「採用を始めたいが面接で何を質問すべきかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、採用面接で質問すべきことや、人材を見抜くための面接質問集(40例)を紹介します。最後まで読むことで、人材を見極めるポイントや採用面接では聞くべきでない質問項目についても把握できます。

採用面接を失敗なくスムーズに進めるためにもぜひ参考にしてください。

採用面接官の目的と役割

採用面接にあたり、採用面接官の目的と役割を確認することがおすすめです。次の3つの採用面接官の目的と役割を把握しておくことで、面接において効果的なアプローチができるでしょう。

  • 就活生の能力・人柄を評価する
  • 自社にマッチするか評価する
  • 魅力付けをして応募者の志望度を高める

就活生の能力・人柄を評価する

採用面接官の目的としてまず挙げられるのは、就活生の能力や人柄を評価することです。

就活生の能力や人柄を短時間の面接で正しく把握するためにも、就活生の緊張をほぐしたり、場を和ませたりして本音を引き出すといった工夫も必要となるでしょう。

また、面接慣れをして受け答えがうまくできる面接上手な就活生もいるため、うわべや雰囲気に惑わされずにしっかりと本質を見抜かなければならないときもあります。

面接官は臨機応変に会話や質問を駆使して、就活生の性格や適性、ポテンシャルを正しく見極め、評価する役割を担います。

自社にマッチするか評価する

採用面接官は、ただ就活生の能力の高さや人柄の良さを評価するだけでなく、自社にマッチしているかどうか、しっかりと評価しなければなりません。

もし、ミスマッチの人材を採用してしまうと、早期退職につながりかねません。早期退職となると、それまでの採用コストが徒労になるうえに、再び人材を確保するコストもかかります。配属先の職場の業務も滞ります。

そのため、面接官は、しっかりと応募者が自社の求める人材とマッチしているかどうか見極める必要があります。

魅力付けをして応募者の志望度を高める

採用面接官は、応募者を評価するだけでなく、自社の魅力付けをして応募者の志望度を高めるという役割も担っています。

面接では、企業側が応募者を見極めているのと同時に、応募者も企業を見ています。応募者が企業に魅力を感じないと、内定を出しても入社してもらえない可能性が出てきます。

優秀な人材を確保するためにも、応募者に「この会社で働きたい」と思ってもらえるような自社の魅力をアピールすることも、面接官の重要な役割といえるでしょう。

 

採用面接で質問すべきこと4選

以下では、採用面接で質問すべき項目について紹介します。

採用面接で聞くべき重要な質問・評価項目を分類すると、以下の4つに分かれます。それぞれについて質問すべき理由と具体的な質問例を挙げていきます。

  1. 自己理解・行動特性
  2. 仕事への考え方・価値観
  3. 課題解決力・思考特性
  4. 成長意欲・キャリアプラン

01 自己理解・行動特性に関連する質問

自己理解・行動特性に関連する質問は、応募者が自分の長所や短所、特性を客観的に理解できているかどうかを見るものです。

客観的に自己理解や自己分析ができる人材は、自分以外のことについても、自己の感情や考えで歪めることなく正しく理解できる傾向にあります。周囲からの評価や自分の弱点を素直に受け入れ、改善に向けて自己成長できる力を持っているといえるでしょう。

自己理解ができているかどうかを見抜くための具体的な質問例を以下に挙げていきます。

質問の具体例

自己理解・行動特性に関連する質問例は以下の通りです。

  • 自分自身をどのような人物だと考えていますか?
  • 友人から見て、あなたはどのような人ですか?
  • あなたの強み(弱み)を全て挙げてください
  • 誰にも負けないことといえば何ですか?その理由は?
  • あなたの一番の短所は何ですか?なぜそう思いますか?
  • 強みを伸ばすために意識していることはありますか?
  • 改善したい課題や短所はありますか?改善のために何かしていますか?
  • これまでのあなたの最大の成功(失敗)といえば何ですか?
  • あなたの強みは弊社でどのように役立つと思いますか?
  • 弊社があなたを雇う決め手は何だと思いますか?

02 仕事への考え方・価値観に関する質問

仕事への考え方や価値観に関する質問は、自社にマッチする人材を見極めるためにも重要です。

「入社して何をしたいか」「どのようなキャリアパスを希望しているのか」など応募者の仕事に対する考え方やイメージを確認するようにしましょう。応募者の考えを把握することで、自社の仕事や求める人材像などに合っているかどうか判断できます。

採用・入社後のミスマッチや早期退職を防ぐためにも、応募者の仕事への意識や価値観をしっかりと把握しましょう。

質問の具体例

仕事への考え方・価値観に関する質問の具体例は次の通りです。

  • 会社選びで最も重視する点は何ですか?
  • 理想の仕事とはどんなものですか?
  • どのような環境で働きたいですか?
  • 入社後に達成したいことを教えてください
  • 仕事のやりがいは何だと思いますか?
  • 5年後・10年後は、どんな仕事をしていると思いますか?
  • あなたにとっての仕事とは?
  • 個人プレーとチームプレー、どちらが得意ですか?
  • 当社を選んだ理由は何ですか?
  • 当社で働く人についてどのようなイメージがありますか?

03 課題解決力・思考特性に関する質問

課題を解決する能力や思考特性は、業務を遂行するうえで重要な特性のため、面接でもしっかりと確認しておきましょう。

業務の課題を解決するためには、課題解決力、分析・思考力、ストレス耐性、リーダーシップ、協調性などが必要となります。

「どんな困難をどう乗り越えたか」「ストレスや問題をどう克服したか」といった質問をして具体的なエピソードを聞き出すことで、そうした特性を確認できるでしょう。

質問の具体例

課題解決力・思考特性に関する質問の具体例は次の通りです。

  • 課題を乗り越えた経験を教えてください
  • チームで何かを達成した経験はありますか?
  • グループ行動ではどのような役割を担いますか?
  • 計画を進めるためにどんな工夫をしますか?
  • 努力を継続するためのコツは何ですか?
  • 失敗した場合、どのように気持ちを切り替えますか?
  • ストレスはどのように解消していますか?
  • どのようなときにストレスを感じますか?
  • 辛いことや悲しいことがあった場合、どのように乗り越えますか?
  • 興味のないことを継続して取り組んだ経験はありますか?

04 成長意欲・キャリアプランに関する質問

成長意欲やキャリアプランを明らかにする質問は、向上心が強く高いパフォーマンスを発揮する人材を確保するためにも重要といえるでしょう。

成長意欲とは、目標や課題に対して積極的に取り組む姿勢のことをいいます。成長意欲のある人材は、積極的に業務に取り組みスキルを向上させるため、入社後の成長が早い傾向です。また、チャレンジ精神を持ち合わせることが多く、目標達成に意欲的であるため、高いパフォーマンスも期待できます。

質問の具体例

成長意欲・キャリアプランに関する質問の具体例は次の通りです。

  • キャリア(人生)での目標を教えてください
  • 成功とはどのようなものですか?
  • 入社後はどのようなキャリアを築きたいですか?
  • どのような社会人になりたいですか?
  • これまで何かに熱中した経験について教えてください
  • 日頃から勉強していることはありますか?
  • 今、力を入れていることは何ですか?
  • これまでの人生で継続して頑張ったことはありますか?
  • 目標を達成するために、どのような努力をしましたか?
  • 学生時代に最も力を入れたことは何ですか?

 

新卒採用と中途採用の面接における質問の違い

採用面接の質問について、新卒採用と中途採用とでどのように違うか疑問を抱いている方もいるでしょう。

中途採用の場合は、新卒採用と異なり、即戦力として働けるスキルや知見を持つ人材として採用するケースがほとんどです。期待通りのスキルや知見を持って自社で活躍してもらえるかどうかを見極めるため、中途採用の面接の質問では下記の点に気を付けましょう。

中途採用で注意したい点

応募者の前職の実績を具体的に確認する

前職までの実績やキャリアを具体的に聞き、自社の期待に沿うかどうか確認しましょう。

自社の求める人材像を明確に伝える

ミスマッチを防ぐために、自社の求める人物像や働き方を応募者に具体的に伝え、応募者がどのように自社の要望に沿って働けるかを具体的に確認しましょう。

退職理由や入社動機を確認する

退職理由や入職動機には、求職者の仕事に対するポリシーやこだわりが現れるため、ミスマッチを避けるためにも確認しましょう。

面接には専門家が同席し応募者のスキルを確認する

応募者のスキルを正しく判断するために、配属先の専門家に面接に同席してもらうことで、スキルをより詳細に判断してもらうことも可能です。求めるスキルの高さに応じて、スキルを正しく判断できる自信がない場合は、依頼してみましょう。

即戦力にこだわりすぎない

人材獲得が難しくなっている昨今では、理想の人材像にこだわりすぎると人材を確保できないこともあります。完璧でなくとも近いスキルや経験があれば入社後の研修などで戦力化することも可能なため、即戦力にこだわりすぎないようにしましょう。

 

採用面接ですべきでない質問内容

厚生労働省は、公正な選考のために「応募者の基本的人権」と「応募者の適正・能力に基づいて行うこと」を尊重すべきとしています。そして、採用選考における下記2つの質問を不適切で配慮すべき事項として提示しています。

  • 「本人に責任のない事柄」に関する質問
  • 「本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)」に関する質問

詳しい内容を以下で解説します。

「本人に責任のない事柄」に関する質問

「本人に責任のない事柄に関する質問」とは、下記の内容について尋ねる質問のことです。

  • 「本籍・出生地」に関すること
  • 「家族」に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
  • 「住宅状況」に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
  • 「生活環境・家庭環境など」に関すること

上記の事柄について、エントリーシート・応募用紙に記載させる、面接時に質問する、作文の題材とすることは就職差別につながるおそれがあるとされているため、避けましょう。

「本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)」に関する質問

「本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)」に関する質問とは、下記の内容についての質問のことです。

  • 「宗教」に関すること
  • 「支持政党」に関すること
  • 「人生観・生活信条など」に関すること
  • 「尊敬する人物」に関すること
  • 「思想」に関すること
  • 「労働組合(加入状況や活動歴など)」、「学生運動などの社会運動」に関すること
  • 「購読新聞・雑誌・愛読書など」に関すること

上記の事柄も、エントリーシートや面接時の質問などで把握することは就職差別につながるおそれがあるとされているため、避けましょう。

 

採用面接で人材を見極めるポイント

採用面接で聞くべきことについてお伝えしましたが、実際の採用面接で人材をよく見極めるために心得ておきたいポイントがあります。

  • 採用要件の明確化
  • 応募者が本音を話せる環境・雰囲気づくり
  • 評価できる水準まで回答を深掘り
  • 面接官タイプを事前に決めて臨む

それぞれのポイントについて以下で解説します。

採用要件の明確化

採用面接の前に、採用要件を明確化しておくことが大切です。

採用要件とは、自社の求める人材像の基準を明確にしたものです。基準となる項目は、例えば、保有するスキル、実務経験、仕事に対する積極性などが挙げられます。

そもそも採用要件が明確でないと、面接で何を質問すべきかを決めることができません。また、採用要件があいまいだと、評価者によって判断にばらつきが出てしまうこともあります。

応募者を適切に評価するためにも、採用要件を明確にし評価者で共有するようにしましょう。

応募者が本音を話せる環境・雰囲気づくり

採用面接では応募者が本音を話せるような環境・雰囲気づくりも大切です。

短い面接時間の中で、応募者の本音をうまく引き出せなければ、自社にとって有益な人材かどうか見極めることができません。そのため、できるだけ応募者の不安や緊張をほぐし、普段通りの自分を出せるようにする工夫が必要です。

例えば、面接前に「会社の場所はすぐにわかりましたか?」「緊張しなくて大丈夫ですよ」など当たり障りのない声かけをするなどして、応募者の緊張を解くようにしましょう。

評価できる水準まで回答を深掘り

採用面接では、評価できる水準まで、応募者の回答を深掘りすることが大切です。

採用面接でただ質問をするだけでは、合否の判断をすることはできません。評価基準の合格ラインを満たしているかどうか、判断するだけの材料を引き出す必要があります。

応募者の回答は、往々にして抽象的な内容の回答となってしまうケースも少なくありません。「それは具体的にはどういうことですか?」「その結果どうなったのですか?」など重ねて質問し、具体的なエピソードを引き出すようにしましょう。

面接官タイプを事前に決めて臨む

事前に面接官の役割を下記の5タイプに分けて面接に臨むことがおすすめです。

  • フォロワー
    応募者側の味方になる役割。応募者と良好な関係を保ち、応募者の不安や疑問、緊張を解き、本音を引き出します。
  • モチベーター
    応募者の入社意欲を高める役割。自社の魅力や仕事の面白さをアピールし、応募者が入社したくなるように意欲を高めます。
  • アナライザー
    応募者の適性を分析する役割。応募者の適性が自社の仕事や文化にあっているかを判断します。
  • インパクター
    応募者に気づきを与え自社を印象づける役割。自社の仕事の面白さや成功体験を伝え、「この仕事がしたい」と憧れを抱いてもらうよう働きかけます。
  • クローザー
    応募者に入社の決断を促す役割。最終面接などで応募者に意思決定を促し決断に導きます。

    優秀な人材を確保するためにも、上記の役割を担う面接官が連携して、面接を進めるようにしましょう。

 

採用面接に関するよくある質問

採用面接に関してよくある質問について解説します。

  • 採用面接でどのように深掘りすればよいですか?
  • ストレス耐性を見たいときはどんな質問をすればよいですか?

採用面接でどのように深掘りすればよいですか?

採用面接で、応募者の話を深掘りしたい場合には、オープンクエスチョン・クローズドクエスチョンの方法を臨機応変に活用することがおすすめです。

  • クローズドクエスチョン

「英語は得意ですか?」というような回答者が「はい・いいえ」や「A・B・C」などで答えるような回答の選択肢が限られた質問方法です。回答者の意思や考えなどを明確に確認したい場合に有効です。

  • オープンクエスチョン

「どんな働き方をしたいですか?」など回答の選択肢を与えることなく、自由に答えてもらう質問方法です。オープン・クエスチョンは相手からより多くの情報を引き出したいときに有効です。

話題を広げる場合はオープンクエスチョン、端的に意思確認や事実確認をしたい場合にはクローズドクエスチョンを活用するとよいでしょう。2つの質問方法を駆使して話を広げたり深めたりすることができます。

ストレス耐性を見たいときはどんな質問をすればよいですか?

ストレス耐性を見るときは、「困難や逆境に対してどのような行動を取ったか」を尋ね、「ストレスをどのように乗り越えたか」などの質問を重ねていくとよいでしょう。

ただし、ストレス耐性のある人材が必要だと思いこんでいたものの、実際には、処理能力が高い、創意工夫のできるなど別の要素が重要だったというケースは少なくありません。

そのため、採用要件は、あらかじめよく吟味して正しく設定するようにしましょう。

 

採用要件から面接で質問すべき内容を取捨選択しよう

採用面接で聞くべき質問について解説しました。自社に合ったいい人材を確保するためにも、まずは採用要件を固めてから面接で質問すべき内容を取捨選択することがおすすめです。

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