内定承諾率が伸びず、悩んでいる人事担当の方は多いのではないでしょうか。自社の魅力を適切に伝えられず、内定辞退者が多く発生する企業もあるでしょう。そこで本記事では、内定承諾を受けた時の対応方法について解説します。内定辞退を減らしたい人事担当の方は、ぜひ参考にして下さい。

内定承諾とは

内定承諾とは、内定者が企業に「入社」と「就職活動の終了」を意思表示することです。企業側が書類を交付し、内定者が署名捺印すると、内定が確定します。

内定承諾書を交付することは法律によって義務付けされているわけではありませんが、入社意思を確認するといった目的で企業は内定承諾書を交付しています。ただし、内定承諾書にサインした後でも内定辞退は可能となるため、入社意思を高めてもらう対応が必要です。

辞退防止に!企業側が内定承諾を受け取った際にすること

内定承諾書にサインしても辞退する可能性があるため、お礼の連絡をすることが重要です。メールや電話などでお礼の連絡をする際には、内定者に失礼のないようにし、自社への志望度を下げない対応をすることが欠かせません。

疑問や不安がある際に連絡してくれれば、いつでも対応することを伝えましょう。内定者に敬意を払いながら適切な距離感を持って対応することが大切です。お礼を言う際には、人柄や評価ポイント、入社後に期待することなどを伝えると志望度が下がらないでしょう。

内定承諾書を受け取ったら、放置せずお礼の連絡をすることで内定辞退の防止につながります。

例文あり|内定承諾のお礼メールを書く際のポイント

内定辞退を防ぐためには、お礼メールを送付することが重要です。ここでは、内定承諾へのお礼メールを送付する際のポイントについて解説します。例文を交えて紹介しますので、人事担当の方は、ぜひ参考にして下さい。

要件がわかるよう件名を記載する

内定承諾書を受け取った際のお礼メールは、内定者が一目で理解できる件名にすると、読まれやすくなります。お礼メールの件名例には、以下のようなものがあります。

「【ご連絡】内定承諾のお礼と今後のスケジュールの件」

何をしてほしいのか、件名に記載しておくと内定者には分かりやすいでしょう。例えば、返信してほしいなら【返信依頼】のように記載します。件名で内定者に伝えたいことを記載することがお礼メールでは大切です。

お礼を伝える

内定承諾書のお礼メールでは、最初にお礼文を入れることが重要です。メールの最初に言いたいことを記載すると、受け取った内定者に伝わりやすいでしょう。お礼を伝える例文には、以下のようなものがあります。

「この度は内定承諾のご連絡を頂き、誠にありがとうございました。」

内定者に失礼のないように内定を承諾してくれたことへのお礼を述べましょう。砕けすぎた表現で自社への志望度を下げないようにすることが重要です。

内定の理由など寄り添った内容を書く

内定承諾書のお礼メールには、人柄や評価した点などを記載すると、内定者の入社意思を高めることが期待できます。内定理由を記載した例文には、以下のようなものがあります。

「面接を担当した〇〇が、『仕事に対して前向きにチャレンジする姿勢が素晴らしい』と話しておりました。〇〇様が入社し、一緒に働ける日を心待ちにしております。」

入社するまでの期間は、新しい職場に対する期待や不安が多いです。内定を承諾をしたものの、他社に未練がある内定者もいるでしょう。事務的なメールを送付すると、不安な気持ちを膨らませる原因になることもあります。内定を決めた理由や一緒に仕事ができるのを楽しみにしていることなど、内定者の気持ちに寄り添った内容がおすすめです。

内定者への伝達事項を明記する

内定承諾へのお礼メールには、今後の予定を記載することも大切です。内定者への伝達事項の例文には、以下のようなものがあります。

「早速ですが、ご入社までのスケジュールについてお伝えします。」

【ご入社までのスケジュール】
〇〇月〇〇日 内定式
〇〇月〇〇日 内定者研修
〇〇月〇〇日 入社式

内定式の参加は任意となりますが、参加される場合、交通費の支給がございますので、印鑑をお持ち下さい。内定式の出欠確認や当日の詳細については、〇月に入ってから連絡いたします。その際は期日までにご返信をお願いいたします。」

今後のスケジュールが分からないと内定者は不安に感じるでしょう。大まかなスケジュールだけでも伝えると、不安の解消につながります。

質問などの問い合わせ先を記載する

内定承諾へのお礼メールには、質問・相談などの問い合わせ先を記載することが重要です。質問や問い合わせ先の例文には、以下のようなものがあります。

「現時点でご不安なことやご不明点があれば、人事部〇〇までお気軽にお問い合わせ下さい。」

内定者から問い合わせが来たら迅速に対応することが重要です。返信がこないと不安になる内定者もいるため、注意しましょう。24時間以内に返信するのがおすすめです。

内定承諾のお礼メールの例文

ここでは、内定承諾へのお礼メールの例文を紹介します。内定承諾のお礼メールの例文には、以下のようなものがあります。

【ご連絡】内定承諾へのお礼とご入社までのスケジュール

〇〇様
株式会社〇〇〇〇 人事部の〇〇と申します。

この度は内定承諾のご連絡を頂き、ありがとうございます。〇〇様と一緒に働けることを大変うれしく思います。
早速ではございますが、ご入社までのスケジュールについてのご案内です。

〇〇月〇〇日 内定式
〇〇月〇〇日 内定者研修
〇〇月〇〇日 入社式

内定式の出欠可否につきましては、〇〇月〇〇日頃にメールにてご連絡します。期日までに返信頂けますよう、お願いいたします。

現時点で不安なことやご不明点などがございましたら、人事部〇〇まで、お気軽にお問い合わせ下さい。
よろしくお願いいたします。

株式会社〇〇〇〇
人事部 総務課 〇〇
メールアドレス 〇〇〇〇@〇〇.co.jp

分かりやすい件名や社名と担当者を記載しましょう。内定承諾へのお礼を述べ、今後の予定を記載し、内定者の不安を減らします。担当者を明記することも、不安の解消につながります。次は、採用理由や内定者の人柄を記載したお礼メールの例文です。

【ご連絡】ご入社までのスケジュール

〇〇様
株式会社〇〇〇〇 人事部の〇〇と申します。

先日は内定承諾のご連絡を頂き、ありがとうございました。面接を担当した〇〇も、「真面目な人柄で向上心があることに期待しています」と話しておりました。

〇〇様が入社し、一緒に働ける日を心待ちにしております。早速ですが、ご入社までのスケジュールについてのご案内です。

【ご入社までのスケジュール】

〇〇月〇〇日 内定式・懇親会
〇〇月〇〇日 内定者研修
〇〇月〇〇日 入社式

内定式のご参加は任意となります。参加頂ける場合、交通費が支給されます。内定式当日は印鑑をお持ち下さい。内定式の出欠確認や当日の詳細は〇〇月に入ってから連絡いたします。その際は期日までにご返信をお願いいたします。

また、弊社の社内報のPDFを添付いたしますので、お時間のある時にお目通し下さい。社内の雰囲気がより伝わるかと思います。

現時点で不安なことやご不明点があれば、お気軽にお問い合わせ下さい。社員一同、〇〇様とお仕事できる日を楽しみにしております。

株式会社〇〇〇〇
人事部 採用課 〇〇 〇〇
メールアドレス 〇〇〇〇@〇〇.co.jp

内定者に寄り添い、採用理由や人柄を記載すると、入社意思を高めることが期待できます。内定承諾へのお礼メールでは、内定者の不安を解消し入社意思を高める内容がおすすめです。

口頭での伝え方|電話で内定承諾の返事をする方法


電話で自社の思いを伝えたい場合もあるでしょう。しかし、口頭では伝わりにくいことがあるため、ポイントを押さえたやり方が重要です。ここでは、電話で内定承諾のお礼の伝え方について解説します。

社名を伝える

電話では聞き取りにくい場合があるため、「株式会社〇〇〇〇、人事部の〇〇です」などと第一声でゆっくり、はっきり社名を伝えましょう。社名を伝えることで、内定者にビジネスマナーをわきまえた、しっかりとした会社であることを伝えられます。

自社の連絡先を内定者が登録していない場合もあるため、第一声で社名を名乗ることで、聞く態勢ができます。

内定者に寄り添った対応をする

電話を受ける内定者の状況を確認した上で電話を続けて良いか、確認することが大切です。内定者の状況を考慮せず自社の都合で電話を続けると、内定者に負担をかけ、マイナスイメージにつながる場合があります。

内定者に寄り添った内容には、「今、お時間よろしいでしょうか」などと確認することが大切です。内定者の都合が悪いと感じたら、都合が良い時間帯を確認して掛け直しましょう。

お礼を伝える

電話を続けても問題ないなら、内定承諾をしてくれたことへのお礼を述べます。お礼の例文に、以下のようなものがあります。

「この度は、弊社の内定にご承諾頂き、ありがとうございます」

人材を獲得するのが難しくなっているため、気持ちを込めてお礼を述べましょう。

必要事項を伝える

内定承諾へのお礼を伝えたら、入社スケジュールのような必要事項を伝えます。必要事項の伝え方は、以下を参考に述べましょう。

「内定式は〇〇月〇〇日を予定しております。ご参加は任意となりますが、できるだけご参加頂けると幸いです。内定式終了後には先輩社員との懇親会を予定しております。内定式の出欠については、〇〇月〇〇日頃にご連絡します。また、お問い合わせは人事部〇〇まで、ご連絡下さい。よろしくお願いいたします」

不明点があれば、誰に連絡すれば良いか分からない内定者は多いため、担当者名を伝えると、不安を減らせます。メモを取りながら聞く内定者もいるため、ゆっくり丁寧に伝えましょう。

内定承諾に返信する際の注意点

内定承諾への返信をする際には、内定者を不安にさせる場合があるので注意が必要です。ここでは、内定承諾へのお礼をする際の注意点について解説します。自社が内定者を遠ざける行動をしていないか、確認してみましょう。

堅苦しくなりすぎない

堅苦しくなってしまうと、「緊張する」「自分には合わない」と感じる内定者が出てくる可能性があるため、注意しましょう。自分に合わない企業という認識を内定者が持つと、不安に感じます。場合によっては、内定辞退につながる可能性があることを理解した上で対応することが大切です。

堅苦しくはないが、なれなれしくならないように、内定者と適切な距離感で対応することが重要です。適切な距離感は内定者によって異なるため、一人ひとりがマイナスに感じない対応が大切です。

連絡の頻度・時間帯に注意する

1ヶ月の間に何度も連絡があると、内定者は負担に感じる場合があります。1〜2ヶ月に1度程度なら、内定者は負担に感じず不安にも感じづらいでしょう。

また、連絡する時間帯にも注意が必要です。一般的な就業時間以外に連絡すると、「こんな時間まで仕事してるのか」と内定者は不安に感じます。9〜18時までの間に連絡するのが良いでしょう。

内定承諾前後の流れ

内定承諾前後の流れには、以下のようなものがあります。

  1. 採用通知を送る
  2. 内定承諾の連絡を受ける
  3. 内定通知を送る
  4. 入社手続きを進める

採用通知は、企業が応募者に採用を伝えることです。採用通知を受けて応募者が内定承諾書にサインすれば、内定となります。内定は企業と応募者の合意形成ができ、入社が決まるということです。

内定を承諾すれば入社することは決まりますが、内定通知を出す企業があります。その理由は、トラブルを防ぐことや応募者との関わりを強めることなどです。内定が決まれば、入社手続きを進めます。

内定承諾に関するよくある質問


内定承諾書を送る際に同封する書類や書類の提出期間延長など、よくある質問について回答します。内定承諾書を作成する前に、疑問を取り除いておきましょう。

採用通知書類を郵送する場合、添え状や返信用封筒をつけるべき?

添え状や返信用封筒を同封しましょう。添え状は、どのような書類を送るのかを伝えるものです。添え状がなければ、ビジネスマナーに反し、失礼だと思われることがあります。また、返信用封筒を同封することで、内定者が返信しやすくなったり印象が良くなったりするでしょう。

宛名の記載がある封筒を同封すれば、宛先の記載ミスを減らせます。また内定者が自分で封筒を準備する手間が省け、返信が早くなることが期待できます。

内定承諾を迷う保留者から書類の提出期間延長を希望された際、内定を取り消してもいい?

書類の提出期間の延長を希望しただけで、内定の取り消しは認められません。内定を取り消せるのは、履歴書の記載内容に重大な虚偽があったり学校を卒業できなかったりと、社会通念上相当として認められる場合です。

書類の提出期限の延長の申し出では重大な理由には該当せず、内定の取り消しはできません。また、一般的な内定承諾の期間は10〜14日程度です。内定承諾を迷う方に強要するような対応をしてしまうとオワハラになる場合があるため、注意が必要です。

オワハラとは、内定通知を出したあとに内定者に活動終了を強要する行為で、内定承諾を急かしたり入社するようにプレッシャーをかけたりすることです。オワハラにならないように、内定者に適切に対応することが大切です。

新卒生・転職者の内定承諾率は?

株式会社リクルートの調査によると、2023年卒業者の3月時点での新卒の内定承諾率は34.2%です。一方、株式会社マイナビの調査によると、2021年の転職者の内定承諾率は89%です。

就活生は多くの企業を受けるため、内定承諾率が低くなっています。職種の幅が広く応募期間が長いことも、内定承諾率が下がる原因となっています。中途採用では職種や希望する企業が決まっているケースがあるため、内定承諾率は高いです。

少子高齢化が進み、売り手市場となっている傾向にあるため、選択肢が増え内定承諾率が下がっていると考えられます。Web面談をする企業が増え、応募数が増加したことも新卒の内定承諾率が低い要因です。

応募者にとって魅力のある企業としてアピールしたり採用手法を見直したりすることなどが、内定承諾率を上げるポイントです。

まとめ

内定承諾とは、内定者が自社への入社意思と就職活動の終了を示すことです。法律によって定められていませんが、内定辞退を避けるために企業は内定承諾書を交付しています。ただし、サインしたあとでも辞退は可能であるため、内定承諾後にお礼メールを送ることが重要です。

しかし、日々の業務に追われ人員不足も加われば、内定者への対応が難しいと感じる人事担当の方はいるでしょう。自社だけで対応が難しいなら、プロに相談してみてはいかがでしょうか。プロに相談するなら、kimeteの利用がおすすめです。

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