新入社員を迎えるためにどんな書類が必要で、どのような業務が発生するのか分からず、悩んでいる採用担当者は、多いのではないでしょうか。新入社員に活躍してもらうには、スムーズな入社手続きが大切です。
そこで本記事では、入社案内に必要な書類や入社案内メールの内容について解説します。賢く入社案内を送付して採用を成功させるコツも紹介します。ぜひ、最後までご覧下さい。
企業側|入社案内書類のテンプレート
ここでは、企業が準備する入社案内のテンプレートについて解説します。新卒向けと中途採用・転職者向けのテンプレートを紹介しますので、自社に合った内容にカスタマイズしてご活用下さい。
新卒向け入社案内テンプレート
新卒向けの入社案内テンプレートは、以下の通りです。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇 〇〇様
入社手続きのご案内
株式会社〇〇〇〇
所在地
代表取締役社長〇〇 〇〇
(人事部長)〇〇 〇〇
拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
さて、先日当社の入社試験にご応募頂き、誠にありがとうございました。
厳正な選考の結果、〇〇様の採用を内定いたしました。
つきましてはご入社に当たり、手続きのご案内を申し上げます。
お手数をおかけいたしますが、以下の書類を所定日(〇〇月〇〇日)までに、ご用意頂きますよう、お願い申し上げます。
入社承諾書
誓約書
身元保証書
住民票記載事項証明書
卒業見込み証明書
通勤定期券申請書
扶養控除等申告書
以上
企業によって内定者に提出してもらう書類は異なる場合がありますので、自社の様式にカスタマイズして、ご活用下さい。
1-2 中途採用・転職者向け入社案内テンプレート
中途採用・転職者向けの入社案内テンプレートは、以下の通りです。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇 〇〇様
入社手続きのご案内
株式会社〇〇〇〇
人事部長〇〇 〇〇
拝啓 時下ますますご清祥のことと、お慶び申し上げます。
先日は当社の入社試験にご応募頂き、誠にありがとうございました。
厳正な選考の結果、〇〇様の採用を内定いたしましたので、ご通知申し上げます。
つきましてはご入社に当たり、手続きのご案内を申し上げます。
お手数をおかけいたしますが、以下の書類を所定日(〇〇月〇〇日)までに、人事部までご郵送頂きますよう、お願い申し上げます。
入社承諾書兼誓約書
健康診断書
最終学歴の卒業証明書
身元保証書
以上
こちらのテンプレートはあくまで一例であるため、提出書類や内容を自社で使いやすいように変更した上でご活用下さい。
入社案内の郵送時に同封する書類
ここでは、入社案内に同封する書類について解説します。入社案内を郵送する際にミスが発生すると、入社手続きに遅れが発生する場合があるため、漏れなく郵送することが重要です。
通知書兼雇用契約書
労働条件通知書とは、企業と内定者が労働契約を結ぶ際に法律によって交付が義務付けられている書類です。また雇用契約書とは、雇用契約内容に企業と内定者の双方が合意したことを証明する書類を指します。
労働条件通知書と雇用契約書は、労働契約の期間や就業場所、従事する業務などの労働条件を記載する必要があり、記載項目はほとんど同じです。そのため、労働条件通知書兼雇用契約書として内定者に交付できます。
発行時期は企業の裁量に任されており、入社式当日に手渡す企業もあるようです。しかし、入社手続きを滞りなく進め内定者に安心してもらうためにも、内定承諾直後のような早めの時期に労働条件通知書兼雇用契約書を交付することが望ましいでしょう。
採用通知書
採用通知書とは、企業が応募者に採用試験に合格したことを示す書類です。採用通知書を交付する理由は、採用の意思表示を応募者へ示すことにあります。ただし書類で通知することが、法律によって義務付けられているわけではありません。
そのため、企業によっては口頭やメールで採用通知することもあります。義務ではないため、書類の様式や記載項目、発行時期は企業の裁量に任されています。採用通知書には、以下の内容を記載することが一般的です。
- 応募についてのお礼
- 採用内定のお知らせ
- 入社日(未定の場合は別途連絡する旨を記載)
- 問い合わせ先 など
採用通知書を交付することで企業の採用意思を応募者に伝え、入社する意識を高める効果が期待できます。
送付状
送付状とは、差出人が受け取り相手にどんな書類を交付するか明記する書類のことです。書類を交付する際には、送付状を添えて送ることがビジネスマナーとされています。送付状を同封することによって、受け取った相手に中身が分かりやすくなるメリットがあります。
送付状に記載する内容は、以下の通りです。
- 交付日
- 受け取り相手の氏名
- 差出人の氏名や役職
- 交付する書類一覧
- 受け取り相手に行ってもらいたいアクション
受け取り相手に行ってもらいたいアクションには、書類を返送してもらうことや入社式に出席することなどがあります。返送してもらうには、返送先や返送期日を記載することも大切です。
その他(返信用封筒・パンフレットなど)
入社案内に同封する書類には、返信用封筒や自社のパンフレットなどがあります。書類を返送してもらう場合、返信用封筒を同封することがおすすめです。内定者にとって、封筒を自分で用意し宛先を書く手間が省けます。
企業にとっては内定者の手間を省くため、早期に返送してくれることが期待できるでしょう。宛先違いで書類が間違って配達される心配も減ります。また、内定者の入社意思の高まりが期待できるため、自社のビジョンや価値観を示すパンフレットを同封するのも良いでしょう。
自分で選んだ企業のパンフレットを見ることで、客観的に内定先の価値観を内定者は感じられます。キャリアパスや社内制度に触れたパンプレットも良いでしょう。内定者に入社した後の良いイメージを喚起させ、入社意思を高めます。
具体的な例文を確認!案内メールのテンプレート
入社案内はメールでの通知も可能です。メールで送付する入社案内例文は、以下の通りです。
件名:【重要】入社手続きのご案内
〇〇 〇〇様
〇〇〇〇株式会社、人事部の〇〇でございます。
先日は当社の採用試験にご足労頂き、誠にありがとうございました。
厳正な選考の結果、〇〇様の内定が決定いたしました。
つきましては、入社に際し必要な書類を本日郵送いたしました。
必要事項に記入、押印の上、〇〇月〇〇日までにご返送下さいますよう、お願いいたします。
提出書類は、以下の通りです。
・雇用誓約書
・身元保証書
・健康診断書(3ヶ月以内に受診したもの)
・卒業証明書
手続きについてご不明な点がございましたら、〇〇までお気軽にお尋ね下さい。
改めまして、この度は数ある企業の中から当社に応募して頂き、ありがとうございました。
〇〇様と一緒に働ける日を楽しみにしております。
メールにて恐縮ではございますが、取り急ぎご連絡いたします。
********************************************
〇〇〇〇株式会社
人事部総務課 〇〇 〇〇
〇〇〇〇@〇〇.co.jp
郵便番号
住所
電話番号 FAX番号
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記載内容の詳細については、以下で詳しく解説します。
内定者の氏名などの基本情報を正確に記す
内定者を尊重する姿勢を示し自社への信頼につなげるために、内定者の氏名や差出人名を正確に記入することが重要です。氏名を間違えると、「大切にされていない」や「いい加減な仕事をする企業」と内定者は感じる場合があるため、正確に記載しましょう。
具体例は、以下の通りです。
〇〇 〇〇様
〇〇〇〇株式会社、人事部の〇〇でございます。
署名には、企業名、所属部署、担当者の氏名を記載します。メールアドレス、企業の所在地、電話番号やFAX番号など問い合わせ先も正確に書きましょう。企業の代表として、内定者に入社案内メールを送付すると認識し、記載内容を確認した上で送付することが重要です。
内定者の氏名はフルネームで正しく記載し、差出人は企業名、部署名、差出人名の順に書きます。また、メールの最後に差出人の署名をすることが、一般的です。具体例は以下の通りです。
〇〇〇〇株式会社
人事部総務課 〇〇 〇〇
〇〇〇〇@〇〇.co.jp
郵便番号
住所
電話番号 FAX番号
署名には、企業名、所属部署、担当者の氏名を記載します。メールアドレス、企業の所在地、電話番号やFAX番号など問い合わせ先も正確に書きましょう。企業の代表として、内定者に入社案内メールを送付すると認識し、記載内容を確認した上で送付することが重要です。
簡潔に件名を書く
分かりにくい件名では他のメールに紛れてしまい、迷惑メールと内定者に勘違いされる可能性があるため、内定者に分かりやすい件名を記載することが重要です。件名の具体例は、以下の通りです。
- 【重要】入社手続きのご案内
- 【内定者向け】入社手続きの詳細と注意事項
- 【お知らせ】入社日と必要書類について
【重要】や【内定者向け】と件名に記載すると内定者に分かりやすく、読んでもらいやすいでしょう。
お礼の文など内定者に配慮した内容を記載する
新しい職場に対しては内定者の多くが不安を持っているため、安心してもらえるように応募してくれたことへのお礼や問い合わせについて記載することが大切です。具体例は以下の通りです。
手続きについてご不明な点がございましたら、〇〇までお気軽にお尋ね下さい。
改めまして、この度は数ある企業の中から当社に応募して頂き、ありがとうございました。
〇〇様と一緒に働ける日を楽しみにしております。
メールにて恐縮ではございますが、取り急ぎご連絡いたします。
事務的過ぎたり馴れ馴れしかったりすると、内定者は企業に対してマイナスの印象を持つ場合があるため、あくまでビジネスメールとして入社案内メールを送付しましょう。
ビジネスメールでは、簡潔な件名で丁寧なあいさつを行い、要点を分かりやすく記載します。相手の時間をなるべく奪わないように読みやすくするのが大切です。
入社案内を送付する際の注意事項
内定者に安心して入社してもらうために入社案内は重要です。しかし、内定者に寄り添った対応ができない場合、内定者を不安にさせる場合があります。入社案内を送付する前に担当者は、注意点を確認しておきましょう。
入社日・提出書類の期限などの必要事項を漏れなく記載する
内定式や入社日などの今後の予定や書類の提出期限を記載しておくと、内定者の不安を減らすことにつながるため、必要事項を漏れなく記載することが大切です。漏れなく記載することで、同じ内容のメールを何度も送付することを防げます。
入社案内メールに記載する内容は、以下の通りです。
- 提出書類
- 内定式や入社日の日程
- 問い合わせ先の担当者名
メールを何度も送付すると、内定者にストレスを与え企業の印象が下がる可能性があるため、注意が必要です。
いつ送るのかに注意する
差出人の就業時間内にメールを送付することが大切です。差出人が勤務していても、深夜にメールを送付するのは避けましょう。深夜に送付すると、内定者は「こんな時間まで働いているのか」と感じ、自分も深夜まで働くのかと不安になる場合があります。
そのため基本的に就業時間内に送付するのが良いでしょう。また内定者からの問い合わせには、なるべく早く返信すると、内定者は安心します。24時間以内を目安に返信しましょう。
入社案内などの入社手続きが重要な理由
入社してから活躍してもらうために、適切に入社手続きをすることが重要です。適切に入社手続きを行うと、内定者は入社後に安心して業務に集中できます。しかし、入社手続きに不備があったり業務に必要な備品が入社時にそろっていなかったりすると、業務をうまくこなせないでしょう。
他にも、健康保険証が入社時に手元にないと病院を受診した場合、内定者は不便に感じます。社員として必要なものが入社時にそろっていないと、不満につながる場合があります。また、企業がコンプライアンスを確保するためにも、入社手続きが大切です。
労働条件通知書は労働者を雇用する際に企業が交付することが法律で義務付けられています。入社手続きを適切に行うと、内定者は安心して働くことができ、人材流出を防ぐことにつながります。
賢く入社案内を送付して採用を成功させるコツ
内定者に入社してから業務をスムーズに行ってもらうためには、事前準備が欠かせません。ここでは、入社手続きをうまく行うコツについて解説します。
1月頃から入社式・入社説明会などを含めた手続きに備える
新卒を迎える場合、入社してからスムーズに業務が開始できるように、1月頃から入社手続きを行うことが大切です。新卒の場合、初めて社会人となるため不安な内定者が多いと予想できるため、入社説明会を実施しましょう。
入社説明会とは入社前にオリエンテーションを行うことで、同期や先輩社員との顔合わせを行います。経営理念の理解や既存社員との関係を深めておくことで、入社後にスムーズに職場に適応できるようにすることを目的とします。
また新卒の場合、内定から時間が経っており、内定者の人となりを確認するために入社説明会を活用するのが良いでしょう。配属先への打診を行い、入社時の研修内容を検討します。2月には、内定者に必要な書類を提出してもらうために入社案内を送付しましょう。
ただし、初めて社会人となる新卒の場合、健康保険や厚生年金の加入、マイナンバーなど、知らないこともあると予想できます。そのため、丁寧に説明することが重要です。
人事担当と連携して円滑に業務を始められるよう準備をする
入社後の研修や備品の手配を行う人事担当と連携して入社手続きを進めることで、内定者は入社後から業務を円滑に行えます。社員証やパソコン、名刺など、業務を行うために必要なものをそろえておくことが大切です。
入社後に健康保険を使用する場合があるため、健康保険証の代用になる資格証明書を発行しておくのが良いでしょう。他部署と連携して入社後に滞りなく業務ができる内定者に寄り添った対応をすると、「大切にされている」と感じ帰属意識が高まることが期待できます。
まとめ
入社案内は、内定者が入社してからスムーズに業務ができるようにするための手続きです。内定者に必要な書類を提出してもらい、配属部署を決めたり他部署が必要な備品を手配したりします。しかし、他部署との協力がうまくいかず悩んでいる採用担当者は多いのではないでしょうか。
採用活動を円滑に進めるには、プロの知識を借りることをおすすめします。プロの知識をまとめた資料を探している担当者は、kimeteの「新卒採用成功のポイント」を利用しましょう。
「新卒採用成功のポイント」を利用すれば、採用活動を円滑に進められます。「新卒採用成功のポイント」をダウンロードして内定者に寄り添った対応を行い、ミスマッチの少ない採用を目指しましょう。