社内で採用担当を選任しようと思っているが、どのような人材が適しているのかわからないという事業主の方もいるのではないでしょうか。採用業務は大きく「ジャッジ」と「フォロー」に分けられ、それぞれの適性に応じた人材を配置しなければ採用活動がスムーズに進みません。

本記事では、採用担当者に向いている人の特徴や選び方を解説します。一般的な人事担当との違いも解説するので、自社の採用担当者選びの参考にしてください。

採用担当者の仕事内容

採用担当者の仕事は人事業務の中で、採用の部分に特化して行います。具体的には求人募集や企業説明会の開催、書類選考を行い面接を実施し、内定通知を出すまでが採用です。

また、応募者の入社意欲を高めるための「フォロー」もしなければなりません。採用担当者の熱意に心をうたれて入社する人もいるほど、フォローは採用において重要な役割です。

「採用」と「フォロー」は業務内容や求められる能力が異なるため、「ジャッジ担当」と「フォロー担当」に分けている企業も多く見られます。それぞれの仕事内容と求められる能力について見ていきましょう。

優秀な応募者を見極める「ジャッジ担当」

ジャッジ担当は文字通り、自社に適した人材かどうかを見極めます。自社に適した人材かどうかの判断は、ESや履歴書などの情報や容姿で判断しがちです。

しかし、このような誰が見てもわかるような表面的な部分だけでなく、座談会やカジュアルミーティング、インターンシップを通して客観的に判断しなければなりません。そのため、ジャッジ担当には以下の能力が求められます。

  • 観察力
  • 冷静な判断
  • 理論的に説明できる力

このような見方で正しく判断ができなければ、自社にマッチする人材の確保は難しく、ミスマッチにつながる可能性が高くなります。

優秀な人材を招き入れる「フォロー担当」

採用活動の目的は、入社後に活躍してもらうことです。内定辞退者や早期退職者が多いほど採用活動の効果を感じづらいと言えます。そのため、フォロー担当は人の心を動かす情熱や、信頼される人柄であることが重要です。

就職は人生を左右する出来事であるという責任感を持って、応募者に接しなければなりません。したがって、一方的なアピールではなく、相手の気持ちに寄り添って不安を解消してあげられる人が向いています。

フォロー担当には以下の能力が必要です。

  • 周囲からの信頼を得やすい人柄
  • 熱意
  • 愛社精神

人を引き寄せる力と相手の懐に入れる力がある人に向いていると言えるでしょう。

 

採用担当者と人事・総務担当者との違い

人事担当や総務担当も「人材」に関わる業務を行っており、小規模の企業ではひとつの部署ですべての業務を担当している場合も少なくありません。しかし、厳密にはそれぞれ役割が異なるため、適切な担当者を配置することが重要です。

ここで「採用担当」「人事担当」「総務担当」の違いをそれぞれ把握しておきましょう。

人事担当者との違い

人事担当者も採用に関わる業務ですが、大きな違いは業務範囲の広さです。採用担当者は入社するまでに特化した業務を行うのに対し、人事担当者は採用後の人材育成や人員配置、評価など、人材に関する総合的な業務を行います。

人事制度の構築や労務管理など、従業員が働きやすい環境を作るのも人事の役割です。人事担当は常に従業員と向き合い、適材適所の人員配置や人事評価を行うため、人間観察力に長けている人が向いています。また、人事評価は平等かつ公平な判断が求められるため、情に流されず時には厳しい判断もしなければなりません。

総務担当者との違い

総務の仕事は社外の窓口業務や、会社を円滑に運営するための社内業務を行います。たとえば、来客対応や近隣住民への対応、備品管理や防犯対策、株主総会の運営などです。会社によっては人事も兼任しているケースもあります。

組織全体に関わる事項が多く、業務内容は多岐にわたることが特徴です。そのため、同時に複数の仕事をこなせる人や危機管理能力が高い人が向いています。また、成果が見えにくい仕事のため、裏方の仕事が苦にならないことも重要です。

 

適性あり|採用担当者に向いている人の特徴

人材採用は企業の成長と競争力を高めるために重要な活動のひとつです。採用担当者の資質によって、良い人材を確保できるかどうかが決まると言ってもよいでしょう。では、採用担当者にはどのような人が向いているのでしょうか。

以下で詳しく説明します。

コミュニケーション能力が高い

採用担当者は採用を実施するにあたって、経営層や現場責任者と議論を行い、自社が求めている人材を聞き出す力が必要です。また、採用活動にあたっては外部の転職サービス担当者などと連絡を取り合いながら進めることも多くあります。

面接の実施においても、応募者との会話を通じて応募書類などの1次情報では得られない部分を見抜くことが必要です。そのためにも、コミュニケーション能力の高さが求められます。

会社内の意見をうまく調整できる

採用活動にあたっては、経営者はもちろん現場や関係部署に意見を求めることが多くあります。議論をする中で、それぞれが置かれた立場や状況によって考え方や意見が異なることは珍しくありません。さまざまな意見を集約して、会社として最終的な採用の方向性を決める必要があります。

このように、それぞれの意見を尊重しながら調整できる能力がなければ、人事担当者として最適な採用活動ができにくくなるでしょう。

責任感が強い

採用は企業の成長に直結する人材を採用する重要な業務です。適切な人材がいなければ企業は利益を上げることができません。採用のミスマッチが大きな損失につながることもあります。このように、会社にとって重要な任務を任されているという自覚を持って業務ができる人でなければなりません。

また、就職は求職者の日常生活に大きく影響します。そのため、採用業務は求職者の人生を左右する仕事であるという認識を持てる人であることも重要です。

企業の顔として自社の魅力を伝えられる

採用しても入社してもらえなければ意味がありません。自社の魅力が伝わらなければ応募者は就職したいと思わないでしょう。

面接は、企業が求職者に対して自社をアピールする場でもあり、応募者にとっては採用担当者がその会社で一番最初に接する社員です。その社員が「会社の顔」となると言ってもよいでしょう。会社の顔として、求職者に対し「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるような魅力を伝えられる人が向いています。

物事を論理的に考えられる

採用担当者の目的は採用活動を通じて優秀な人材を確保し、企業の経営目標達成に貢献することです。そのため、企業理念や経営者のビジョンを理解し、理論的に考えられる人物でなければなりません。たとえば、応募者の履歴書や適性試験の結果を分析し、企業理念に合致した人材かどうかを論理的に分析する力などです。

このように、会社の考えを理解した上で、事業を成功へと導くための人事施策を考えられる人が採用業務に向いています。

採用活動を計画的に進められる

採用活動は、各部署と連携しながら会社全体で行うものです。したがって、チーム全体で計画的に進められる能力がある人は向いています。計画的に進行することで問題や遅延を早期に発見でき、適切な対応が可能です。

また、責任感が強いあまり、全て自分でやろうとして業務が回らないことや、問題が発生した際に自分だけでは解決できないケースも多くあります。このような時は、自分だけで仕事を抱え込まず、必要に応じて人に仕事を依頼できることも重要です。

積極的に知識・情報を取り入れられる

採用活動は年々変化しています。たとえば、以前はハローワークや求人誌への掲載が主流だったものが、近年はSNSの活用やダイレクトリクルーティングなどがトレンドです。

このように、ニーズにあった採用手法を取らなければ、人材を集めるのは難しいでしょう。そのためには情報収集が必要不可欠となります。

従って、日頃から採用トレンドや市場動向、法改正などの情報に敏感で積極的に情報収集できる人が採用担当者に向いています。

つらい状況や苦労することを前向きに考えられる

採用担当の仕事は、時期によって1日に複数回以上の面接予定が入ることも少なくありません。そのため別の仕事をする時間がなくなり、残業が続くこともあります。また、スケジュールに合わせて進めるため、スピード感も必要です。

採用業務は経営に直結する重要な任務のため、プレッシャーに押しつぶされそうになることや計画通りに進まず苦労することもあるでしょう。そういった苦労を成長のチャンスと考えて前向きに取り組める人は向いていると言えます。

 

採用担当者に向いていない人の特徴

前章で採用担当に向いている人の特徴を解説しましたが、逆に適性がない人はどのようなタイプなのでしょうか。向いていない人の特徴を見ていきましょう。

採用担当には向いていないのは次のような人です。人選の参考にしてください。

状況に応じた対応・判断ができない

採用活動は時代の流れとともに市場は変化しています。昨年までは成功した手法でも、今年はうまくいかないこともあるのです。「今までずっとこの手法でやってきたから」と同じ手法にこだわると、求職者のニーズにマッチせず、優秀な人材を確保できない可能性が高くなります。

また、面接で応募者からの逆質問に対する回答や、人物を見ながら質問の内容を変えるなど機転を利かせた対応が苦手な人は、採用担当者には向いていません。

相手の考えを汲み取れない

人材採用は、関わる人全員の方向性が一致しなければミスマッチにつながります。経営者や現場責任者と議論を重ね意見を集約した上で、最終的な判断をしなければなりません。

相手の考えを汲み取り、方向性を一致させるにはコミュニケーションが不可欠です。社内だけでなく、求人メディアの営業担当者などとの打ち合わせもあります。このように多くの場面でコミュニケーションが必要な仕事のため、コミュニケーション能力が低い人は難しいと言えるでしょう。

優しい・優柔不断な対応をする

優秀な人材に出会った場合は「どうしても入社してほしい」という熱意を示すことが重要です。一方で、就職は求職者の人生を大きく左右する大きな決断のため、採用する側としての責任があります。しかし、責任の大きさを感じ「最終的な判断はお任せします」などと言ってしまえば、内定を辞退されてしまうのです。

優秀な人材を確保するためには「ぜひ我が社に入社してください」と最後のひと押しが重要となります。優柔不断な対応をする人や、優しすぎる人は採用担当者には向いていません。

一人で業務を進めてしまう

採用活動は応募書類の審査や面接、採用試験、応募者とのコミュニケーション、法的手続きなど多くの業務が同時進行で進みます。そのため、関係者と連携して進めなければいけません。

また、複数の意見を取り入れることで、客観的な判断や偏見が入りにくくなり公平性が保てます。周りに依頼することや他者と連携をとるのが苦手で、自分ひとりで仕事を進めるタイプの人は採用担当には向かないでしょう。

新しい手法を取り入れることが得意ではない

採用活動は環境の変化に影響されることが大きいため、時代に合った採用手法で行う必要があります。変化する求人市場に対応できなければ、エントリー数の減少につながることもあるでしょう。そのため、現状の手法や採用フローがベストだと考えず、変化に対応する能力が必要です。

常に新たな方法を模索し、効果がなければすぐに新しい採用手法を取り入れる柔軟な姿勢が求められます。このような変化を怖がり、従来のやり方に固執するタイプの人は向いていません。

 

どのように採用担当者を選べば良いかわからない時の対処法

ここまで、どのような人物が採用担当者としてふさわしいかを解説してきました。しかし、全ての条件を満たしている人が見つからないという方もいるでしょう。そのため、担当者としての条件よりも、本人の適性に着目することがポイントです。

以下の視点で見ると選びやすくなります。

ジャッジ担当・フォロー担当の適性を意識する

採用担当は「ジャッジ担当」と「フォロー担当」に分けられると解説しましたが、「どちらにふさわしいか」に注目すると選びやすくなります。たとえば、過去の経験にあてはめて「こういう人だろう」と判断するのではなく、冷静かつ客観的に判断できる性格の人であればポテンシャルを見抜く可能性が高いでしょう。このような性格の人はジャッジ担当に向いています。

一方、コミュニケーションが得意で、相手の懐に入り込むのが得意な性格の人はフォロー担当者向きです。このようなタイプの人は、自身の人柄や自社の魅力を伝えることで応募者の入社意欲を高める役割に適している人です。

自社が目指す組織編制を採用担当者選びに反映させる

会社が目指す組織に適した人材を採用担当者として選任するのもひとつの方法です。組織編制は組織の目標や価値観に密接に関連しています。採用担当者を選ぶ際に、自社が目指す組織編制を反映させることは、一貫性を持たせる上で重要です。

たとえば、参謀タイプや人気者タイプなどさまざまなリーダーシップスタイルがあります。どのタイプの比率を高めたいかによって、組織が目指す価値観と一致した人材を選ぶことで、組織全体の一体感向上が期待できます。このように、自社が目指す組織編制を意識すると採用担当者を選びやすくなるでしょう。

 

まとめ

採用担当者は「ジャッジ担当」と「フォロー担当」に分けられます。ジャッジ担当は応募者の見極めを、フォロー担当者は入社意思を高める役割です。必要な能力が異なるため、それぞれに分けて人選することが重要となります。

採用担当者に向いている人の特徴で解説した項目に、できるだけ多くの性格があてはまっている人物を選ぶとミスマッチが少なくなり人材採用の成功確率が高くなります。また、自社が目指す組織編成を担当者選びに反映させることで、組織の一体感が生まれ企業目標を達成しやすくなるでしょう。

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