人材採用に取り組む中で、人材と人財という言葉を目にし、違いが気になる人も多く見受けられます。人材と人財は異なる意味をもつため、相違点を理解した上で、自社に合った表現を知ることが大切です。

そこで当記事では、人材と人財の違いを解説した上で、人在や人罪の意味や従業員育成のコツについても紹介します。人材と人財の違いを知り、スムーズに人材育成や人材採用をしたいと考える場合には、ぜひ当記事を参考にして下さい。

4つの人材(人材・人財・人在・人罪)の違い

企業の持続的発展を考える上で、人は欠かすことのできない要素です。しかし、人を表現する際に「人材」と表現するケースもあれば、「人財」と表記することもあるでしょう。

また「じんざい」と表記できる漢字には、人材や人財を筆頭とし、人在や人罪も挙げられます。漢字によって意味が異なるため、「じんざい」を漢字で表記する際には、注意が必要です。ここでは4つの漢字について、それぞれの違いを解説します。

人材の意味

人材とは、仕事を適切にこなす能力をもつ人を指します。人材の「材」には、「才能がある」や「役にたつ」という意味があり、人という漢字と組み合わせることで、才能がある人を表現するといえます。

決められたポジションで適切に仕事をこなし、企業の成長や発展に貢献する人(または貢献する要素がある人)は人材だといえるでしょう。また個人の成果をあげるにとどまらず、組織全体の生産性を高められるような人も人材に該当します。

人財の意味

人財とは、企業にとって価値がある人を指します。人財の「財」には、「財宝」や「価値が高い」という意味があり、人という漢字と組み合わせることで、企業にとってかけがえのない大切な人を表現できるでしょう。じんざいを「人財」と表現すれば、企業にとって人は「会社にとってかけがえのない存在」だと明示できます。

人財は、企業に利益をもたらすと考えるため、売り上げに貢献する人や職場環境を良くするムードメーカーなども含まれます。

人在の意味

人在とは、会社にいる人を指します。人在の「在」には、「ここにいる」という意味があり、単に人がいる状態だといえます。

人在と表現される人は、企業に在籍するものの、指示された内容しかこなせず、将来的な成長が見込めない人といえるでしょう。年功序列・終身雇用の時代であれば、人在の状態でも生き延びることは可能であったものの、昨今のような成果も重視される時代下では、人在のままだと周囲から取り残される可能性があります。

人罪(人災)の意味

人罪や人災とは、いるだけで他者に悪影響を及ぼす人を指します。「罪」には問題を起こすという意味があり、「災」にはわざわいという意味があることから、悪い結果を導くと予想できるでしょう。

悪意があり迷惑行為を行う人はもちろんのこと、悪意がなくとも頻繁にミスをしたり周囲のアドバイスを聞き入れなかったりする人も該当します。人罪(人災)は周囲に悪影響を与えやすいことから、「人材」「人財」「人在」のいずれかにシフトさせたり、他の人に変更したりすることも検討すると良いでしょう。

人材採用活動時に「人財」という言葉を使うメリット

採用広告や企業ホームページなどを活用する際に、人材ではなく、あえて「人財」と表記するケースも見受けられます。人材採用活動を実施する際に「人財」という言葉を使うメリットとは、どういったものなのでしょうか。考えられる主なメリットは、以下の通りです。

従業員を宝のように大切に扱う会社だとアピールできる

昨今の日本は慢性的な人手不足であり、さまざま業種・業界において、求職者の優勢な状況がつづいています。加えて、ハラスメントや長時間労働を良しとしない風潮が、以前よりも増しています。

求職者においても、労働環境が悪い企業を無理して選ぶ必要はなく、あらかじめ候補先から除外するケースも多いでしょう。あえて「人財」と表記すれば、従業員を宝のように大切に扱うとアピールできるため、ハラスメントや長時間労働などに、一定の配慮をする印象が与えられます。良いイメージが先行することで、応募者の獲得につながる可能性があるでしょう。

代替不可の従業員を求めていると伝えられる

人材には、「代替が可能な人材」という意味が含まれます。一方で人財は、代替可能という意味をもたないことから、替えの効かない「唯一無二の人」を求めると伝えられます。例えば、自身でビジネスを創出するような従業員や、既存ルールの刷新が可能な従業員です。

代替できない従業員を求めるとアピールできれば、指示がないと動けないような人を、応募の段階で排除することにもつながります。

人材採用活動時に「人財」という言葉を使う際の注意点

人材採用活動時に「人財」という言葉を使うと、メリットがある反面、注意する点も見受けられます。人財という言葉を使う際には、注意点もふまえた上で、活用することが大切です。ここでは、人材採用活動時に「人財」という言葉を使う際の注意点について、解説します。

胡散臭いなどのマイナスイメージを与える可能性がある

人を大切にする企業は離職率も低く、退職者が出た場合にも、応募者が集まりやすい傾向にあります。こうした会社は、あえて人財と記載しなくても、一定の応募者が見込まれるでしょう。

そのため、人財と記載すると「人財と表現しないと応募者が集まらない」と深読みされる可能性があります。また、人材という言葉に悪い印象がないにもかかわらず、あえて「人財」と表記する会社に、胡散臭さや嫌悪感を覚える人が存在することも事実です。

実態が伴わないと悪い評判につながる恐れがある

人財を謳い、人を大切にするとアピールしているにもかかわらず、ハラスメントや長時間残業が横行しているなど、実態が伴わない事例も見受けられます。悪しき実態が判明すれば、求職者からの不信感が募るなど、かえって悪いイメージを抱かせる可能性があります。実態が伴わなければ悪いうわさがたち、候補者の獲得に苦戦する状況も想像できるでしょう。人材採用活動で「人財」と表記する場合には、実態を判断した上で、活用することが大切です。

また長期的な視点での教育や、福利厚生や給与などの待遇をよくすることで、本当に従業員を大切に扱うことにつながります。

人材採用の企業必見!会社に定着してもらうコツ

せっかく人材を採用できても、すぐに辞められてしまっては、採用活動を行った意味が半減してしまいます。人材を採用するのであれば、会社に定着してもらうことを意識する必要があるでしょう。会社に定着してもらいたいと考える場合には、以下のコツを意識することが大切です。

コミュニケーションを活発にする

コミュニケーションが希薄な現場は、活気に欠けるのはもとより、困ったことがあっても周囲に相談しにくい雰囲気が漂います。仕事上で不満や疑問があっても、一人で悩みを抱えやすく、離職につながりやすいでしょう。

一方でコミュニケーションが活発な組織は、相手を思いやる気持ちが芽生えやすく、周囲に困っている人がいたら手を差し伸べる傾向にあります。情報共有がしやすく、業務もスムーズに行いやすいでしょう。

コミュニケーションを活性化するには、定期的な1on1ミーティングの実施や、メンター制度の導入などが挙げられます。また従業員に対し「マルコポーロ」などで適性検査を実施すれば、適性に合わせた適切なコミュニケーションを取りやすくなります。

リモートワークの導入など労働環境を改善する

長時間残業や有休が取得できないなどの労働環境では、心身を休ませる時間が少なく、ストレスや疲労を蓄積した結果、離職につながりがちです。昨今ではワークライフバランスの両立を重視する風潮もあり、労働環境が悪い企業は、そもそも応募が集まりにくい傾向にあります。

従業員の定着率を高めるには、リモートワーク・フレックスタイム制を導入するなど、労働環境を改善する意識も必要です。柔軟に働ける環境が整えば、優秀な人材獲得にもつながるでしょう。

人材の配置を再考する

従業員にはそれぞれ向き・不向きがあり、苦手なポジションに配置されていると、モチベーション低下などによって離職率を高めてしまいます。人材の配置を再考し、能力を最大限に発揮できる環境に配置すれば、モチベーションやエンゲージメント向上につながり離職を防ぎやすくなります。意欲や帰属意識が高まった状態で仕事をすれば、生産性の効率化が期待でき、企業の業績向上や発展にもつながるでしょう。

人材配置を再考する方法として、各自への希望調査や、ジョブローテーションの実施が挙げられます。適性検査を実施すれば、従業員や企業も気付かないような適性を発見できる可能性があります。適性検査を希望する場合には、マルコポーロがおすすめです。

人材育成を成功させる方法

優秀な人材を獲得できても、適切に育成できなければ「宝のもち腐れ」に終わる可能性があるでしょう。また企業サイドが、従業員の意欲低下につながる方法をとっていれば、従業員が育つ前に離職される可能性も否定できません。

人材育成を成功させたい場合には、以下の方法を意識することが大切です。

良い人材(目指す人財)を明確化する

良い人材の定義は、企業や募集ポジションによって異なります。担当者によって「良い人材への認識」が異なると、それぞれの教育方法や評価結果が変わるなど、まとまりのない対応を取りがちです。例えばA部長からは「指示を的確にこなそう」といわれたにもかかわらず、B課長からは「ルールを覆す勢いで働いて下さい」といわれれば、従業員はどう行動すべきか悩むでしょう。

従業員の混乱を避けるためにも、良い人材の定義は必要です。定義が明確になれば、人材育成に向けた効率的なプログラムを用意しやすく、スムーズな育成につながります。

新入社員の研修・教育に注力する

新入社員の研修・教育に注力すると、主体的に取り組む人材を育てられます。各自の能力も底上げできるため、高いモチベーションで仕事に取り組んでもらえるでしょう。成長のきっかけを用意する企業に対し、信頼の気持ちが芽生え、エンゲージメントアップにもつながります。モチベーションやエンゲージメントが高まると、「この会社で頑張ろう」という思いが強くなり、離職防止も期待できます。

また新入社員は可能性の宝庫であるものの、すぐに能力が開花するとは限りません。研修・教育で能力を見極めながら、中長期的な視点をもち、根気強く向き合う姿勢も必要です。

経営理念・組織の価値観を伝える

経営理念や組織の価値観に共感できなければ、組織のために貢献しようとは思えないでしょう。優秀な人材だとしても、経営理念や組織の価値観に「共感できない状態」で仕事をすれば、他者に悪影響を与える人罪になる可能性があります。そのため、人材育成を成功させたい場合には、定期的に経営理念・組織の価値観を伝えることが大切です。経営理念や組織の価値観に「否定的な意見をもつ従業員」に対しても、肯定的な感覚で接しつつ、相互対話や意見交換をすると良いでしょう。

キャリア設計・将来やりたい仕事をふまえて能力の開発を促進する

人材育成を成功させるには、従業員に「働きがいのある会社だ」と思ってもらう必要があります。そのためには、企業からの一方的な対話ではなく、従業員のキャリア設計や将来やりたい仕事といった希望をふまえた「能力の開発促進」が大切です。従業員のキャリア設計や希望の業務に就ける状況を自社で実現可能にすれば、他社に行く必要がなくなり、定着率を高められます。

キャリア設計などをふまえ、従業員をサポートする際には、定期的な1on1の実施や人事評価制度の導入などが挙げられます。現状の希望を問う「アンケート」を実施しても良いでしょう。

期待していることを伝えるなど、成長意欲を刺激する

親から宿題を強要された子どものように、上司から命令されると、やる気が失せるものです。命令されると行動を強要されたと感じるため、目の前の仕事をこなすことしか期待できないでしょう。主体的な従業員を育成するには、愛情のある対応が不可欠です。従業員の可能性を信じて期待を伝えると、従業員の成長意欲を刺激することにつながります。上司から部下に対し、直接的に声をかける際には、「いつもありがとう。〇〇さんの積極的な姿勢はチームを良くすることにつながると思います」などと、感謝や誉め言葉も交えると良いでしょう。

まとめ

採用活動を成功させるには、人材と人財の意味を理解した上で、適切に使い分けることが大切です。また採用活動を成功させたあとに、定着率を高める意識も必要だといえます。とはいえ、一連の流れを企業内で完結させようとすると、リソース不足や担当者の負担などから、なかなかうまくいかないケースもあるでしょう。

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