企業の成長や目標達成には欠かせない人材募集。市況やトレンドの変化にともない、さまざまな手法が確立されています。

一方で、効果的な募集方法や具体的な手順がわからなかったり、募集はしているもののなかなか応募が集まらなかったりと、人材募集に苦慮している担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、無料・有料それぞれの人材募集の方法や、自社に適した方法の選び方を解説します。人材募集を成功させるコツもまとめているため、ぜひ参考にしてください。

人材募集の方法【無料】

人材募集とは、企業が自社に必要な人材を確保・雇用するために行う求人活動を指します。

人材募集には、無料でできるものから費用をかけて行うものまでさまざまな方法があり、企業のリソースや特色、採用ターゲットなどに合わせて適切な方法を選択したり、組み合わせたりするのが一般的です。

従来から活用されている方法に加えて、社会の変化や新たなテクノロジーの活用などによって、有効な方法やトレンドは移り変わります。

無料で行える具体的な人材募集は、以下のようなものが挙げられます。

  1. SNSを活用(ソーシャルリクルーティング)
  2. 自社ホームページ・自社求人サイト
  3. リファラル採用
  4. 大学や専門学校の求人媒体
  5. ハローワーク
  6. アルムナイ採用

SNSを活用(ソーシャルリクルーティング)

X(旧Twitter)・Instagram・FacebookなどのSNSを活用して求人情報を発信する手法は、「ソーシャルリクルーティング」とも呼ばれています。

各SNSは無料でアカウントを開設できるため、初期費用をかけずに取り組める点が魅力です。SNSは拡散力が高いため、運用次第で多くの人にリーチできたり、候補者と直接的な人間関係を構築できたりするメリットがあります。

一方で、アカウントを育てるための専門的な知識と相応の時間が必要であり、頻繁に情報更新を行うため工数がかかる点がデメリットといえます。

自社ホームページ・自社求人サイト

自社が保有・運営しているホームページや自社求人サイト(オウンドメディア)に求人情報を掲載する方法もあります。既に保有しているサイトがあり、整備や運用を内製化できる場合は無料ですが、難しい場合は費用をかけて外注する必要があります。

自社保有のためデザインや掲載内容を自由にコントロールでき、確度の高い候補者からの応募を見込めるのがメリットです。一方、自社ページやサイトへのアクセスを集めるのが難しく、即効性がない点がデメリットです。

リファラル採用

リファラル採用とは、自社の既存社員から友人・知人を紹介してもらい、採用につなげる採用手法です。

自社の状況をよく知る既存社員から紹介してもらうため、ミスマッチが起こりづらく、採用後も人材が定着しやすい傾向にあります。一方で、大人数の採用には向かない点や、採用後も紹介者と応募者の関係や扱いに配慮が必要な点がデメリットといえます。

リファラル採用には既存社員の理解と協力が不可欠なため、動機づけの一環として紹介してくれた社員にインセンティブを支給する企業が増えています。

大学や専門学校の求人媒体

大学や専門学校の掲示板や就職情報媒体に、自社の求人情報を掲載してもらうのもひとつの方法です。

就職課や就職支援センターなど、学校によって名称は異なりますが、学生の就職をサポートする専用窓口に自社の求人票を提出するのが一般的です。

求人情報の書き方や公開までの手順は学校によって異なるため、掲載を希望する学校のホームページや窓口などで確認する必要があります。応募数の予測は立てづらいものの、採用実績が作れれば学校側からの紹介を受けられる場合もあり、継続的な採用につながる可能性があります。

ハローワーク

ハローワークとは、厚生労働省が運営する公共職業安定所のことで、全国におよそ500箇所設置されています。

ハローワークに求人票を提出することで求人データベースに登録され、ハローワークに設置されている専用端末やインターネット上で公開されます。

公共サービスのため、利用や求人掲載には一切費用がかからず、多くの人の目に触れる可能性があります。一方で、求人が多いエリアでは自社の求人が埋もれやすいほか、自社が求めるターゲットとは異なる人材からの応募も集まってしまう点がデメリットです。

アルムナイ採用

アルムナイ採用とは、過去に自社を退職した人を再雇用する採用手法です。

対象は自社の内情や仕事内容を理解している人材のため、ミスマッチが少なく、即戦力人材として採用できるのが大きなメリットです。また、入社後の研修も最小限で済むため、育成コストを大幅に削減できる側面もあります。

一方で、出戻りを認めることで既存社員の退職のハードルが下がってしまうリスクがある点、既存社員から不満が出ないよう待遇や評価を配慮しなければならない点がデメリットといえます。

人材募集の方法【有料】

続いて、有料の人材募集の具体的な方法は以下のようなものが代表的です。

  1. 紙媒体の求人広告
  2. Web媒体の求人広告
  3. 求人検索エンジン
  4. ダイレクトリクルーティング
  5. 採用イベント
  6. 人材紹介
  7. 人材派遣

紙媒体の求人広告

紙媒体の求人広告は、Web媒体が登場する前から活用されている歴史の長い採用手法です。具体的な紙媒体として、求人雑誌・折り込みチラシ・貼り紙・パンフレットなどが挙げられます。

費用は掲載する媒体やエリアによって異なりますが、他の媒体に比べて比較的安価で利用できる傾向にあります。

現在はWebの求人広告が主流ですが、エリアを絞って募集したい場合や、Webより紙に親和性のあるターゲットを狙いたい場合などに対しては、まだまだ効果が期待できる現役の手法といえます。

Web媒体の求人広告

Web媒体とは、いわゆる求人サイトや転職サイトに求人広告を掲載し、それを見た求職者からの応募を募る採用手法です。

Web媒体とひとくちに言ってもさまざまな種類があります。例えば、業種・職種を問わずあらゆる求人を扱う総合型のサイトのほか、新卒・中途・業界・業種などを限定した特化型のサイトもあります。

広告費を支払って求人広告を掲載する先行投資型が一般的ですが、掲載は無料で採用が成立した場合のみ費用が発生する成果報酬型の媒体も存在します。

求人検索エンジン

求人検索エンジンとは、求人情報のみを扱う検索エンジンであり、複数の求人サイトの情報がまとめて検索結果として表示されるのが特徴です。

求人情報を無料で掲載することもできますが、有料サービスを選択したほうが利用者への露出が増える仕組みになっています。

利用者のクリック数に応じた従量課金制を採用しているものもあり、費用が決まっているWeb媒体・求人広告に比べて、予算の範囲内で無理なく無駄なく運用できる点がメリットです。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、企業側から求職者・候補者にアプローチする採用手法全般を指します。

例えば、求職者のデータベースから求める人材を抽出してスカウトを送る「ダイレクトリクルーティングサービス」や、求人サイトのスカウト機能、SNSのDMを使った方法などが代表的です。

「求人情報を何らかの形で発信して応募を待つ」という従来の手法に対して、企業側から能動的にアプローチするダイレクトリクルーティングは「攻めの採用」と呼ばれています。

採用イベント

採用イベントとは、合同企業説明会や転職イベントのことで、会場を訪れた求職者と直接コミュニケーションを取れる数少ない採用手法のひとつです。

大手人材サービス企業が主催しているケースが多く、参画企業はそれぞれブースを構えて来場者(求職者)に声掛けや企業説明を行います。自社を認知していなかった求職者にも直接アプローチできるため、認知度の低い中小企業やスタートアップ企業でも人材と接点を持てるチャンスがあります。

人材紹介

人材紹介とは、企業が求める人物像をオーダーしておくことで、マッチする人材を紹介してくれるサービスです。

ほとんどのサービスが採用完了時のみ費用が発生する成果報酬型を採用しており、紹介の依頼・求職者の連絡代行・日程調整などはすべて無料で行ってくれる点が魅力です。

ハイキャリア人材や専門知識を有した希少な人材などの採用に適している一方で、採用した人材の理論年収の30~35%が費用相場のため、一人あたりの採用コストが高額になる傾向にあります。

人材派遣

人材派遣とは、派遣会社が雇用しているスタッフを派遣してもらう形態で、「他社(派遣会社)から人材を借りる」と考えるとわかりやすいでしょう。

自社が必要な人材の条件や人数などをオーダーし、あらかじめ派遣会社に雇用されている人材の中から条件に合った人材を派遣してもらいます。比較的スピーディーに人員を確保できるため、繁忙期や急な欠員への対応として利用されるのが一般的です。

ただし、比較的難易度の低い業務にしか対応できない点や、自社社員に比べて帰属意識が低くなる点がデメリットといえます。

人材募集の方法を選ぶポイント

人材募集を行う際に、どの方法が最適なのかは状況によって異なります。自社の状況に合った人材募集の方法を選ぶためには、以下3つのポイントを基準にしましょう。

  1. 採用ターゲットやペルソナに合う方法を選ぶ
  2. 割ける費用と人員から選ぶ
  3. 採用スケジュールから選ぶ

採用ターゲットやペルソナに合う方法を選ぶ

より適した人材募集の方法を選ぶためには、先に採用ターゲットやペルソナを明確にすることが重要です。どのような人材にアプローチしたいかによって、選ぶべき方法が決まるためです。

まずは年齢層・経験年数・保有スキルなど、求める人材の要件を定義しましょう。そこからさらに、具体的な年齢や家族構成、年収・職歴・性格などを肉付けしたペルソナを設定します。

設定したペルソナから逆算して、そのような人材が使用するであろう媒体を選定すると、より自社に合った方法が見つかるはずです。

割ける費用と人員から選ぶ

自社が割ける費用と人員も人材募集の方法を選択する際のポイントです。

例えば、採用予算が多く人員が少ない場合は、採用業務の一部を代行してくれる人材紹介が選択肢に入るでしょう。

逆に、予算が少なく人員が多い場合は、自社サイトの整備を行いつつ、リファラル採用・アルムナイ採用・ハローワークなどを組み合わせることで、費用を抑えて人材を募集できます。

割ける費用と人員には限りがあるため、リソースを最大限活用できる方法を選択することが大切です。

採用スケジュールから選ぶ

自社が計画している採用スケジュールによっても、選ぶべき方法が異なります。人材募集の方法によって、効果が出るまでの時間や採用までにかかる時間に差があるためです。

急な欠員など早急に人材を確保しなければならない場合は、人材派遣・求人広告などが適しています。一方、ソーシャルリクルーティングはアカウントの作成からメディアが育つまでにある程度の時間がかかるため、短期的な採用には不向きといえます。

人材募集を成功させるコツ

自社に合った方法を選択する他にも、人材募集を成功させるためのコツが存在します。特に以下の3点を押さえておくと良いでしょう。

  1. 採用マーケットを知る
  2. 自社の採用課題を明らかにして改善する
  3. 選考期間を短くする

採用マーケットを知る

人材募集を成功させるためには、採用マーケットを正しく知ることが大切です。

例えば、業界・業種・職種によって有効求人倍率が異なり、同じ職種でも需給関係によって給与相場が変動します。また、人材募集をする時期によって全体の求人数や求職者数が変わり、新しいテクノロジーの登場や市況の変化によって、募集方法のトレンドも移り変わります。

このようなマーケットの変化やトレンドを適切に捉えることが、採用の難易度を下げること、ひいては人材募集の成功へと繋がるでしょう。

自社の採用課題を明らかにして改善する

自社の採用課題を明らかにして改善することも大切です。採用課題は企業によって異なりますが、以下のようなものが挙げられます。

  • 応募が少なく母集団形成に苦戦している
  • 採用はできているがコストを下げたい
  • 採用担当者だけでは採用業務が回っていない

このような課題は人材募集を行う際の弊害になっている場合が多いため、原因を究明して改善することでより効率よく人材募集を行える可能性があります。

選考期間を短くする

できるだけ選考期間を短くすることも人材募集を成功させるコツです。応募者は複数の企業に並行して応募している場合が多く、選考が長引くことで他社に流れてしまうリスクが高まるためです。

近年はオンラインによる選考が主流になりつつあり、選考や結果の通知がスピーディーになってきています。また、結果の通知が遅い企業よりも、早い企業のほうが採用意欲の高さや熱意が伝わる傾向にあるため、選考期間は短いに越したことはないでしょう。

費用や特徴を踏まえて自社に合う人材募集方法を選ぶ

無料のものから有料のものまで、さまざまな方法がある人材募集。自社にとって最適な方法を選ぶためには、採用ターゲットや割ける費用・人材を明確にすることが大切です。

方法によって効果が出るまで、または採用までにかかる時間が異なるため、計画している採用スケジュールに合っているかどうかも検討する必要があります。

また、人材募集を成功させるためには、採用マーケットをよく知り、的確に課題を解決することが必要不可欠です。

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