長く続く売り手市場や労働人口の減少などを背景に、年々重要度が増している採用サイト。自社の顔として採用サイトに力を入れている企業も多く、欠かせない採用ツールのひとつになりつつあります。

しかし、自社の採用サイトに面白みがなく平凡だと感じながらも、どのように面白い採用サイトを作っていけば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、面白い採用サイトの実例を10種類紹介するとともに、魅力的な採用サイトの作り方や失敗しないためのポイントなどを解説します。

面白い採用サイトを作るメリット

面白い採用サイトを作るメリットは以下3点に集約されます。

  1. 求職者が閲覧する機会が増える
  2. 求職者の記憶・印象を強く残せる
  3. 競合他社と差別化できる

01.求職者が閲覧する機会が増える

面白い採用サイトを作る大きなメリットは、求職者の目に留まりやすくなることです。採用サイトは硬い雰囲気のものが多い傾向にあるためです。

仕事内容や労働条件が魅力的な求人であっても、採用サイトを見てもらえなければ応募につながることもありません。

目に留まって興味を抱いたら、その先まで読み込んで自社のことを知ろうとしてくれる可能性が高まり、応募数の増加が期待できます。メディアなどで取り上げられることでさらに注目される可能性もあるでしょう。

02.求職者の記憶・印象を強く残せる

面白い採用サイトは、求職者の記憶・印象に強く残りやすいのもメリットです。一度見ると忘れられないインパクトになり得るうえ、他社の採用サイトとの違いが明確なためです。

求職者は日々多くの求人・採用サイトを閲覧しているため、平均的なサイトではほとんど記憶に残らずすぐに忘れられてしまうでしょう。

採用サイトの目的である応募に至るためには、採用サイトを通じて自社のことを強く印象に残し、応募を検討する段階で思い出してもらう必要があります。

03.競合他社と差別化できる

面白い採用サイトは競合他社との差別化においても非常に有効です。デザインや雰囲気が異なることで、自社の個性や他社との違いを伝えやすくなるためです。

加えて、面白い採用サイトは企業のブランディングやマーケティングにも役立つため、SNSなどと併用して認知度の向上に成功している例も散見されます。

そのため、エントリーしてもらいやすくなるのはもちろんのこと、採用のクロージング段階でも大きな影響を与えられる可能性があります。

 

参考にしたい!面白い採用サイトまとめ


面白いと評判になった、以下10社の採用サイトを紹介します。

  1. 面白法人カヤック
  2. GMOインターネットグループ
  3. トゥモローゲート株式会社
  4. 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
  5. 株式会社八百鮮
  6. 株式会社毎日放送
  7. groxi株式会社
  8. 株式会社生活総合サービス
  9. 株式会社アサツーディ・ケイ
  10. ホーチキ株式会社

01.面白法人カヤック

さまざまな「面白い」にチャレンジしていることで知られる面白法人カヤックは、採用も目を疑うほどユニークです。

  • いちゲー採用:ゲームのうまさで内定を出す
  • エゴサーチ採用:履歴書不要、検索結果のみで選考する
  • エイプリル採用:経歴詐称OKのエントリーシートで選考する

上記は一部ですが、どの企画・採用サイトも大きな話題となり、数百〜数千人の応募が集まって採用にも成功しているほか、「面白いことを本当にやる企業」として高い認知度を獲得しています。

02.GMOインターネットグループ

GMOインターネットグループの採用サイトは、ちょっとしたゲーム感覚を取り入れつつ企業理解を深められるユニークな作りが特徴です。

画面右上に「理解度メーター」が設置されており、コンテンツを読み進めることでメーターが上昇していき、100%に到達するとエントリーボタンに変化します。

メーターが上昇していく面白さ、100%になると何が起こるんだろうというワクワク感が訪れた人の興味を掻き立て、エントリーへの後押しにもなっています。

03.トゥモローゲート株式会社

採用ブランディングなどを手掛けるトゥモローゲートは、事業内容に恥じない非常に面白い採用サイトを展開しています。

アニメーションを交えながら冒頭に出てくるキャッチコピーは「ようこそ、ブラックな企業へ」。一見ブラック企業なのかと思いきや、読み進めていくとホワイトで志高い企業であることが判明していきます。

最後の画面では、強烈なインパクトを与える一言を添えてエントリーするかどうかの選択を迫っています。

04.株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(2020年)

ソニーグループの1つであるソニー・ミュージックエンタテインメントは、フルイラスト・鮮やかなパステルカラー・アニメーションによるエンタメ感溢れる作りが特徴です。

エンタテインメントの持つ力を短いながらも感情的な文章で表現し、「運命を他人に委ねたくない。つくろう、君の神仕事」と印象的なフレーズで求職者に訴えかけています。

「サイト上に現れる神を見つけよう!」というミニゲームもあり、思わず最後まで読み進めたくなる秀逸なサイトです。

05.株式会社八百鮮

大阪・愛知で生鮮食品専門店を展開している八百鮮は、従来の「八百屋」のイメージを覆す斬新な採用サイトで注目を集めています。

「日本に、鮮度を。」「八百屋を、日本一かっこよく。」などのキャッチコピーを掲げ、赤の背景に映画の予告サイトを思わせる作りが求職者に強烈なインパクトを与えます。

「八百屋って本当にかっこいいのかもしれない」と感じさせるには十分な作りであり、決して人気業種・職種とはいえないなかで、見事に話題作りや採用に成功しています。

06.株式会社毎日放送

近畿エリアの放送事業者である毎日放送は、見る人を飽きさせない鮮やかな色使いと目を引くアニメーションが特徴の採用サイトを公開しています。

比較的シンプルながらも、働く人の顔や声が随所に盛り込まれており、社内や仕事の様子がよく見える作りとなっています。

なかでも、ある社員のジョブローテーションマップや、人気番組「情熱大陸ができるまで」などのコンテンツは入社後のイメージを膨らませやすく、応募意欲を醸成する優れたコンテンツといえるでしょう。

07.groxi株式会社

無線LAN・セキュリティ・RPAなどの構築や運用を行っているIT企業groxiは、ゲーム会社やデザイン会社を彷彿させるデザインが特徴的な採用サイトを公開しています。

なかでも印象的なのは、「型にはまれなかった者たちへ」「コミュ障でも、わがままでも、厨二病でもいい。」という冒頭のキャッチーなフレーズです。

求めている人材やペルソナ設定が明確であり、ターゲットに「それなら自分でもできそう」と感じさせる非常に計算された作りとなっています。

08.株式会社生活総合サービス

健康食品・化粧品等の通信販売「ていねい通販」を手掛ける生活総合サービスは、他社とは一線を画す就活生への寄り添い方が特徴の採用サイトを公開しています。

就活応援ムービー、先輩就活生との対談、社員の声や社内の様子と続き、就活生が抱いているであろう不安の払拭に重きを置いているのがわかります。

特筆すべきは「お客さまから就活生の皆さんへ」という手書きの応援メッセージです。自分が入社することでどのように人の役に立つかがわかるとともに、企業の信頼性が伝わる素晴らしいコンテンツです。

09.株式会社アサツーディ・ケイ

広告代理店大手のアサツーディ・ケイは、例年異なるキャッチコピーを掲げ面白い採用サイトを作ることで知られています。

社員の声をふんだんに盛り込みつつ、イラスト・テキスト・アニメーションを巧みに使い分けて、社内の様子や身近なプロジェクト例などを紹介する非常に見やすい作りです。

豊富なコンテンツとアニメーションがありながら比較的動作が軽いことも特徴であり、見る人にストレスを感じさせない工夫が成されています。

10.ホーチキ株式会社

火災報知器をはじめとする防災・防犯設備を手掛けるホーチキは、自社の製品と採用サイトをリンクさせたユニークなデザインが特徴です。

サイトを開いてまず目に飛び込んでくるのは大きな火災報知器。普段はなかなか押す機会のない火災報知器のボタンが採用サイト入口となっており、思わず「押してみたい」という好奇心がくすぐられます。

代表的な製品を取り入れて、何をしている企業なのかがひと目でわかる秀逸なデザインです。

 

面白い採用サイトコンテンツの考え方


面白い採用サイトのコンテンツを作る際、基本的な考え方を5つ紹介します。

  1. 採用コンセプトを設定する
  2. 面白いと感じる採用サイトを「ギャラリーサイト」から探す
  3. 面白いと思ったポイントやトレンドを抽出する
  4. 採用コンセプトと面白さを兼ねたキャッチコピーを作る
  5. キャッチコピーを表現するデザインを考える

01.採用コンセプトを設定する

サイト設計を始める前に、まずは採用コンセプトを設定しましょう。採用コンセプトがない状態でただ面白いサイトを作っても、肝心の採用につながらなければ意味がないためです。

採用コンセプトとは、求める人物像、その人たちに響く概念や価値観、自社の魅力や強みなどを言語化したものであり、採用活動における一貫したテーマや方向性を指します。

採用コンセプトが明確であるほど発信するメッセージ・デザイン・コンテンツも作りやすくなるでしょう。

02.面白いと感じる採用サイトを「ギャラリーサイト」から探す

面白い採用サイトを理解する意味でも、ギャラリーサイトを参考に事例を探してみましょう。ギャラリーサイトにはプロのデザイナーなども参考にしているようなサイトが多数掲載されており、非常に参考になります。

たとえば、非営利目的で運営されている「MUUUUU.ORG(ムーオルグ)」は、オーソドックスな縦長レイアウトで優れたデザインのサイトが数千種類閲覧できます。たくさんのカテゴリや色合いごとにまとめられているほか、サイトタイプ別には採用サイトだけをまとめて閲覧できるページもあるため便利です。

このようなギャラリーサイトから自社の採用コンセプトに合ったもの、面白いと感じるものを見つけましょう。

03.面白いと思ったポイントやトレンドを抽出する

ギャラリーサイトなどから面白いと感じるサイトを見つけたら、なぜ、どのような点が面白いと感じたかをピックアップしてみましょう。面白いと感じた要素を言語化・明文化できれば、自社の採用サイト作りに活かしやすくなるためです。

加えて、サイト制作にはデザインや使用されている技術などにトレンドがあるため、複数の参考サイトを分析して共通点やトレンドも抽出できると良いでしょう。

04.採用コンセプトと面白さを兼ねたキャッチコピーを作る

続いて、自社の採用コンセプトと面白さを兼ね備えたキャッチコピーを考えましょう。

採用サイトにおけるキャッチコピーは、閲覧した求職者の印象に残るかどうかを決める重要な要素ですが、何もないところからキャッチコピーを考えるのは至難の業です。ここまでに設定した採用コンセプトや参考サイトから抽出したポイントをなどを押さえつつ、複数の案を出して組み合わせたり、組み替えたりしてみると良いでしょう。

05.キャッチコピーを表現するデザインを考える

設定したキャッチコピーを元に、自社の特色や採用コンセプトを反映したサイトデザインを考えましょう。

採用サイトのデザインは第一印象が大切です。ファーストインプレッションで強いインパクトを与えられれば興味を引くことができ、求職サイトを読み進めてもらえる可能性が高まります。

デザインとあわせて、採用に至るまでに求職者とどのようにコミュニケーションを取っていくかも設計し、サイトデザインやコンテンツに反映できると良いでしょう。

 

採用サイト制作で失敗を避けるポイント


採用サイト制作で失敗しないために、以下4つのポイントに注意しましょう。

  • 採用目標や方針を常に念頭に置く
  • 求める人物像(ペルソナ)をなるべく具体化する
  • 競合と差別化できる強みを徹底的に考える
  • 自社の方針や強みを深く理解してくれる制作会社に依頼する

採用目標や方針を常に念頭に置く

採用サイト制作では、本来の目的である採用目標や方針を常に念頭に置いておくことが非常に重要です。

これらを忘れて面白さにばかり目が行ってしまうと、目的が果たされないただ面白い企業・面白いサイトで終わってしまうためです。

採用サイトはあくまで「採用ツール」であることを忘れてはなりません。見た人にどのような印象を与えたいのか、どのような人に応募してほしいのかなどを明確にし、サイトの随所に反映していきましょう。

求める人物像(ペルソナ)をなるべく具体化する

採用サイトは、求める人物像(ペルソナ)を可能な限り具現化して、その人たちに響くコンテンツ・デザインにすることも大切です。

求める人物像が不明瞭だと、具体性や面白みに欠けたサイトになりやすく、ただ「面白いから」という理由でエントリーしてくる人が増えると、ターゲットとは異なる人材が集まってしまう可能性もあります。

ターゲットの価値観・志向性・考え方などを想像・分析し、条件を満たした人たちに響く要素を盛り込みましょう。

競合と差別化できる強みを徹底的に考える

採用サイト制作では、競合他社とどのように差別化するかも重要なポイントです。

たとえば、スケール感・社会貢献性・仕事の面白さ・自社ならではの文化や技術など、競合にはない強みや魅力を徹底的に考えましょう。ただし、自社がアピールしたいポイントが設定したターゲットに響くものであるかも慎重に判断する必要があります。

採用活動が終盤に向かうにつれて、競合との違いや唯一性が内定承諾に大きな影響を与えるため、サイト制作段階から差別化を意識しておくことが大切です。

自社の方針や強みを深く理解してくれる制作会社に依頼する

採用サイト制作の外注を検討している場合は、自社の方針や強みを深く理解してくれる制作会社に依頼することが大切です。

特に、採用活動全体のデザインや採用課題の解決を目指すのであれば、要件定義などの上流工程から提案してくれるような制作会社がおすすめです。

制作実績などを確認するとともに、コミュニケーションを取って自社にあった制作会社を見極めて判断しましょう。

 

面白い採用サイト作りのためには採用戦略が大事

面白い採用サイトは求職者からの注目を集め記憶・印象に残せるため、採用戦略において非常に有効な方法といえます。

一方で、ただ面白いサイトを作るのではなく、採用コンセプトやターゲットを明確にし、競合との差別化を図ったうえで求める人材に響くコンテンツ・デザインにしていくことが大切です。

競合との差別化やキャッチコピー作りが困難な場合は、新卒採用支援サービスkimeteにご相談ください。kimeteは、30年間の新卒採用で培ったノウハウを結集し、内定辞退率10%以下(一般平均約70%)、コロナ禍でも15名以上を安定的に採用してきた実績があります。

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