採用活動を実施し、採用試験に合格した人には内定通知書を送付して連絡することが一般的です。内定通知書の書き方やどのような点に気をつけるべきか、また法的な効力があるのか知りたいという採用担当者の方もいるのではないでしょうか。

本記事では、内定通知書の基本的な知識や書き方、法的効力について解説します。盛り込まなければならない内容や注意点の他、内定通知書のテンプレートもご紹介しますので、お役立て下さい。

内定通知書とは

内定通知書は自社の採用試験に合格した人に向けて送る書類です。まずは、採用通知書を作成するにあたって定義や発行義務、法的効力について確認しておきましょう。

内定通知書の意味・定義

内定通知書とは自社の採用試験に合格した人に対して、合格したことを知らせるための書類です。内定通知書の交付は労働契約法第6条の「労働契約の成立」に該当するため「内定通知=労働契約の締結」を意味します。

つまり、応募者に入社したいという意思があり、企業も入社意思を確認した上で入社を承諾している状態です。

内定通知書の発行義務

内定通知には法的な発行義務はありません。発行する目的のひとつは、企業と応募者の間で後にトラブルにならないように、証拠として書面を残しておきたいという理由です。もうひとつは、早く内定通知者に入社の承諾を得たいという理由があります。

応募者は複数企業の面接を受けているケースも多いため、他社よりも先に内定を承諾してほしいと企業は考えるからです。

内定通知書の法的効力

内定は法律上「労働契約の締結」となるため、法的効力が発生します。厳密には、契約開始時期が決定しており、契約の解約権が企業に保留されている状態である「始期付解約権留保付労働契約」です。

つまり、既に労働契約が締結されている状態となるため、正当な理由がない内定取り消しは、解雇に該当します。これは労働契約法第16条の「解雇権の濫用」に該当し、無効です。

正当な理由とは以下のようなものを指します。

  • 学校を卒業できなかった
  • 就労に必要な免許や資格が取得できなかった
  • 就労できないほどの病気など、健康上の問題が発生した
  • 履歴書や誓約書などに重大な虚偽記載があることが判明した

ただし、通知書に内定の取り消し条件が記載されていることと、企業と応募者が合意することの2点が必要です。

 

内定通知書と似た用語との違い

採用に関して企業が発行する通知は、他にも「採用通知書」や「労働条件通知書」などがあります。内定通知書と似ていて、混同しやすい通知書との違いを確認しておきましょう。

採用通知書との違い

「採用通知書」と「内定通知書」は、どちらも企業が応募者に対して採用の意思があることを伝える書類です。「採用通知書」は正式に採用が決まった場合に発行され「内定通知書」は内定が決まった際に発行する書類となります。

「採用通知書」も「内定通知書」も発行の義務はありません。

そのため、別々に発行するケースや「採用内定通知書」として兼用して発行するケースなど、企業によって発行の仕方はさまざまです。

労働条件通知書との違い

「労働条件通知書」は労働基準法第15条の「労働条件の明示」により、全ての労働者と取り交わすことが義務付けられています。労働条件に対する双方の合意を示す書類で、2部作成して企業と労働者それぞれの署名押印が必要です。

具体的には給与や労働期間、就業場所などを記載する必要があります。ひな形は厚生労働省「東京労働局」のホームページからダウンロード可能です。

内定承諾書との違い

「内定承諾書」は内定を通知された応募者が内定を承諾し、企業に対し入社の意思を伝えるための書類です。企業が応募者に対し、あなたを採用する意思がありますと示すのが「内定通知書」で、入社する意思がありますと返答するのが「内定承諾書」だといって良いでしょう。

そのため、企業によっては「入社承諾書」や「入社宣誓書」としているケースもあります。

ただし、内定承諾書にも法的拘束力はありません。承諾後であっても、入社を辞退できることは覚えておきましょう。

 

内定通知書の書き方・記載内容

内定通知書は発行義務がありません。そのため、決まった様式はありませんが労働契約として成立するため、記載しておくべき項目がいくつかあります。内定通知書の書き方と内容について見ていきましょう。

日付

内定通知書はビジネス文書です。ビジネス文書には必ず日付を記入することが原則です。日付は「内定が確定した日付」もしくは「内定通知書を送付する日付」を記入しましょう。

内定通知者の氏名

内定通知の対象者(応募者)の氏名を記載します。記載にあたっては履歴書を確認しながら間違いないように気をつけましょう。

会社情報(社名・代表取締役の氏名など)

会社情報を記入します。会社名は(株)などのように省略せず、正規の表記で記載しましょう。また、人事担当者が作成したとしても、会社として発行するため発行者は代表取締役名となります。

お礼

自社の求人に応募してもらったことや、面接に来てもらったことに対してのお礼を必ず伝えましょう。採用通知には直接関係のない事項ですが、感謝の気持ちを添えるだけでも印象がよくなります。内定通知の段階ではまだ入社が決まっているわけではないため、印象が悪いと内定辞退につながることも少なくありません。

入社日・内定辞退の期限など

内定通知書には内定式や入社日を記載しておきましょう。内定者研修の日程も決まっていれば、記載しておくことをおすすめします。早めに通知することで、内定者はスケジュール調整がしやすくなり、参加率も高まります。

また、内定を辞退する場合は、入社日の2週間前までに連絡するよう促しましょう。内定は法律上「期間の定めのない労働契約」となります。2週間前までを期限とする理由は「期間の定めのない労働契約は意思表示から2週間が経過すると雇用関係が終了する」と民法第627条第1項で定められているためです。

したがって、遅くとも入社日の2週間前をタイムリミットに設定する必要があります。

同封書類の内容・提出期限など

内定通知書を送る時に「内定承諾書」や「入社誓約書」などを同封して、提出を求めるケースも少なくありません。書類の同封もれに気付いてもらうために、複数の書類を一緒に送る際は、何の書類を同封しているのかや提出期限も記載しましょう。

なお、期限までに提出がなければ採用取り消しになる可能性があることも明記しておく必要があります。

労働条件(給与など)

内定は労働契約の締結に該当するため、労働条件の明記が必要です。労働基準法第15条の「労働条件の明示」で記載が義務づけられています。

具体的には以下の項目を記載しましょう。

  • 労働契約の期間
  • 就業場所と業務内容
  • 始業および終業の時刻
  • 残業の有無
  • 休憩時間、休日、休暇
  • 賃金および支払いの方法
  • 賃金の締め切りおよび支払いの時期

内定の取り消し条件

「内定通知書」を発行した後は「やむを得ない正当な理由」がない限り内定取り消しはできません。したがって、万が一のことを考えて「やむを得ない理由」を記載しておきましょう。内定者だけでなく、企業側にも万が一の「やむを得ない理由」が発生する可能性があります。そのため、企業側の理由も記載しておくことが重要です。

「正当な理由」とは、客観的に見て合理的かつ社会通念上相当であると認められるものです。例えば卒業できなかった場合や、企業運営ができなくなった場合が該当します。内定取り消しは「解雇権の乱用」と誤解を招かないよう慎重な対応が必要です。

問い合わせ先

最後に担当者名と連絡先を記載しましょう。内定者が質問したいことがある場合、連絡がスムーズに取れるようにしておくと内定辞退の防止にもつながります。ここで記載する担当者名は代表者ではなく、実務担当者にしましょう。

 

内定通知書の送り方

内定通知書は郵送またはメールで送るケースがほとんどです。送る際に気をつけておくべきポイントを確認しておきましょう。

郵送

内定通知書は契約書の一種なので、重要書類として扱うことをおすすめします。郵送の場合は配達記録が残る書留で発送すると良いでしょう。万が一、届いていないなどトラブルが発生した時の証拠になります。

郵送で送る場合は返信用の書類など複数の書類を同封できるメリットがある一方で、書類が届くまでに時間がかかるというデメリットがあります。また、他の郵便物に紛れて確認が遅くなる可能性もあることには注意が必要です。

メール

メールで送るメリットは「すぐに内定したことを伝えられること」です。郵送とは異なり手間やコストが少ないです。しかし、メールの場合は迷惑メールフォルダに振り分けられ受信できないことや、そもそも見てもらえない可能性もあります。

したがって、メールで送信する場合は、開封通知が届く形で送信することをおすすめします。また、内定通知はメールで送ることを選考時に伝えておく必要があるでしょう。

 

例文|内定通知書のテンプレート

内定通知書を郵送で送る場合とメールで通知する場合では、文面を変える必要があります。

それぞれのテンプレートを紹介するので参考にして下さい。

郵送

郵送で送る際の内定通知書のテンプレートです。

◯◯年◯◯月◯◯日

◯◯◯◯様

株式会社◯◯◯◯ 代表取締役社長◯◯◯◯

内定通知書

拝啓 ◯◯様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
この度は、弊社の採用試験にご応募いただき、誠にありがとうございました。
厳正なる選考の結果、◯◯様の採用を内定いたしましたので、ご連絡申し上げます。
つきましては、同封の書類をご確認いただき、期日までに返信用封筒にてご返送下さい。

内定式および入社日は以下の予定となっております。

内定式:◯◯年◯◯月◯◯日
入社日:◯◯年◯◯月◯◯日

なお、次のいずれかの事由に該当する場合は、採用の内定を取り消すことがありますので、ご了承下さい。

 1.入社日の前日までに在籍学校を卒業できなかった場合
 2.採用承諾書を期日までに郵送できない場合
 3.病気やけがなど健康上の理由で入社日以降の出勤ができない場合
 4.履歴書や誓約書などに重大な虚偽記載があることが判明した場合
 5.会社の名誉毀損、信用および社会的評価を損なう反社会的な行為が認められた場合
 6.採用内定時には想定できなかった弊社の経営環境の悪化や運営の見直しが行われた場合
 7.その他、前各号に準ずるやむを得ない事由がある時

末筆となりましたが、残り少ない学生生活をご健康に留意され、引き続き学業に精励されますようお願い申し上げます。

ご不明な点がございましたら、下記連絡先までお問い合わせいただくようお願い申し上げます。◯◯様と共に働く日を社員一同、心よりお待ち申し上げております。

敬具

同封書類 入社承諾書 ◯通
     身元保証書 ◯通
     返信用封筒 ◯通

郵送期限 ◯◯年◯◯月◯◯日

お問い合わせ先 株式会社◯◯◯◯ 人事部◯◯◯◯
        電話番号◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯

以上

メール

メールで送る際の内定通知書のテンプレートです。

件名:【内定通知】株式会社◯◯◯◯

◯◯◯◯様

株式会社◯◯◯◯の◯◯◯◯でございます。

この度は、弊社の採用試験にご応募いただき、誠にありがとうございました。
厳正なる選考の結果、◯◯様の採用を内定いたしましたので、ご連絡申し上げます。

つきましては、ご提出いただく書類を別途郵送いたしますので、お手元に届きましたらご確認いただき、◯◯年◯◯月◯◯日までにご返送下さい。

内定式および入社日は以下の予定となっております。

内定式:◯◯年◯◯月◯◯日
入社日:◯◯年◯◯月◯◯日

なお、次のいずれかの事由に該当する場合は、採用の内定を取り消すことがありますので、ご了承下さい。

 1.入社日の前日までに在籍学校を卒業できなかった場合
 2.採用承諾書を期日までに郵送できない場合
 3.病気やけがなど健康上の理由で入社日以降の出勤ができない場合
 4.履歴書や誓約書などに重大な虚偽記載があることが判明した場合
 5.会社の名誉毀損、信用および社会的評価を損なう反社会的な行為が認められた場合
 6.採用内定時には想定できなかった弊社の経営環境の悪化や運営の見直しが行われた場合
 7.その他、前各号に準ずるやむを得ない事由がある時

ご不明な点がございましたら、下記連絡先までお問い合わせいただくようお願い申し上げます。◯◯様と共に働く日を社員一同、心よりお待ち申し上げております。

お問い合わせ先 株式会社◯◯◯◯ 人事部◯◯◯◯
        電話番号:◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯
        E-mail:◯◯◯◯◯@◯◯◯◯.co.jp

 

内定通知書送付時の注意事項

内定通知書は、採用の内定が決定したことの通知と、入社のために必要な手続きを伝えるための大切な書類です。そのため、不備がないように注意しなければなりません。以下に、郵送で内定通知書を送付する際の注意事項について解説します。

返信用封筒・添え状などの同封書類を確認する

内定通知書を郵送する際は、複数の書類を同封するケースも多くあります。どのような書類が同封されているかを確認しやすいように「添え状」を同封しましょう。万が一漏れがあった場合に気付きやすくなります。同封する際に添え状を確認しながら封筒に入れれば、同封漏れも防げるでしょう。

また、書類の返送を求める場合は、会社の宛先を記入の上、切手を貼った返信用封筒も同封することで、早めに返送してもらうことが可能です。

新卒生・転職者(中途採用)別に送付時期を決める

新卒採用の採用通知書を送る時期は、最終面接から1週間以内に送るのが一般的です。ただし、内定通知は卒業年度の10月1日以降となっているので注意が必要です。(参考:内閣官房「就職・採用活動に関する要請」)

一方、中途採用に関しては上記のような決まりはないため、早ければ早いほど良いでしょう。他社に応募していることもあるため、早めに通知することで自社への入社意思が高まる可能性があります。

 

まとめ

内定通知は法律で義務付けられていないため、各企業の判断に委ねられています。しかし「内定通知書」という形で書類として送付することで入社意欲が高まり、内定辞退を防ぐことにもつながります。書き方に決まりはありませんが、紹介したひな形を使えば必要事項は網羅されているので、ぜひご活用下さい。

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