職場環境が悪く離職する社員が出てしまい悩んでいる人事担当者は、多いのではないでしょうか。職場環境は、社員のパフォーマンスに影響する大切な要素です。しかし、社員が求めていない内容の改善では社員の不満がたまるため、注意が必要です。

そこで本記事では、働く環境を改善するメリットについて解説します。働きやすい企業の特徴や具体的な改善ポイントについても紹介します。ぜひ、最後までご覧下さい。

「働く環境」に関する基礎知識を分かりやすく解説

ここでは、働く環境の意味や言い換え例について解説します。働く環境が良ければ、生産性が高く、離職者が減ることが期待できます。基礎知識を理解して、職場環境の改善を行いましょう。

「働く環境」の意味

働く環境とは、照明や空調・音などのオフィス環境や同僚や上司との人間関係、労働条件など、社員を取り巻く要素を指します。職場を働きやすい環境に整備することで、社員は自分の能力を発揮でき、健康で快適に働けるようになります。

社員が自分のパフォーマンスを発揮するには、目標設定を明確にし仕事を行うために必要な物が用意されていることが大切です。社員の能力を発揮できる仕事を与え、上司から適切な評価とフィードバックを行うことは、社員がパフォーマンスを発揮するために重要です。

また、適切な休憩を与えストレスを軽減できる仕組みも、健康で快適に働くことにつながります。

言い換えの例

働きやすい環境の言い換え例は、以下の通りです。

  • 風通しの良い職場
  • 意見が言いやすい環境
  • フラットな職場
  • オープンな環境 など

働く環境の置き換えを知っておくと、文章のバリエーションが増えます。知識や経験があることを求職者に伝えられ、分かりやすい採用情報になります。また、面接では求職者に合わせたコミュニケーションが取れ、印象が良くなることが期待できるでしょう。

    

10年後の経営戦略につながる「働く環境を改善するメリット」

職場環境を改善することは、企業業績に影響します。ここでは、採用効率を高め社員のパフォーマンスが向上する職場環境を改善するメリットについて解説します。人事担当者は、ぜひ参考にして下さい。

採用情報に掲載して採用効率を高められる

職場環境に社員が満足していることを求人情報に掲載すれば、求職者が集まりやすくなるため、採用効率が上がります。職場環境を改善し満足する社員が増えれば、帰属意識が高まるでしょう。働きやすい職場は企業を選ぶ際の基準とする求職者がいるため、職場環境の改善は母集団の形成につながります。

自社の職場環境をアピールするには、自社メディアや求人サイトに社内風景や社員が働く姿の記事や動画を掲載します。SNSで社内風景や社員が働く姿を発信することも、求職者を集めるのに効果的です。

離職者・転職者を減らせる

社内の雰囲気が改善され社員のストレスが軽減できるため、職場環境を整えることで離職者を減らす効果があります。離職者を減らすには、社員にとって快適な環境を維持することが重要です。

社内の人間関係を改善し、社員が働きやすいと感じるようにすれば、離職者を減らせるでしょう。上司と部下のコミュニケーションが活発で意見が言いやすい職場では、ストレスが少なくなります。

フレックスタイム制を取り入れれば、子どもがいる社員も働き続けやすくなります。また有休の取得を促し、ワークライフバランスが取れる環境にすれば、ストレスが少なく離職者を減らせるでしょう。

仕事のパフォーマンスが向上する

働きやすい環境では社員は肉体的・精神的に健康で快適であるため、仕事意欲が湧きパフォーマンスが向上します。社員のパフォーマンスが向上すれば、企業業績がアップするでしょう。

厚生労働省の調査によると、職場改善の費用は社員1人当たり7,660円ですが、職場改善で社員1人が企業にもたらす利益は15,200円であることが分かっています。ただし、社員が求める内容の改善をすることが重要です。社員が求めない改善では、パフォーマンスの向上は期待できないでしょう。

社員が求める職場改善を行うには、社員の意見を取り入れることです。社員の意見によってレイアウトの変更や騒音対策、コミュニケーションの活性化などの具体策を検討し、実施することが重要です。

参考:厚生労働省「これからはじめる職場環境改善〜スタートのための手引き〜」

    

海外との違い|日本における働く環境の問題点・課題

国際的に見て、日本の職場環境には課題があります。ここでは、業務時間やストレスなど日本の職場環境の課題について解説します。自社でも同じ課題を抱えている場合、改善するための参考にして下さい。

業務時間が長い

世界的に見て日本人は長時間労働となっており、肉体的にも精神的にも負荷がかかります。OECD(経済協力開発機構)が2020年にまとめた生活時間のデータによると、男性の1日当たり労働時間の平均は317分で、女性は218分です。

一方、日本人男性の平均は452分で約7.5時間で、女性は272分で4.5時間ほどです。休息が十分に取れなければ、疲労がたまり、仕事のパフォーマンスが低下する可能性があります。

参考:内閣府「生活時間の国際比較」

ストレスが溜まりやすい

日本の労働時間は長いため、社員はストレスがたまりやすくなっています。また、仕事に関する強い不安や悩み、ストレスを感じる人は、少なくありません。実際に厚生労働省の調査によると、53.3%の人がストレスを抱える状況です。

ストレスの原因には、仕事量や質、仕事上の責任などがあります。仕事量が多いため長時間勤務となり、ストレスを抱える結果となっています。

ストレスで体調が悪くなり、長期休業となった場合、周りの社員が穴埋めしなくてはなりません。仕事量が増加し大きな負担となり、新たに体調を崩す社員が現れるといった負のループに陥る可能性があります。

参考:厚生労働省「令和4年版 過労死等防止対策白書」

柔軟な働き方が認められにくい

非正規と正規に待遇に差があるため、日本では柔軟な働き方が難しくなっています。働き方改革関連法により同一労働同一賃金が施行されていますが、非正規で働く人の処遇が改善されていない状況です。

実際に、派遣元事業所へのアンケート調査によると、施行後の手取り賃金では44.3%、派遣料金について47.5%が「変わらなかった」と回答しています。

また、育児や介護などの理由で正社員を選択できない人は少なくないでしょう。正規と非正規には処遇の差があり、日本では柔軟な働き方が認められにくい状況です。

参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「派遣労働者の同一労働同一賃金ルール施行状況とコロナ禍における就業状況に関する調査」

      

働く環境を構成する要素

   

働く環境を編成する要素には、オフィス環境や企業文化、労働条件があります。安定して企業経営を行うために社員の働く環境は重要です。自社の課題となる項目がないか、確認しておきましょう。

オフィス環境

オフィス環境とは、社員が働く物理的な空間です。具体的には室内のレイアウトや設備、備品などです。固定席がなく自由に席を選べるレイアウトを導入する企業もあれば、パーティションを使って空間を仕切る企業もあります。

照明や空調などの設備は、快適に仕事をするためには欠かせません。また、情報漏えいを防ぐセキュリティーを完備する設備も必要です。屋内で作業する場合、パソコンやプリンターなどの業務に必要な備品を準備することも重要です。 オフィス環境は、社員の生産性や創造性、健康に大きな影響を与える可能性があるため、できる限りそろえましょう。

企業文化

企業文化は企業の考え方を示すものであり、考えに共感する社員にとっては企業を信頼し、安心して働ける要素となります。企業文化とは、企業の信念や信念に基づいて行う価値観や行動規範のことです。

企業文化の具体例は、お客様第一主義やチームワークを重視する、ワークライフバランスを大切にするなどです。企業文化に共感する社員は帰属意識が高くなり、意欲的に働くことが期待できます。

労働条件

労働条件とは労働契約の期間や賃金、就業場所などのことを指し、経営者が社員に明示することが法律によって定められています。賃金や就業場所以外の働きやすい労働条件には、ワークライフバランスや健康維持などがあります。

社員が働きやすいように、有休の取得を促したりテレワークを導入したりして、仕事以外の時間も大切にし、仕事と生活のバランスを取れるようにすることが重要です。長く働いてもらうために、適切な運動とバランスの取れた食事を心がけることを呼びかける企業もあります。

     

経営者・総務担当者も必見|働く環境が良い企業の特徴

ここでは、ストレスが少ないことや公平な人事評価など働く環境が良い企業の特徴について解説します。職場環境は、企業にとっても重要なものです。職場環境の課題を解決するための参考にして下さい。

子育てなどライフスタイルに変化が生じても快適に働ける

ライフスタイルが変化しても柔軟に働ける環境では、社員は居心地が良いと感じるため、働きやすい環境と言えます。結婚や妊娠、育児などライフスタイルが変化しても働けるように、フレックスタイム制の導入やテレワークの採用など、社員が働きやすい環境を整備することが大切です。

働き続けられる企業をつくることは、双方にメリットがあります。企業にとっては離職率の低下につながり採用コストの削減になります。社員のメリットとしては、退職して新しい仕事を探す必要がないことです。長く働けるような仕組みを構築することが、重要です。

ストレスが少なく社員が健康的に働ける

ストレスが少ない職場では、肉体的にも精神的にも負荷が少なく健康で快適に働けるため、環境が良い企業と言えます。ストレスが少ない職場ではコミュニケーションが活発で、安心して意見が言えます。

ストレスが少ない環境をつくるには、上司と部下が定期的に面談する仕組みをつくり、部署間の交流を行うことが大切です。コミュニケーションによって仕事の悩みが改善され、社員同士でフォローし合えるようになれば、意欲的に仕事をするようになるでしょう。

公正な人事評価制度がある

公正な人事評価では、社員は評価に納得でき企業に対して信頼感が生まれるため、働きやすい環境となります。しかし上司によって評価が異なる企業では、社員は自分の評価が気になり、安心して自分の能力を発揮できないでしょう。

全ての社員が納得できる人事評価は難しいですが、一定数の社員が納得できる制度を目指すことが大切です。評価項目や基準を明確に定めると、社員の納得感が得やすいでしょう。

福利厚生が充実している

福利厚生が充実する企業では、社員は自分のキャリアプランやワークライフバランスを大切して働けるため、職場環境が良いと言えます。福利厚生とは、社員とその家族に提供する報酬のことです。

具体的には、健康保険・雇用保険などの社会保険や住宅手当、資格取得の補助などです。住宅手当の支給があれば、家族で快適に暮らせる住居を探せます。また資格取得の補助があれば、社員は自分のスキルアップを目指せるでしょう。

福利厚生を充実させるには、社員が求めるものを把握することが重要です。社員に寄り添った福利厚生を用意することが働きやすさにつながります。

法律を遵守している

企業にはコンプライアンスが求められており、快適な職場環境をつくることは企業の義務です。企業には快適職場指針を守ることが、法律によって定められています。快適職場指針では、以下の内容が定められています。

  • 不快に感じないように空気の汚れや温度を適切に維持管理
  • 心身の負担を軽減するため、筋力が必要な作業方法の改善
  • 疲労やストレスを効果的に癒す休憩室を設置・整備
  • 洗面所やトイレなど、職場に必要な施設を清潔に維持管理

法律が遵守できているか分からない場合、外部の有識者に依頼して自社の状況を調査してもらい、対策を講じるのが良いでしょう。

参考:厚生労働省「安全衛生キーワード」

    

働く環境を改善するための取り組み

    

ここでは、温度管理や女性が働きやすい職場をつくることなど、具体的な職場環境の改善方法について解説します。自社でできそうな項目があれば、ぜひ試してみて下さい。

居心地の良いオフィスに改善する(温度管理など)

温度管理を行い居心地の良いオフィスにすることで、社員のパフォーマンスが発揮されることが期待できます。快適な室内温度では、仕事に集中しやすい環境となるでしょう。

事務所衛生基準規則では空調を使用する場合、温度は18℃以上28℃以下にし、40%以上70%以下の湿度にすることが定められています。空調を効率良く使用するためにレイアウトの変更を行うことも大切です。

熱が出るパソコンやプリンターを1ヵ所に集め、ブラインドで窓からの熱を遮断するなどの対策を行いましょう。

参考:事務所衛生基準規則

男女ともに働きやすい環境にする

ストレスが少なく性別に関係ない公平な評価などがあれば、男女ともに働きやすい環境となるでしょう。ただし、

女性の悩みは世代によって異なるため、女性が働きやすい環境をつくるには、育児経験のある管理職がいることが大切です。

例えば30〜40代の女性の場合、結婚や出産がキャリアに大きな影響を及ぼすことがあります。

女性の管理職がいれば、女性社員の悩みに寄り添った職場環境を整えやすくなるでしょう。女性の管理職がいなくても、結婚や出産などのライフイベントを大切にし、多様な働き方が男女ともにできる環境の整備が重要です。

他社の事例を参考にする

自社と同じ課題を解決した企業事例を参考にすれば、職場環境の改善につながります。例えば、オフィスの備品購入や設備の導入を検討している場合、自社の事業に合った備品や社員が望む設備を取り入れることにより、モチベーションが上がった事例が参考になるでしょう。

また、社員同士のコミュニケーションに課題を感じるなら、好きな席で作業ができるフリーアドレス制により、コミュニケーションの活性化や生産性向上につなげた事例が参考になります。

ただし、他社の事例をそのまま自社に取り入れて良いか検討する必要があります。

上司・先輩による育成支援・管理方法などを見直す

入社して間もない社員は仕事の仕方が理解できず不安であるため、育成方法を見直すと、職場改善になります。従来どおりのOJTでは、年齢差のある上司から指導を受けると、若手社員が質問しにくい場合があります。

若手社員は1人で悩んでしまい、働きにくさを感じることもあるでしょう。年齢差の少ない先輩社員を若手の指導役にすれば、気軽に相談でき働きやすさにつながります。気軽に相談できる環境をつくることで、若手社員の離職防止や帰属意識を高められるでしょう。

アンケートを実施してニーズを把握する

アンケートを実施して職場環境の改善を行うと、社員の満足感につながります。社員は意欲的に仕事を行うようになり、生産性が向上し業績アップが期待できます。社員のニーズを把握するには、率直な意見が出やすくなるため、匿名でのアンケートが良いでしょう。

    

まとめ

働く環境とは、社員が健康で快適に働ける職場のことです。オフィスのような物理的な面だけではなく、社内の人間関係も重要な要素です。残業が多く休みが十分に取れないと、離職する社員も出るため、職場環境の改善に課題を抱える担当者は多いでしょう。

働きやすい職場をつくるには、社員のニーズや本音を理解することが大切です。社員の本音を理解したい担当者は、kimeteを活用してみてはいかがでしょうか。

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