採用担当者や人事担当者であれば、オープンカンパニーについて把握しておきたいところです。しかし、内容を詳しく理解している人は、少ないのではないでしょうか。
そこで当記事では、「オープンカンパニーの定義や目的」「インターンシップとの違い」「メリットや注意点」「効果的な実施方法」まで、幅広く解説します。
オープンカンパニーについて情報を理解し、自社の採用戦略に活用するヒントを得たい場合には、ぜひ参考にして下さい。
オープンカンパニーの定義
オープンカンパニーとは、企業が学生に対して自社情報をオープンにし、交流する機会を提供するための取り組みです。従来のインターンシップとは違う新たなスタイルとして、注目を集めています。ここでは、オープンカンパニーにおける定義として、「目的」「実施内容」「開始時期」の側面から、具体的に見ていきましょう。
目的
オープンカンパニーの目的は、企業と学生で異なります。
企業側の目的は、自社の魅力や事業内容を伝え、将来的な採用につなげることです。企業文化や職場環境、事業の特徴や将来性などを効果的にアピールし、学生のエントリーにつなげます。
学生側の目的は、企業や業界について理解を深め、自身のキャリアプランを考える機会としての活用です。社員との交流を通じて、仕事の実態・必要なスキル・キャリアパスなどを、具体的にイメージしたいと考えます。
実施する内容
オープンカンパニーでは、就業体験は必要ありません。代わりに、学生が仕事や業界に対する理解を深められるような内容が中心となります。一般的な実施内容として、「会社説明会」「社員との座談会」「職場見学」「業界動向の講演」などが存在し、企業の特性や規模・業界によってアレンジされることが特徴です。グループワークやケーススタディなどを取り入れ、学生が主体的に参加できる工夫を施す企業も増えています。
いつから実施できるか
オープンカンパニーの実施時期や期間に、明確な規定はないため、企業の裁量で「通年」や「特定の時期」に開催できます。一般的には、夏季・冬季休暇中や、週末を利用して実施するケースが多いものの、平日での開催も可能です。
また多くの企業は、採用スケジュールにあわせて戦略的に開催時期を決定しています。夏季休暇中に1日コースを実施し、冬季休暇中に3日間のプログラムを設けるなど、段階的に内容を深める企業も見受けられます。オンラインでの開催も増えており、全国の学生に対するアプローチも可能です。
就活におけるオープンカンパニーとインターンシップの違い
オープンカンパニーとインターンシップは、一見似ているように思えるものの、実際には大きな違いが存在します。効果的な採用活動を実施する上で、両者の違いを理解することは重要です。またオープンカンパニーとインターンシップの違いは、「職業体験の有無」と「参加可能な学年」の側面から確認できます。
「オープンカンパニー」と「インターンシップ」の違いについて、詳細は以下の通りです。
職業体験の有無
オープンカンパニーとインターンシップにおける最大の違いは、職業体験の有無です。インターンシップは、実務体験がメインの目的になります。対するオープンカンパニーは、業務体験を必要とせず、企業説明や社員との交流が中心となります。職業体験の有無により、インターンシップは5日間以上の実施が必要なものの、オープンカンパニーは1日でも実施が可能です。
また2025年卒業予定者からのルール変更により、従来インターンシップと呼ばれていた短期プログラムの多くが、オープンカンパニーに分類されるようになりました。そのため、企業の採用担当者は、ルール変更に注意が必要です。従来のプログラムを「インターンシップ」と呼び続けると、学生に誤解を与える可能性があるため、適切な名称を使用し内容を明確に伝えると良いでしょう。
参加可能な学年
オープンカンパニーの特徴は、参加可能な学年に制限がないことです。1年生から4年生まで、全学年の学生が参加できます。参加できる学年にリミテーションがないため、企業は「幅広い層の学生」に対し、アプローチが可能になります。
一方でインターンシップは、一般的に「就職活動が本格化する3年生以上」が対象です。実際の業務を体験するため、ある程度の知識や準備が必要という背景が関係します。
オープンカンパニーでは、1・2年生にも自社や業界に興味を持ってもらうチャンスがあり、長期的な視点で人材確保を考える企業にとってメリットとなるでしょう。
オープンカンパニーのメリット
オープンカンパニーは、企業にとって多くのメリットをもたらす革新的な採用手法です。従来の方法とは異なり、学生との直接的な交流を通じて、企業の魅力を効果的に伝えられます。学生の生の声や反応を得られるため、採用戦略の改善にも役立つでしょう。ここでは、オープンカンパニーが企業にもたらす「具体的なメリット」について解説します。
学生に自社の魅力や情報を直接伝えられる
オープンカンパニーにおけるメリットは、学生に自社の魅力や情報について、ダイレクトに伝えられることです。Webサイトや募集要項では伝えきれない、企業の雰囲気や社員の生の声を、学生に届けられます。「事業内容の詳細」「実際の働き方」「社内の雰囲気」などを、より具体的に伝えられるでしょう。
社員との対話を通じて、企業の価値観や将来のビジョンも共有できます。学生は自分と企業との相性を判断しやすくなり、企業にとっても「採用のミスマッチ防止」が期待できます。
1・2年生にもアプローチできる
オープンカンパニーは学年不問で参加できるため、1・2年生の低学年生にもアプローチでき、早い段階から自社や業界に興味を持ってもらえる可能性があるでしょう
低学年生との接点を持つことで、長期的な視点での採用戦略も立てられます。業界への理解を深めてもらい、将来的に自社への就職を検討してもらうきっかけもつくれるでしょう。また学生の意見を聞くことで、若い世代のニーズや価値観を理解し、自社の採用活動や企業文化の改善にも活かせます。
オープンカンパニーにおける注意点
オープンカンパニーにはメリットが存在するものの、同時に注意が必要な点もあります。オープンカンパニーを有効に実施したい場合には、注意点について十分に理解した上で、適切に対応する必要があるでしょう。
ここでは、オープンカンパニーを実施する際に、注意が必要な点について解説します。
学生の情報を採用活動に活用できない
オープンカンパニーでは、2025年卒採用から適用の新しいインターンシップ類型によって、「参加した学生の情報を採用活動に活用できない」と定められました。背景には、公平な採用活動の確保といった事情が見受けられます。
具体的には「オープンカンパニー参加者をメモ」「選考での利用」「参加した学生だけに採用情報を送る」などが、禁止されています。参加者の個人情報を保管し、採用活動で使用することも認められていません。ただし、学生から企業に連絡をしてきた場合には、個別対応が可能です。
学生と企業間の個別のコミュニケーションが難しい
オープンカンパニーは、学生と企業の1対1でのコミュニケーションを行うには、不向きな側面があります。通常においてオープンカンパニーは集団形式で行われるため、個々の学生との深い対話は難しいでしょう。個別の質問や相談に応じることも制限されるため、個別のニーズへの細かな対応は困難な傾向にあります。
学生の個性・能力を詳細に把握したい場合や、特定の学生と深いコミュニケーションを取りたい場合は、「正規の採用選考」や「学生が自主的に参加できるイベントを開催」など、別の機会を設ける必要があるでしょう。
オープンカンパニーのポイント
オープンカンパニーを効果的に実施するには、「ターゲット設定」「自社への興味の創出」「開催時期や方式」など、いくつかの重要なポイントが存在します。各種の要点を押さえることで、学生と企業の双方にとって、有意義な機会を創出できるでしょう。
以下にて、詳しい内容を解説します。
目的を絞りターゲットを決める
オープンカンパニーを成功させるには、まず目的を明確にし、ターゲットを絞ることが重要です。参加する学生の中には、業界や職種の希望が定まっていない人もいる可能性があるため、幅広い情報提供の実施を検討しましょう。
例えば、業界全体の動向やさまざまな職種の仕事内容を説明することで、学生の興味を引き出せます。また、自社の特徴や強みを明確に伝えることで、ターゲットとする学生層に効果的にアプローチできます。
目的とターゲットをクリアにすることで、プログラムの内容や進行方法を最適化し、効果の高いオープンカンパニーを実施できるでしょう。
自社に興味・魅力を感じてもらえるようにする
オープンカンパニーでは、学生に自社の魅力を伝えることが不可欠です。採用したいと思うような学生が、興味を持ちやすい内容を盛り込むと良いでしょう。
その際に、「仕事のやりがいや成長機会」「ワークライフバランス」「社内の雰囲気」などについて、具体的なエピソードを交えた紹介が効果的です。社員の生の声を聞く機会を設けることで、より現実的な企業イメージを伝えられます。
また、自社の独自性や強みを明確に示し、他社との差別化を図ることも重要です。独自の技術やサービス、社会貢献活動などを紹介することで、学生の印象に残りやすくなります。
開催時期や方式を決める
オープンカンパニーの成功には、適切な開催時期と方式の選択が重要です。
夏季休暇や春季休暇中や、就活が本格化する前の「3年生の秋から冬にかけての時期」は、学生が参加しやすい時期だといえます。
方式については、対面とオンラインの両方を検討すると良いでしょう。対面形式では、直接的なコミュニケーションが可能であり、職場の雰囲気を感じてもらえます。一方でオンライン形式は、遠方の学生も参加しやすく、多くの学生に対するアプローチが可能です。
オープンカンパニーの例
オープンカンパニーの具体的な実施方法には、さまざまな形態があります。それぞれの企業の特性や目的に応じて、最適な方法を選択することが重要です。ここでは、代表的なオープンカンパニーの例をいくつか紹介します。例を参考にし、自社に最適な形式を検討してみましょう。
職場見学
職場見学は、実際の就業環境を体感してもらう効果的な方法です。社員が働く場所を見学することで、入社後の働く姿を想像しやすくなります。
例えばオフィスツアーを行い、各部署の配置や雰囲気を紹介します。最新の設備や技術を見せれば、企業の先進性をアピールできるでしょう。社員の働く様子を間近で見ることで、職場の雰囲気や社員の特徴も感じられます。
職場見学では、「特定の部署で行われるプロジェクトの概要」や「コミュニケーションツールの使用方法」など、各所で簡単な説明を加えることも重要です。補足説明によって、より具体的な就業イメージを持ってもらえます。
座談会
座談会を開催し、社員が「自社情報」や「自身の経験」を語ることで、現実的でリアルな企業イメージを伝えられるでしょう。
典型的な座談会では、さまざまな部署や経歴の社員が参加し、学生からの質問に答えます。その際に、「学生時代の就活体験」「入社後のギャップ」「仕事のやりがい」などを率直に語ることで、学生の共感を得やすくなります。
座談会では、少人数のグループにわかれるなど、学生が質問しやすい雰囲気づくりも重要です。事前に学生から質問を集めておき、質問に基づいて進めれば、より有意義な交流が可能になります。
業界・職種の解説
オープンカンパニーでは、座談会などと一緒に、講演のような形で業界や職種の解説を行うことも効果的です。自社の事業領域や、学生にとってなじみの薄い職種について、分かりやすく説明することが重要です。
業界全体の動向や将来性、主要なプレイヤーや競合状況などを解説することで、学生の業界理解を深められるでしょう。
職種の解説では、具体的な業務内容や必要スキル、キャリアパスなどを詳しく説明します。実際の業務で使用するツールやシステムのデモンストレーションを行うなど、視覚的な要素を取り入れると、学生の理解をより促進させられます。
まとめ
効果的なオープンカンパニーを実施し、学生に自社の魅力を効果的に伝えられれば、将来の人材確保につながる可能性が高まるでしょう。しかし、オープンカンパニーの実施には課題も存在します。参加学生の情報管理・公平性の確保・効果測定などの課題に対処するには、適切な戦略立案と実行が不可欠です。
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