採用活動の効率性を高めるべく、採用広告を打ち出したいと考える企業も見受けられます。しかし、採用広告には多様な種類が存在するため、選び方などで悩む人も多いでしょう。効率的な採用活動を実現するには、採用広告の適切な活用方法や選び方を知り、賢く行動することが大切です。

そこで当記事では、採用広告の基礎知識・特徴やメリット・選び方や効果を出すコツについて解説します。効率的な採用活動を実現したい人は、ぜひお役立て下さい。

採用広告の基礎知識を分かりやすく解説

採用広告を適切に活用したい場合には、採用広告の基礎知識について把握する必要があります。基礎知識を踏まえ、選び方や効果的な活用方法を試みることで、自社に合った採用広告の打ち出し方が見えてくるでしょう。

ここでは、採用広告の意味や目的といった概要をはじめ、求人広告との違いについても解説します。

採用広告とは

採用広告とは、企業や店舗が人材採用を希望する際に活用する広告です。採用広告の目的は、必要な人材の獲得です。採用広告には、以下のような内容を記載します。

  • 募集するポジション
  • 募集形態(中途採用・新卒社員・アルバイトなど)
  • 求めるスキル
  • 待遇(給与・福利厚生など)

ほかにも、企業理念や組織の雰囲気など載せ、応募者に魅力を伝えるケースも見受けられます。「無料・有料」「Web・紙面」など、さまざまな種類が存在します。

求人広告との違い

採用広告のほかに、求人広告という言葉も存在します。求人広告とは、企業や店舗が求人情報を載せるために活用する広告のことです。採用広告も求人広告も、新たに人を採用したい企業や店舗が、人材獲得を目的として利用するものです。求人広告に掲載する内容も、「募集するポジション」「募集形態」など、採用広告となんら変わりません。つまり、採用広告と求人広告は、同じ意味だと認識して問題ないといえます。

    

メディア別に見る採用広告の種類・メリット

採用広告は、多様なメディア(=媒体)を通じて情報を発信していきます。採用広告を掲載するメディアによって、特徴や効果が異なるため、自社の目的や状況に応じて使い分けることが大切です。ここでは、メディア別に見る「採用広告の種類・メリット」について解説します。

リクルーティングメディア

リクルーティングメディアとは、リクルーティング(=採用活動)に特化した媒体です。採用に関する情報だけを専門的に扱うことから、転職希望者や転職に興味のある層に対して、直接的なアプローチが可能です。一方で、転職を考えていない顕在層には、アプローチしにくい側面があります。

またリクルーティングメディアは、Webや紙媒体だけにとどまらず、広義の意味では合同の会社説明会やビジネス関連の交流会なども該当します。

オウンドメディア(パンフレット・インターネットなど)

オウンドメディアとは、企業や店舗で保有する「自分たちだけのメディア」を指します。自社サイトや企業パンフレットなどが、代表例です。

前述のリクルーティングメディアには、規定のフォーマットが存在するため、文字数・内容・掲載画像などに制限があります。対するオウンドメディアは、自社の所有物であることから、掲載内容に制限はありません。

一から作成する労力は要するものの、細部までこだわり、採用情報を載せられることが特徴です。

マスメディア(TV・新聞チラシなど)

マスメディアとは、不特定多数に向けて情報を提供する媒体のことです。テレビ・新聞・雑誌などが該当します。街中で見かける看板や、駅などに貼られるポスターもマスメディアの一種だといえます。多くの人が目にする機会があるため、採用ターゲットはもちろんのこと、将来的に候補者になり得る潜在層に対してもアピールできるでしょう。

一方で費用がかかる傾向にあり、コストパフォーマンスも計測しにくい部分がデメリットだといえます。

       

広告媒体別に見る採用広告の種類・メリット

採用広告は、使用する広告媒体によって、適するターゲットやメリットが異なります。最適な広告媒体を選べば、より効率的な採用活動の実現が可能です。広告媒体には、得意・不得意があるため、自社の採用目的と一致するものを選ぶことで、スムーズな採用につながります。

広告媒体別に見る「採用広告の種類・メリット」は、以下の通りです。

新卒採用・中途採用サイト

新卒採用・中途採用サイトとは、新卒や中途に向けて募集要項などを記載した「Web上に掲載する採用サイト」です。新卒もしくは中途採用のいずれかに特化したサイトもあれば、新卒と中途の両者を扱うものも存在します。

また、新卒採用・中途採用サイトは、「総合型」「特化型」の2種類に大別できます。総合型は、幅広い職種や業界の求人を掲載するため、より多くの求職者にリーチできるでしょう。対する特化型は、IT業界や営業職専門などと「募集内容が限定」されるため、特定のターゲットにのみ閲覧してほしいと考える企業に適します。

求人検索エンジン

求人検索エンジンとは、Webに掲載された多様な求人情報を検索できるサイトです。検索エンジンである「Yahoo!」や「Google」の求人バージョンだといえるでしょう。求職者が求人検索エンジンに、気になるキーワード(例:事務職、東京都の新卒採用)を入力することで、内容にもとづいた求人情報を閲覧できます。

専用ロボットが、Web上に掲載された求人情報を探す「クローリング」という手法で求人を抽出するため、こうした方法であれば無料利用が可能です。優先的に自社の情報をヒットさせたい場合には、有料プランを利用します。

SNS広告(インスタなど)

SNS広告とは、インスタ・Facebook・Xなどを活用した採用広告です。SNS採用やソーシャルリクルーティングなどと称されることもあるでしょう。

SNS広告は、アカウントを取得さえすれば、基本的に無料で利用できます。募集メッセージを投稿すれば、転職を考えている「転職顕在層」にアプローチできるでしょう。また、採用情報を記載せず、日常的な風景やお役立ち情報などを投稿すれば、現段階では転職を考えていない「転職潜在層」にもメッセージを届けられます。

採用サイトのような制約がない分、SNS運用に関する知識が問われます。

ハローワーク(無料)

ハローワークとは、厚生労働省が全国に展開する職業安定所です。公共施設であるため、無料で求人を掲載できます。企業の管轄先であるハローワークに直接足を運び、必要な申し込みを行なえば、求人を掲載してもらえます。求人情報の掲載先は、ハローワークに設置してある専用端末と、ハローワークの専用サイトの2箇所です。

完全無料で利用できるのでライバルも多く、自社の求人が埋もれやすいことも事実です。不特定多数の目に触れるため、ターゲットを絞って採用活動を実施したい企業には、不向きな傾向にあります。

リスティング広告(Googleなど)

リスティング広告とは、検索ワードに基づき、ユーザーに合った広告が表示されるものです。(例:Google広告、Yahoo!広告)

リスティング広告を「採用広告」として活用すれば、採用ツールに変化するでしょう。

採用で活用する際には、「職種名+新卒採用」「業界名+雇用形態」などのキーワードを設定します。費用形態は、クリックや閲覧で料金が生じる「クリック型」と、掲載広告をオークションで決める「オークション型」が存在します。

効率的に実施できれば費用を抑えられるものの、キーワード選定などの専門的な知識も必要です。

     

採用広告を選ぶコツ

採用広告は、自社の状況や目的に即した内容を選ぶことで、その効果を最大限に享受できるでしょう。そのため、採用広告を活用したいと考える場合には、コツを踏まえた上で適切な内容を選ぶ必要があります。

多くの採用広告の中から「自社に適した内容を選ぶコツ」は、以下の通りです。

掲載費用・宣伝効果を比較する

採用広告を出し、効果的な採用活動を目指すのであれば、掲載費用と宣伝効果を比較することが大切です。採用費用が適切であり、宣伝効果が高い手法を選ぶことで、効率的かつスムーズな採用活動が実現するでしょう。

そのためには「採用広告に使える予算」におさまる内容を選んだ上で、最も宣伝効果が高い手法を選ぶことをおすすめします。宣伝効果を考える際には、ターゲットとするユーザー(※ここでは採用候補者)が最も興味関心をもちつつ、就職活動の手段として活用すると予想されるものを選びましょう。

ターゲット・利用者の特徴を確認する

採用広告には異なるカラーがあり、それぞれ「ターゲットとする属性」や「利用者の傾向」に特徴があります。自社が採用したいと考えるターゲットと、採用広告の特性が一致する部分も多ければ、効果的な採用につながりやすくなるでしょう。

例えば新卒採用を実施したい場合には、新卒採用が多く利用する採用広告を選ぶことが大切です。他にも、20代といった若手の人材を欲する場合には、「第二新卒に強い採用サイト」と「(若者の利用者が多い)Instagram」を併用するなどが挙げられます。

       

採用広告で効果を出すコツ

採用広告を活用し、効果的な採用を実現したい場合には、コツを押さえて行動することが大切です。自社に適した採用広告を選んだうえで、コツを踏まえて採用活動が実践できれば、期待する結果につながる可能性が高いでしょう。

採用広告で効果を出すために、押さえておくとよいコツは以下の通りです。

自社の魅力を分かりやすく伝える

採用候補者に対し、自社の魅力をアピールできなければ、なかなか応募につながりません。求職者が他社の求人に惹かれれば、自社の求人は完全に埋もれてしまうでしょう。そのため、自社の魅力を分かりやすく伝えることが大切です。

魅力を伝える際には、具体性を意識します。具体性があることで、入社後のイメージがわくからです。例えば、「他社より稼げる」と曖昧な記述ではなく、「入社時・入社1年後のモデル年収」を記載すれば、具体的な金額がイメージできます。加えて、他社との明確な差別化を打ち出せれば、採用候補者が自社を選ぶ理由になります。

本・インターネットなどで他社の採用広報の事例を参考にする

採用に成功している企業には、成功する理由が存在します。他社の「採用広報の事例」をチェックすることで、自社での採用でも参考にできる要素を発見する可能性があるでしょう。事例内容は、紙面(本・雑誌など)やインターネットなどで見つけられます。

事例を参照する際には、以下のような点に着目しましょう。

  • 入社するメリットの伝え方
  • 自社の雰囲気をどういった観点から伝えているか
  • 採用活動で苦労した点
  • 採用活動でうまくいった点
  • 使用している画像

「自社の規模に近い企業」「同じ業界の企業」「似たような悩みを抱える企業」の成功事例を参照すると、より実践的な内容を得られる可能性が高くなります。

企業の特徴・色を即座に伝えるためのキャッチコピーをつくる

採用候補者は、応募先と自分との相性を判断するために、企業の特徴や色を知りたがっています。そのため、ひとめで企業の特徴が理解できるような「キャッチコピー」を用意すると効果的だといえます。なぜならキャッチコピーは、たった一つの短い文章にもかかわらず、企業の思いやカラーを一瞬でイメージさせられるからです。

またキャッチコピーをつくる際には、簡潔明瞭な点はもとより、入社するメリットなども含ませることが大切です。適切なキャッチコピーをつくることで、入社後のミスマッチ防止にもつながるでしょう。

人材を採用する際に把握しておくべきルール・NG事項を確認する

よかれと思って掲載した言葉が、法律に反したり、不適切な表現である事例も見受けられます。NG事項を盛り込むと、採用候補者から敬遠される可能性が高まります。また法律に反する表記を行なっている場合には、なんらかの罰則を受けるかもしれません。NGとされるルールや事項は、以下などが該当します。

  • 男女雇用機会均等法に反する内容(例:正当な理由なく女性だけを募集する)
  • 職業安定法に反する内容(例:就職祝い金を支給/※採用での金銭授受は禁止)
  • 採用に無関係な内容(例:外国籍はNG、地元出身者に限定する)

基本的なルールやNG事項に配慮していない求人内容は、企業イメージを低下させる要因にもなり得るため、注意が必要です。

       

まとめ

採用活動の効率性を高めたいと考え、採用広告を打ち出す場合には、適切な内容選びとコツを押さえた対応が求められます。スムーズな採用を実施するには、採用広告を選ぶためのターゲット選定や、NGルールの把握も欠かせません。全てが適切に実施できることで、効果的な採用が実現できるでしょう。

ターゲット選定や採用広告の活用などをふまえ、採用活動の効率をさらに高めたい場合は、以下の「採用に関するチェックリスト」をご活用下さい。採用広告だけでなく、適性検査や合同説明会など、広い視野でより良い採用活動をするための情報を提供しています。