ポテンシャル採用という言葉をよく耳にするものの、自社に取り入れるべきかどうか、そもそもどういう採用方法なのかなど悩むこともあるのではないでしょうか。そこでこの記事ではポテンシャル採用とは何か、また、ポテンシャル採用のメリット・デメリットについて紹介します。
ポテンシャル採用を成功させるコツや失敗しないための注意点、ポテンシャルを見極めるコツも解説しますので、ポテンシャル採用を検討している人は、ぜひ参考にして下さい。
ポテンシャル採用とは
ポテンシャル採用とは、求職者の持つスキルや実績で評価するのでなく、潜在能力(ポテンシャル)で評価して採用する方法のことです。以下では、このポテンシャル採用の詳細について、下記ポイントに沿って解説します。
- 潜在能力を評価する
- 何歳まで?新卒・中途採用との違いは?
- ポテンシャル採用が広まった理由
潜在能力を評価する
ポテンシャル採用の「ポテンシャル」とは、潜在的な能力、可能性といったことを意味します。ポテンシャル採用とは、まさに人材の「潜在能力」「成長する可能性」を評価して採用する方法といえます。
潜在能力とは、中途採用で一般的に評価される実務経験やスキルといったものと異なり、十分に表面化していない能力のことです。評価の際には、人柄や素養、素質などに基づいて、「自社で将来的に活躍しそうな人材」かどうかを判断します。
何歳まで?新卒・中途採用との違いは?
ポテンシャル採用には、何歳までを対象とするかといった明確な基準はありません。しかし、新卒や第二新卒を含めた20〜30代の若手向けに実施されるのが一般的といえるでしょう。
新卒採用との違いは、新卒採用などでは、留学や資格取得のために卒業が遅れた人や卒業後しばらく就職しなかった人を採用できないのに対して、ポテンシャル採用ではそうした人材も幅広く採用できる点です。
中途採用との違いは、中途採用が即戦力となる人材を採用するのに対して、ポテンシャル採用では即戦力である必要はない点といえます。
ポテンシャル採用が広まった理由
ポテンシャル採用が広まった大きな理由としては、労働人口が減少し続ける中で人材確保が難しくなっていることが挙げられます。特に中途採用においては、即戦力となる人材は争奪戦が激しく年々確保が難しくなっているといえるでしょう。そのため、即戦力にこだわらず、未経験者でも伸びしろのある人材を採用し自社で育てるといったポテンシャル採用のニーズが高まったといえます。
また、もう一つの理由として、従来の採用方法では、多様なバックグラウンドを持つ人材を確保できないということも挙げられます。現状の新卒採用や中途採用といった方法では、海外留学をしたり、資格を取得したり、起業したりした優秀な人材を採用できません。そのため、ポテンシャル採用の注目度が高まったといえます。
ポテンシャル採用のメリット
ポテンシャル採用を行う際には、メリットを把握しておきましょう。ポテンシャル採用のメリットには、次のような点が挙げられます。
- ビジネスマナーが身に付いた人材を採用できる
- 企業の新陳代謝ができる
- 幅広い人材に出会える
詳しくは次の通りです。
ビジネスマナーが身に付いた人材を採用できる
ポテンシャル採用のメリットは、ビジネスマナーなどの社会人としての基本的なマナーや素養を備えた人を採用できることです。
ポテンシャル採用では、社会人経験を経て未経験分野に応募した人材を採用することができます。そうした人材は、業界や業務において未経験でも、社会人としてのビジネスマナーなどの素養は、前職で身に着けています。
社会人としての基礎が身に着いているため、新卒採用などと異なり、社会人としての基礎を学ぶための研修・教育の必要がない点が利点です。
企業の新陳代謝ができる
企業の新陳代謝につながる点もポテンシャル採用のメリットです。
ポテンシャル採用では、20代~30代の若手社員を取り入れることができます。若手社員が増えることは、企業内の人材の高齢化を防ぎ、世代交代を無理なく進めることにも役立ちます。また、20代~30代に自社にない視点を持つ社員が増えることで、新しい考えが仕事に反映されるなど、組織に変化を与えることもできます。
組織の若返りを図れたり、新しい視点を取り入れたりと企業の新陳代謝につながります。
幅広い人材に出会える
ポテンシャル採用では、幅広い人材に出会えることもメリットです。
ポテンシャル採用では、自社に必要なスキルや経験にこだわらず採用するため、通常の新卒・中途採用であれば書類選考で落ちてしまう人材を、採用することも少なくありません。
そのため、自社では今まで採用していないような考え方や行動力を持つ多様なタイプの人材に出会えるでしょう。
ポテンシャル採用のデメリット
ポテンシャル採用にはデメリットもあります。ポテンシャル採用を検討する際には下記のデメリットも把握しておきましょう。
- 教育コストと時間がかかる
- 早期離職の可能性がある
詳しくは次の通りです。
教育コストと時間がかかる
ポテンシャル採用のデメリットは、人材教育のコストと時間がかかる点です。
ポテンシャル採用で採用した人材には、自社で求められるスキルや実務経験がないため、スキルを身に着け、経験を積んでもらうための教育が必要です。そうした人材教育のために、研修プログラムを設けたり、教育担当者を割り当てたりと体制を整えなければなりません。
そのため即戦力として採用する一般的な中途採用の人材よりも、教育コストと時間がかかるといえます。
早期離職の可能性がある
ポテンシャル採用では、早期離職の可能性がある点もデメリットです。
ポテンシャル採用で採用された人材は、前職においても早期に離職しています。会社の業務や文化が自分に合わない、あるいは、想定してたようなキャリアが積めないということになると、再び離職してしまう可能性があるといえるでしょう。
人材教育にコストと時間をかけても短期間で転職されてしまう可能性がある点が、ポテンシャル採用の難点といえるでしょう。
ポテンシャル採用を成功させるコツ
ポテンシャル採用を成功させるためにはコツがあります。具体的には、下記の点を意識してポテンシャル採用をすることが大切といえます。
- 企業理念や会社の文化に合う人材を採用する
- 採用広報により自社が求める人物像をアピールする
- 面接を工夫する
- リファラル採用を活用する
詳しくは次の通りです。
企業理念や会社の文化に合う人材を採用する
ポテンシャル採用を成功させるには、自社の企業理念や自社の文化に合う人材を採用することが特に大切だといえるでしょう。
ポテンシャル採用の人材については、スキルや経験が乏しくとも、企業理念や文化が合っていれば、同じビジョンを持って働いてもらえる可能性が高まります。自社の期待する方向性で活躍してもらうためにも、企業理念や文化に合う人材であるかどうか見極めることが重要です。
自社のビジョンやカルチャーに合う人材を見極める方法としては、例えば、適性検査を活用するなどして、客観的・効率的に自社に合う人材を判断するといった方法があります。
採用広報により自社が求める人物像をアピールする
ポテンシャル採用を成功させるには、採用広報により、どのような人材を自社が求めているか、しっかりとアピールすることが大切です。
ポテンシャル採用の求職者は、SNSやホームページ、求人サイトなどに掲載された採用広告を見て、応募してきます。そのため、自社の求める人物像を具体的にアピールすることで、その人物像に合った人材の応募が見込めるでしょう。
自社の求める人材、ビジョン、文化、社員の声などを積極的に伝えることで、求める人物像が伝わりやすくなり、適した応募者が増え、採用がしやすくなるといえます。
面接を工夫する
ポテンシャル採用の成功のためには、面接を工夫することも大切です。
例えば、自社の求めるポテンシャルを持っているかを見極めるための質問項目を用意する、複数の社員に面接に立ち会ってもらって判断するといった工夫が必要です。
質問項目としては、例えば、自社でどう活躍したいか、自社でどのようにキャリアを積んでいきたいかなど、求職者の描く未来について尋ねることも大切です。求職者の思い描いているビジョンを聞くことで、自社のビジョンや方針と合っているかを判断できます。
リファラル採用を活用する
ポテンシャル採用を成功させるためには、リファラル採用を活用することもおすすめです。
リファラル採用とは、社員や取引先など社内外の信頼できる人から、自社に合う人材を紹介してもらって採用することです。自社のことと紹介する人材のことをよく知る人から紹介してもらうため、自社に合った人材を探しやすいという特徴があります。
リファラル採用を活用したポテンシャル採用は、コストを抑えて自社に合った人材を見つけられるため、成功につなげやすいといえるでしょう。
ポテンシャル採用を失敗させないための注意点
ポテンシャル採用を失敗させないためには、注意点もあります。具体的には下記の3点です。
- 自社が求めるポテンシャルを明確にする
- キャリアビジョンをすり合わせる
- 教育やサポートの体制をつくる
詳しくは次の通りです。
自社が求めるポテンシャルを明確にする
ポテンシャル採用で失敗しないためにも、自社が求めるポテンシャルを明確にしておくことが大切です。
そもそも自社の求めるポテンシャルを具体的に把握できていないと、それに適した人材を見極めることができません。入社後にミスマッチが発覚することのないように、自社が求めるポテンシャルの内容やそのポテンシャルをどの程度求めるか、どう評価するかを決めておきましょう。
例えば適性検査を用いて、求めるポテンシャルの特性(行動力、リーダーシップ、コミュニケーション能力)などを客観的に図るといった方法もあります。自社に合ったポテンシャルを持つ人材を確保するためにも、まずは自社の求めるポテンシャルを具体化しましょう。
キャリアビジョンをすり合わせる
ポテンシャル採用では、候補者とキャリアビジョンをすり合わせておくことも、失敗を避けるためにも大切です。
入社後、候補者の望むキャリアビジョンを実現できるキャリアパスを企業が提供できないと、ミスマッチとなり、早期離職を招きかねません。
面接では候補者の入社後のキャリアビジョンを聞くと共に、企業側も入社後にどのようなスキルを身に着けてどのように活躍をしてもらいたいかをしっかりと話すようにしましょう。
教育やサポートの体制をつくる
ポテンシャル採用では、教育やサポートの体制を作ることも大切です。
ポテンシャル採用では、入社後に自社の求めるスキルや経験を身に着けてもらう前提で採用するため、入社後の育成が重要といえます。教育やサポートの体制がないと、採用された人の能力を効率的に伸ばすことができません。
採用した人に活躍してもらうためにも、教育やサポート体制を整えるようにしましょう。
ポテンシャルを見極めるコツ
ポテンシャルの高い人を採用しようとしても、どのように見極めればいいか疑問に思う人も少なくないでしょう。以下では、ポテンシャルを見極めるコツ3点について紹介します。
- 学習意欲があるか
- アンテナを張っているか
- 目標達成意欲があるか
詳しくは次の通りです。
学習意欲があるか
学習意欲がある人材は、入社後に成長するポテンシャルが高いといえるでしょう。学習意欲が高い人は、入社後も、仕事に必要だと思われる知識やスキルを身に着けるべく、自ら学べる人材です。
学習意欲があるかどうかは、現在どのようなことに取り組んでいるか、希望する職種についてどの程度研究や学習をしているかなどを聞くことで確かめることができます。積極的に学ぶ姿勢があったり、学んだ実績があったりする場合は、自ら成長する可能性を大いに秘めているといえるでしょう。
アンテナを張っているか
常にアンテナを張って世の中の情報をキャッチしている人材は、未経験分野の仕事においても役立つ情報を吸収し、学び、役立てていけるポテンシャルの高い人材といえます。
アンテナを張っている人材かどうかは、現在どのようなニュースや事柄に関心があるかを聞くと良いでしょう。ただし、新しい情報をキャッチしているとはいえ、誤った情報を鵜呑みにしていては、意味がありません。新しい情報をどのように受け止め、どう役立てているかなども合わせて聞くことが大切です。
目標達成意欲があるか
目標達成意欲がある人も、ポテンシャルの高い人材といえるでしょう。
仕事や生活において自ら目標を立て、達成するという意欲や習慣のある人は、未経験分野への転職においても、自ら目標達成に向けて行動できる人といえます。会社が人材教育やサポートの体制を整えていても、本人に目標達成意欲がないと、効果は期待しにくいでしょう。
特にキャリアチェンジにおいては学ぶべきことが多いため、目標を達成したい意欲がある人材の方が早い成長や高い成果が期待できるといえます。
ポテンシャル採用を成功させ自社に合う人材を採用しよう
ポテンシャル採用とは、求職者の持つスキルや実績でなく、潜在能力で評価して採用する方法のことです。
ポテンシャル採用のメリットには、社会人としての基礎を身に着けた人材を採用できる他、企業の新陳代謝ができたり、幅広い人材に出会えたりすることが挙げられます。一方、デメリットは、教育コストと時間がかかることや、早期離職の可能性がある点です。
ポテンシャル採用を成功させるためには、企業の理念や文化に合った人材を採用するようにしたり、採用広報で自社の求める人物像を明らかにしたりする工夫が必要です。
ポテンシャル採用を含め、自社の人材採用にお悩みの際には、お気軽に新卒採用支援サービスkimeteにご相談下さい。
新卒採用支援サービスkimeteは、これまで30年かけて培ってきたノウハウを結集して、さまざまな採用に関する課題・お悩みを解決するサービスです。
以下の資料では、新卒や内定者の定着率を維持するためにはどうしたらいいのかなどを解説しております。また、最後にはkimeteが提供する様々なサービスについてもご紹介しています。Kimeteでは複数の適性検査サービスや、採用のコンサルティングサービスなどを提供しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。