採用活動の佳境で行われる採用連絡。単に合否を連絡するだけではなく、応募者の入社意欲を確認したり、内定辞退を防止したりとさまざまな役割を担っています。
しかし、採用連絡は電話ですべきか、それともメールですべきか、どのような内容で行うべきかを見直したい方もいるのではないでしょうか。
本記事では、採用連絡をする際の手段や手順について、例文・テンプレートを交えて解説します。実際の流れや注意点についてもまとめているので、効果的な採用連絡のやり方を知りたい方はぜひ参考にしてください。
採用連絡は電話とメールを組み合わせるのが最適
採用連絡をする際は、電話とメールを組み合わせるのが最適です。まずは即時性と双方向性がある電話で連絡をし、続いて形に残るメールで連絡をする流れが良いでしょう。
一人ひとりにこのような対応をするのは工数がかかり手間に感じるかもしれません。しかし、電話とメールにはそれぞれメリット・デメリットがあり、組み合わせることでお互いのデメリットを補い両方のメリットを享受できるため、労力をかけるだけの価値があるといえます。
なるべく早く電話で連絡する
合格の場合はなるべく早く電話で連絡を入れましょう。採用の連絡が遅いと「きっと不採用なんだろうな」という気持ちが膨らみ、状況によっては先に他社からの内定を承諾してしまう可能性があるためです。
速やかに伝えることでこちら側の熱意も伝わりやすくなるほか、電話での会話を通して応募者の感触や入社意欲を把握することもできるため、その後に取るべきアクションを明確にできるメリットもあります。
メールで文面に残す
電話連絡とは別に、メールを送って伝えたい内容を文面に残しましょう。電話(口頭)で伝えた内容を文面にすることで伝達ミスを防げるためです。
また、全員に共通のテンプレートを使うのではなく、一人ひとりに異なる文面を入れることで採用担当の熱意・感情・誠意などが伝わりやすくなります。
手間はかかりますが、このような細かな対応が選考辞退の防止や入社意欲の向上にもつながるため、可能な限り丁寧に対応することが望ましいでしょう。
不合格はメールで通知する
不合格の場合は、電話はせずにメールのみで通知するのが一般的です。ただし、選考を通じて良好な関係を築けている場合や紹介経由の応募者だった場合など、電話連絡をしたほうが良いと考えられる場合はこの限りではありません。
一方で、今回の選考では不合格だったとしても、今後状況が変わり再び応募者やお客様になる可能性もあります。後々のことを考えて、応募者と良い関係を保てるよう丁寧かつ誠意が伝わる文面にすべきでしょう。
電話の採用連絡トーク例文・テンプレート
電話で採用連絡をする際の基本的なトーク例文・テンプレートを紹介します。
【電話の採用連絡トーク例文テンプレート】
採用担当:「(社名)の(担当者名)と申します。(応募者名)様のお電話でよろしかったでしょうか。」
応募者:「はい、お世話になっております。」
採用担当者:「ありがとうございます。(応募者名)様、今少しお話するお時間はございますでしょうか。」
応募者:「はい、大丈夫です。」
採用担当者「ありがとうございます。先日は当社の選考にご参加いただきありがとうございました。選考結果をお伝えしたくご連絡させていただきました。」
応募者:「はい、ありがとうございます。」
採用担当者「社内で慎重に協議させていただいた結果、是非(応募者名)様を(雇用形態)としてお迎えしたいという結論に至りました。」
※簡単に評価ポイントや合格になった理由を添えると良いでしょう。
応募者:「ありがとうございます。」
採用担当「この後、今後の流れについてメールをお送りいたしますので、お手数ですが確認されましたらご返信をいただけますでしょうか。」
※メールで送る内容を口頭で伝えても良いでしょう。
応募者「承知いたしました、ありがとうございます。」
採用担当「こちらこそありがとうございます。現時点でご不明点やご心配な点などございますでしょうか。」
応募者「いいえ、特にございません。」
採用担当「かしこまりました。もし疑問点が出てきましたらいつでも遠慮なくお問い合わせください。それでは、お手数ですがこの後お送りするメールをご確認いただき、ご返信をお願いいたします。」
応募者「かしこまりました。」
採用担当「お忙しいところお時間をいただきありがとうございました。またお目にかかれる日を楽しみにしております。失礼いたします。」
メールの採用連絡例文・テンプレート
続いて、メールで採用連絡する場合の例文・テンプレートを紹介します。
【メールの採用連絡例文テンプレート】
件名:【(自社名)】選考結果のご連絡
(応募者名)様
(社名)の(担当者名)と申します。
先日はお忙しい中、弊社の選考にご参加いただき誠にありがとうございました。
厳正なる審査の結果、(応募者名)様を(雇用形態)として採用することが内定いたしましたので、取り急ぎご連絡申し上げます。
つきましては、下記の書類をメールまたは郵送にて弊社までお送りくださいますようお願いいたします。
記
■お送りいただきたい書類
・内定承諾書
■提出期限】
◯月◯日(曜日)必着
以上となります。
ご不明点やご質問等ございましたら、当社採用担当(担当者名)までご連絡ください。
メールでのご連絡となり恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
(以下、採用担当者署名)
メールの場合、ほかのメールに埋もれて見落とすことがないよう、ひと目で選考結果の連絡であることがわかる件名にしましょう。
内容は読みやすい構成にしつつ、本文で選考に参加してくれたことに対するお礼を伝えることで、こちらの誠意や熱意が伝わりやすく、好印象を与えられる可能性があります。
メールの不合格連絡例文・テンプレート
続いて、メールで不合格連絡する場合の例文・テンプレートを紹介します。
【メールでの不合格連絡例文テンプレート】
件名:【(自社名)】選考結果のご連絡
(応募者名)様
(社名)の(担当者名)と申します。
先日はお忙しい中、弊社の選考にご参加いただき誠にありがとうございました。
厳正に選考させていただいた結果、誠に残念ながら今回は(応募者名)様の採用を見送らせていただくこととなりました。
何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
今回は予想を上回る応募があり、弊社といたしましても大変苦慮した上での決定であることを申し添えます。
また、多数の企業の中から弊社にご応募くださいましたことに深謝いたしますとともに、(応募者名)様の今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
(以下、採用担当者署名)
不合格の場合は「不合格」「不採用」などの直接的な文言は避け、例のように「採用を見送る」や「貴意に添いかねる」などの表現に置き換えましょう。
また、今後再び応募者やお客様になる可能性もあるため、良い関係を保てるよう相手に配慮した文面にすることが重要です。
採用連絡におすすめの時間帯・タイミングはいつ?
採用連絡をする際の時間帯やタイミングは、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 面接から1週間以内に連絡する
- 基本的には10:00-19:00に連絡する
この条件以外はデメリットが大きくなるためあまりおすすめしません。それぞれ詳しく解説します。
面接から1週間以内に連絡する
採用連絡は面接当日〜3日以内が理想であり、遅くとも面接終了から1週間以内がおすすめです。求職者は他の企業も並行して選考を受けている場合が多く、状況によっては先に他社の内定を承諾してしまう可能性があるためです。
応募者の多くは、期間が空くほど不安に駆られたり入社意欲が低下したりする傾向にあるため、連絡を遅らせるメリットはほとんどありません。可能な限り早く連絡するよう心がけましょう。
基本的には10:00-19:00に連絡する
採用連絡をする時間帯は、事前に応募者からの希望がない限り10:00-19:00の間が望ましいでしょう。19:00以降に連絡をすると人によっては「残業が多い会社なのでは」というネガティブな印象を与えてしまう可能性があるためです。
曜日によっては日中電話に出られない可能性もあるため、あらかじめ不在着信になった場合は折り返し電話をもらえるよう伝えておくのもひとつの方法です。
電話で採用連絡する際の流れ・ポイント
電話で採用連絡をする際の流れや会話のポイントは以下の3点に要約されます。
- 採用が決まり嬉しい気持ちを伝える
- 応募者の率直な感想を確認する
- 他社の選考状況を無理なくヒアリングする
他の企業と並行して選考を受けている場合、この時点でざっくばらんには話せない応募者が多い傾向にあります。そのため、本心を話してもらえるよう相手に寄り添ったコミュニケーションを取れるかどうかがポイントになります。
1.採用が決まり嬉しい気持ちを伝える
選考に合格した事実だけを伝えるのではなく、「採用が決まってこちらも嬉しい」という気持ちを伝え、応募者と感情をシェアしましょう。そうすることで「採用担当者は自分を応援してくれている・味方でいてくれている」という印象を与え、心を開いてくれる可能性が高まるためです。
あわせて、これまでの選考に関わった社員(面接官)の反応や評価なども伝えることで、入社意欲の向上にもつながるでしょう。
2.応募者の率直な感想を確認する
続いて、採用通知を受けた際の率直な気持ちを確認しましょう。この時点で入社意欲はどの程度あるか、不安や懸念点は無いか、辞退の可能性は無いかなどを把握しておく必要があるためです。
なかには特定の面接官や選考中の発言、待遇面などに対して複雑な感情を抱いているケースもあります。応募者からのコメントを参考に、適切にフォローを入れて入社意欲を高められるよう努めましょう。
3.他社の選考状況を無理なくヒアリングする
率直な感想だけでなく、現在の選考状況もヒアリングしましょう。応募者の心を開ききれていない場合、自社の内定をキープするためにこちらが求めている回答をしてしまうケースもあるためです。
遠回しにしつこくヒアリングするとネガティブな印象を与えかねないため、あえて「他社の選考状況はいかがですか?」とストレートに尋ねるのもひとつの方法です。とっさの反応で本心が見えやすく、ある程度正確に志望度を確認できるでしょう。
4.入社後活躍までフォローする姿勢を見せる
入社前後だけでなく、その後に活躍するところまでフォローする姿勢を見せましょう。そうすることで「自分の先々まで考えてくれている」というポジティブな印象を与えられる可能性があるためです。
採用担当者のゴールは採用人数や入社までに設定されている場合が多いものですが、応募者にとっては入社後こそが本番であり、先々のことに不安を抱えている場合があります。
会社全体としてその後もしっかりフォローする姿勢があること、速やかに業務に馴染めるようサポートする体制や準備が整っていることをアピールすることが大切です。
決して上から目線にならないよう、応募者目線で丁寧に話を進めていくことで内定辞退の防止、入社意欲の向上が期待できるでしょう。
5.入社までの手続きなどは後からメールで連絡する
電話の後に、入社までの手続きなどを改めてメールで送ることを申し添えましょう。電話による口頭だけでは伝達ミスが発生しやすいためです。
また、電話はあくまで「速やかな採用通知」と「応募者の現状を把握すること」を主目的とし、手続きに関する話題は簡潔に済ませ、応募者の心境に寄り添い打ち解けてもらうこと、必要な情報を把握することに重きを置くと良いでしょう。
メールで採用連絡する際の注意点
メールは電話に比べて情報量が少なく、些細なことからイメージの低下やトラブルにつながる可能性があるため、以下2点に注意しましょう。
- 誤字・脱字をダブルチェックする
- メール確認後、返信をもらうフローにする
誤字・脱字をダブルチェックする
誤字・脱字チェックは入念にダブルチェックすることをおすすめします。
誤字・脱字があると「雑な仕事をする会社」「細かなチェックをしない会社」といったイメージにつながる可能性があり、会社の信用を失うことにもなりかねません。特に応募者氏名の誤字脱字はネガティブな印象を与えるため細心の注意が必要です。
また、メールアドレスを間違うことで起きる誤送信を避ける意味でも、宛先を含めたメール全体をダブルチェックする体制を整えましょう。
メール確認後、返信をもらうフローにする
あらかじめ応募者が採用連絡のメールを確認した後に返信をもらうフローにしておきましょう。合格を伝えた後に何らかの理由で連絡が途絶えてしまうケースがあるためです。
会話のラリーが続く状態を作れれば、応募者が抱いている懸念点・疑問点をキャッチしやすくなり、辞退を防ぐためのアクションを起こせる可能性が高まります。
電話で採用連絡をする際は、メール確認後に返信をもらえるよう説明しておくとよりスムーズでしょう。
最適な採用連絡で内定者の意欲を高めよう
採用連絡は電話・メールそれぞれのメリットを活かすため、両方を併用するのがおすすめです。また、連絡は1週間以内のなるべく早いタイミングで、10:00-19:00の間に行うと良いでしょう。
kimeteでは、自社で実際に新卒採用を行ってきた上で蓄積されたノウハウを提供しています。30年間の新卒採用の中で試行錯誤を繰り返し、今では内定辞退率10%以下(一般平均約70%)、コロナ禍であっても、15名以上を安定的に採用する実績を持っています。
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