略の立案方法について解説します。効率良く人材採用戦略を立案できる方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

立案チームを作る

自社に合う人材を獲得できる可能性が高まるため、専門のチームを作ることが重要です。人材採用戦略の立案チームに所属するのは、人事担当者だけではなく、経営陣も加えましょう。

人材採用戦略は企業経営には欠かせない要素なので、経営陣や部門の責任者も加えることが大切です。ただし、人材採用戦略を立案するには、一定の時間が必要となるため、リソースの確保が重要です。経営陣のリソースが確保できない場合、外部の専門家を加えることを検討してみましょう。

事業計画を把握する

人材採用戦略を立案するには、事業計画を把握しておかなければなりません。企業の目的は、事業計画を達成させることです。事業計画を達成させるための人材採用戦略を立案するには、管理職が何名必要で経営幹部候補生が何人足りないなど、採用計画に落とし込みます。

詳しい事業計画については、経営陣や部門の責任者にヒアリングします。事業計画を把握した上で人材採用戦略を練っていきましょう。

求める人物像を明確化する

経営戦略に沿って求める人物像を明確にすると、人材採用戦略が立てやすくなります。自社が求める人物像にはどんなスキルや経験などが必要か具体的に検討し、ターゲット・ペルソナ設定を行うと、どんな人物を採用するべきか理解しやすくなります。

ターゲットとは、自社が求めるスキルや経験を持つ求職者のことです。また、ペルソナとは、仮想的な人物像を指します。学歴や職歴、仕事に対する考え方など、できる限り詳細にある1名を設定します。

ペルソナは仮想のある1名を想定しますが、ターゲットは基準に会う人全体を指します。また、ターゲットやペルソナに沿った適性検査を実施すれば、マッチ度がアップし、求める人材の採用につながるでしょう。

なお、採用基準については関連記事の「採用 基準」にて詳しく解説しています。こちらも、ぜひご覧ください。

競合他社の人材採用戦略を調べる

応募者の多くが他社と比較した上で入社を決めるため、競合調査は重要です。同業他社の条件は、転職サイトや求人広告などで確認できます。また、同業他社を知ることで自社の強みを再認識でき、応募者へのアピール材料となるでしょう。

ただし、競合になるのは同業他社だけではないケースもあります。給料の高さが自社の強みだとすれば、同じような収入を得られる異業種も競合となり得ます。

採用スケジュールを立案する

採用スケジュールとは、経営戦略を達成させるために必要な人材の計画案です。採用スケジュールの内容には、以下のようなものを含みます。

  • 人材の要件を明確にする
  • 採用人数を決める
  • 雇用形態を決める
  • 募集媒体を決める
  • 採用開始から入社までの日程を決める

どんなスキルや経験を持った人物が自社にふさわしいか決めることが、人材の要件です。求める人物像を明確にしたら、今年採用する人数や正社員・契約社員などの雇用形態を決定します。

採用人数が決まったら、募集媒体を決めます。いつ入社してもらうのかを決め、逆算して採用開始時期を計画しましょう。具体的なスケジュールに落とし込むと、必要なことや足りないことなどが把握でき、より良い採用戦略となります。

なお、採用計画については関連記事の「採用計画」にて詳しく解説しています。こちらもぜひ、ご覧ください。

自社の魅力を明確化する

自社の強みや魅力を明確にして応募者に発信することは、重要です。ブランディングできると、自社の魅力に共感する応募者が集まりやすくなります。人手不足で人材獲得競争が激しい現代では、有利に採用活動を進められます。

採用ブランディングとは、自社の魅力を発信し認知度やイメージをアップさせ応募者から信頼を獲得する戦略です。採用ブランディングを成功させるには、自社のポリシーや求める人物像を定め、SNSや動画などで発信します。

スタートアップの中には発信していない会社があるため、どのような企業か応募者には分かりにくいでしょう。人材を獲得するために、自社の魅力を発信することが大切です。なお、ブランディングについては関連記事の「採用 ブランディング」にて詳しく解説しています。

採用手法を決める

採用手法とは、応募者へアプローチする手段を指します。主な採用手法には、人材紹介やダイレクトリクルーティング、リファラル採用などがあります。

人材紹介は、転職エージェントに求人情報を出すことです。ダイレクトリクルーティングとは、自社にマッチする人材を探し直接アプローチすることです。サイトに登録した求職者へスカウトメールを送ります。

リファラル採用は社員からの紹介です。採用手法にもさまざまな方法があるため、自社に合ったやり方を見つけましょう。

 

人材採用戦略の立案に役立つフレームワーク

ここでは、人材採用戦略の立案に役立つフレームワークについて解説します。フレームワークとは、骨組みや枠組みのことです。さまざまなフレームワークがありますので、使いやすいものを試してみましょう。

3C分析

3C分析とは、「Customer(お客様)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」という3つの項目を使って分析するフレームワークです。3C分析を使うメリットは、自社の強みを明確にできることです。

Customer(お客様)は、応募者を指します。応募者にどのような訴求が受け入れられるのか、Competitor(競合)である競合他社はどんな戦略で人材を獲得しているのか分析し、自社の強みを明確にします。強みを明確にし、発信することで自社の魅力に共感する人物の応募が期待できるでしょう。

SWOT分析

SWOT分析は以下の言葉の頭文字をとり、4つの視点で分析する方法です。

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

応募者が魅力的に感じる強みや響きにくい弱みや課題を書き出します。現在行っている説明会や求人広告などで自社をアピールする機会がいくつあるのか、脅威である競合他社や市場環境なども記載します。

人材採用戦略の立案においてSWOT分析は、自社の強みや弱みと市場や競合他社の外部環境を包括的に理解し、適切な対策を立てるための重要な分析方法です。

4P分析

4P分析とは、以下の言葉の頭文字を取った自社の情報を最適に出すフレームワークです。

  • 企業理念(Philosophy)
  • 文化(People)
  • 業務内容(Profession)
  • 働き方(Privilege))

企業理念はミッションや自社の考え方を示し、文化はいわゆる社風を表します。風通しが良いのか、実績を重視しているのかなどです。

業務内容とは、単に事業内容のことではありません。自社の業務の社会的意義や競合との優位性なども含めます。求職者は自社の課題にも興味を示すため、大変な部分も伝えるとミスマッチを防げます。

なお働き方とは、給与や福利厚生などの条件面のことです。自社の魅力を4つに分解すると、応募者に伝わりやすい方法が分かり、自社に合う人材の獲得につながります。

ペルソナ設計

ペルソナ設計とは、自社が求めるスキルや経験、仕事への価値観、志望動機、生活スタイルなど、詳細にある一人の人物像を決めることです。ペルソナ設計を人材採用戦略に取り入れると、自社が求める理想的な求職者を設定できます。

ペルソナがどの求人情報に触れることが多いのか、どんな情報を求めているのか、などを考え求人広告を行います。応募者が求めている情報を打ち出すため、効果的な採用活動が期待できるでしょう。

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、応募者が自社を知ってから実際に応募するまでの一連の体験を旅に例えたマーケティング手法です。行動や心理を想像することで、応募者が求めているものを理解し、人材採用戦略に生かします。

自社の求人をどのように知り、どんな点に興味を持って応募に至ったのかを応募者の気持ちになって考えます。応募者はどの転職サイトを見ているのか、仕事内容や給与など、どの点に興味を持ったのかを応募者目線で検討することが重要です。応募者の視点に立った打ち手を行うことで、応募者の増加が期待できます。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップとは、縦と横の2軸に自社や他社の位置を視覚的に示した図のことです。具体的には、以下のようなマップです。

図の引用元:【図解付き】ポジショニングマップの作り方と縦軸・横軸の決め方を解説|キャククル

自社の位置と他社との違いが理解でき、応募者を増やすには何をすれば良いか把握するのに役立ちます。縦と横の軸の内容を決め、自社が左上にあったり他社が右上に位置したりします。

例えば、縦軸を給与、横軸を風通しの良さとした場合です。自社では給与はあまり高くはないが風通しが良いため右下に位置します。競合他社では給与は高いが風通しはよくないため、左上に位置します。このケースでは、風通しの良さをアピールするべきと判断できるでしょう。

自社と他社の位置を理解できるため、効果的な人材採用戦略を立案が可能です。自社に適した人材を引き寄せ、経営の安定につながります。

 

立案した人材採用戦略を活用するコツ・注意点

時間をかけて立案した人材採用戦略を上手に活用することが大切です。人材採用戦略を活用するコツには、以下のようなものがあります。

  • 社内で人材採用戦略を共有する
  • 人材採用戦略を実行しながら改善する
  • 人事体制を見直す

人材採用戦略は、会社全体で取り組むべき内容です。人事部だけではなく、全社で情報共有することが欠かせません。人材採用戦略は中長期的に取り込むため、実行しながら改善することが大切です。定着率に合わせて施策をブラッシュアップする必要があります。

ただし、応募者に対応する担当者のスキルが不足していれば、計画通りの採用ができないケースがあります。その場合、人事体制の見直しを検討してみても良いでしょう。

 

人材採用戦略の立案後にすること

人材採用戦略が立案できたら、実行することが大切です。採用活動内容には、以下のようなものがあります。

  • 募集活動を始める
  • 選考を開始する
  • 内定者のフォローをする
  • 採用戦略を改善する

自社に興味がある応募者を増やすことが重要です。自社が求める人物像を明示し、募集活動を始めましょう。採用スケジュールに沿って選考を行い、内定者を選びます。

内定者が決定したら、辞退を避けるためにフォローが重要です。特に新卒採用では、内定から入社までの時間が空くため、懇親会や研修会を行い、自社と接点を持ち続けることが大切です。

1年間の採用活動が終われば、来年に向けて改善点を洗い出しましょう。人材獲得は、全社の問題なので、全社を上げて取り組むことが重要です。

 

まとめ

人材採用戦略とは、求める人物像に合致した人を計画的に採用するプランです。人材の獲得競争が激しくなる中、これまで通りの採用活動では人材の獲得は難しくなるでしょう。

求める人物像を明確にし、自社に興味がある応募者が多い媒体に絞って採用活動をすることが重要です。しかし、人材採用戦略を立案するには一朝一夕とはいかないため悩んでいる人事部の方は、多いのではないでしょうか。

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