企業の持続的発展を目指すために、新卒採用はかかせません。新卒を適切に採用することで、人員の充足はもとより、長きにわたり活躍する人材の確保が可能になります。

新卒採用を適切かつスムーズにすすめるには、最適なスケジュールの用意が必要不可欠です。とはいえ、スケジュールの作成方法がわからない人も多いでしょう。

そこで今回は、新卒採用における「適切なスケジュールの作成方法」をはじめ、採用手法についても紹介します。

新卒採用をする目的

新卒採用に明確な定義はないものの、一般的には大学・専門学校・高校などを卒業したばかりの学生を採用することです。新卒採用を実施するメリットは、即戦力になる中途のベテラン採用とは異なり、あえて未経験かつ若い世代を採用する部分にあります。

以下に、新卒採用の目的を詳しく解説するので、早速チェックしてみましょう。

次世代以降の人材確保

新卒採用を定期的に実施すると、次世代以降の人材確保につながります。なぜなら、将来的に管理職や幹部候補になる人材を、早い段階から育成できるからです。

新卒は育成にコストや時間がかかるものの、一度「人材育成」のシステムが確立すれば、基本的に同様のプログラムを実施すれば良いといえます。また新卒は他社を経験していない分、自社への愛着心や忠誠心が芽生えやすいでしょう。そのため、長期的な視点で「企業の発展」につながります。

運営効率の改善

新卒採用者のほとんどは10代・20代の若い人であり、社会人経験もありません。ビジネス経験が乏しい若者には、「教育コストがかかる」とマイナスの印象をもつ人もいるでしょう。

しかしビジネス経験がない若者の育成は、企業の運営効率を改善するきっかけになります。なぜなら、経験がゼロの若者を育てるには、「マニュアルの改善」や「教育環境の整備」が求められるからです。

環境を整備するうちに、より良い人材育成方法を見出すことも多いでしょう。より良い人材育成方法の発見は運営効率の改善につながり、ひいては企業の成長に結びつきます。

企業理念の体現

新卒採用を実施すると、企業理念の体現につながります。なぜなら、新卒は他社を経験していないため、自社の企業理念が基準になるからです。

一方中途採用者は経験がある分、価値観や信念が確立しているケースも多いでしょう。価値観や信念が確立した人に企業理念の浸透を試みるより、まっさらな新卒社員に試みる方が浸透率は高まります。厳しいルール設定や結果主義を貫かなくとも、企業理念が浸透した社員が増えれば、企業理念の体現が実現します。

社員に「企業理念を理解して働いてほしい」と考える場合には、中途採用よりも新卒採用の方が効果的です。

 

新卒採用のスケジュール

新卒採用は、中途採用のように「ニーズが発生したら採用」ではありません。あらかじめ採用スケジュールを決めて実施します。無計画に新卒採用を行なうと、新卒者の一般的なスケジュールと合わず、人材獲得が難しくなるでしょう。

以下にて、「企業側の一般的な採用スケジュール」と「新卒者の一般的な就活スケジュール」を紹介します。

企業側の採用スケジュール

採用スケジュールは、政府が発表する「就活・採用活動に関する要請」に準じるケースが一般的です。2023年度の卒業予定者に向けて政府が提唱するスケジュールは、以下の通りです。

  • 広報活動開始…卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
  • 採用選考活動開始…卒業・修了年度の6月1日以降
  • 内定日…卒業・修了年度の10月1日以降

参照元:内閣官房ホームページ
上記から、2023~2024年における中小企業の採用スケジュールを想定します。
(※大企業の内定時期に差をつけ、内定を2回にわけるケースあり)

【インターンシップ】
2023年6月~2024年2月_夏・秋冬・年明け

【第一次採用】
2023年12月~2024年2月_説明会開催
2024年2月~4月_選考・面接、内定者を決定

【第二次採用】
2023年6月~2024年8月_説明会開催
2024年7月~10月_選考・面接、内定者を決定

新卒者の就活スケジュール

新卒者の採用を実施する企業にとって、学生の就活スケジュールを把握することはかかせません。なぜなら、学生の動きに合わせてスケジュールを作成することで、採用の可能性を高められるからです。

新卒者の目線で見た、「2023年~2024年」における一般的な就活スケジュールの例は以下の通りです。

<新卒者の就活スケジュール例>

【インターンシップへの参加】
2023年6月~2024年2月_自身のタイミングで参加

【実際に応募する】
2024年3月~5月_説明会参加・エントリー・ES提出

【選考に参加する】
2024年6月~2024年9月_面接・グループディスカッション

【内定】
2024年10月_内定式に参加

 

2024~2025年度新卒採用のスケジュール作成方法

つづいて、2024年~2025年度の新卒採用に向けた「採用スケジュール」の作成方法について解説します。適切なスケジュールを作成するには、ポイントを押さえる必要があります。なぜなら、ライバル企業も綿密に作戦を練ってスケジュールを作成するからです。

以下の内容を押さえたうえで、スケジュールを作成すると良いでしょう。

政府の要請を確認する

2018年までは、経団連の就活ルールに則った「新卒採用のスケジュール作成」が一般的でした。しかし採用活動の早期化がすすみルールが形骸化したことから、政府の「就職・採用活動に関する要請」に準ずる流れになっています。そのため、多くの企業が政府の要請を参照しつつ、新卒採用のスケジュールを組んでいます。

自社でスケジュールを作成する際にも、政府の要請を参考にすると、新卒採用市場の動向から外れにくくなるでしょう。早めにスケジュールを作成したい場合には、前年の「就職・採用活動に関する要請」を参考にする方法があります。

過去のスケジュールを振り返る

これまでに新卒採用を実施した経験がある場合には、過去のスケジュールを振り返ると良いでしょう。過去の内容を基盤としたうえでスケジュールを作成すると、まっさらな状態から作成するよりもスムーズです。

とはいえ、採用市場は環境に応じて常に変化するため、過去のスケジュールを今年度もそのまま適用できるとは限りません。現段階の環境に合った最適な方法を考えながら、スケジュール調整をすると良いでしょう。加えて、過去のスケジュールでうまくいかなかった点を見直しながらブラッシュアップすると、より良い採用活動が実現します。

競合他社の動向を参考にする

競合他社の動向(活動開始時期・選考日程・手法など)を参考にすると、自社では気づかなかった「より良い採用活動のコツ」が見えることもあるでしょう。

また、選考日程が同時期になるケースを防止できます。たとえば自社が中小企業の場合には、同業界の大企業との選考時期をずらすことも1つの方法です。大企業の選考時期の前後で学生にアプローチすると、採用の可能性が高まります。

とはいえ、学生の動向とかけ離れたスケジュールを作成すると、採用に結びつきません。競合他社の動向を参考にしつつ、適切な時期に実施する姿勢が大切です。

ターゲットを決める

基本的な「就活生の就活スケジュール」は存在するものの、あくまで基本です。体育会系の部活に入っている学生や公務員試験に挑戦している学生など、各自の背景によって就活スケジュールは変わってきます。

そのため、「自社で狙いたい新卒者はどういった人物か?」を考え、ターゲットを明確にすることが大切です。ターゲットによってスケジュールも変化させることで、採用できる可能性が高まるでしょう。またターゲットが決まると、インターンシップや会社説明会に参加した学生に対し、ピンポイントでのアプローチも可能です。

 

新卒採用の手法

ひとくちに「新卒採用の手法」といっても、さまざまな内容が存在します。

それぞれの特徴を理解したうえで、自社に合った採用手法を選ぶと良いでしょう。なぜなら、適切な「採用スケジュールの準備」と「採用手法の活用」によって、スムーズな採用が実現するからです。

新卒採用の手法について、以下の詳細をチェックしてみましょう。

新卒紹介コンサルティングサービス

新卒紹介コンサルティングサービスとは、専任のコンサルタントが、企業と新卒者をマッチングしてくれるサービスです。転職エージェントの新卒バージョンと考えると良いでしょう。

自社のターゲットに応じて新卒者を紹介してくれるため、効率的に採用活動をすすめられます。また「学生に対する企業説明」や「新卒採用スケジュールの作成」もサポートが可能なことから、忙しい担当者の負担も軽減できるでしょう。

kimeteの新卒紹介コンサルティングサービスでは、「新卒者の紹介」「採用計画の立案」「選考フォロー」「内定者研修」まで、ワンストップでの実現が可能です。企業様に合わせたオーダーメイドのサービスにも対応します。

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新卒採用サイト

新卒採用サイトとは、新卒採用の専門サイトであり、就活に関する情報収集や応募が可能です。既存の求人・広告サイトの利用で情報を掲載するケースと、自社でオリジナルの新卒採用サイトを用意するケースがあります。Webでのアプローチであり、新卒採用に特化している点から、幅広く就活生にアピールができるでしょう。

既存の求人・広告サイトを活用すれば、すでに完成したフォーマットに入力するため、企業担当者の負担を減らせます。DM機能を備えた新卒採用サイトを利用すれば、気になる求職者へのアプローチも可能です。

イベント

イベントの代表例として、会社説明会やセミナーが挙げられます。

一度に多くの就活生と出会って確率を高めたい場合には、大規模イベントへの参加がオススメです。とはいえ大規模イベントはライバルが多いため、他社との差別化がかかせません。

求職者とじっくり話をしつつマッチ度を高めたい場合には、中小規模のイベント(グループワーク・座談会など)がオススメです。大規模イベントよりもターゲットを細分化しているため、マッチ度が高くなります。

直接採用

直接採用とは、各種サイトやSNSなどを通じて「直接的に採用する手法」であり、攻めの採用手法だといえます。人材のデータベースから自社に合った人を見つけてアプローチすれば、マッチングの可能性が高まるでしょう。

また直接採用は、他社がアプローチする前に就活生を囲い込める点が特徴です。一方で、ターゲットに即したスカウト文を作成することから、手間がかかります。同時に就活生の興味をひく文章が必要なため、一定の文章力も要します。

リファラル採用

リファラル採用とは、社員や取引先などから、自社に合いそうな人を紹介してもらう採用手法です。中途採用ではもとより、昨今では新卒採用でも活用されています。自社の事情を知る人から紹介してもらうため、マッチングの精度が高い点が特徴です。

縁故採用(いわゆるコネ)とは異なり、面接や適性試験に合格する必要もあるため、一定基準を満たしています。「不採用のケース」もあることから、紹介者に事情を伝えておく必要があるでしょう。

その他

先述の新卒採用手法に該当しない「その他」の採用手法も存在します。たとえば、ハローワークや大学内での新卒採用活動です。

「幅広くターゲットを探したい」や「費用をおさえたい」場合には、ハローワークの活用も1つの方法です。また大学と良い関係性を築けると、大学内の新卒採用活動に参加できるかもしれません。たとえば、「大学限定の就活イベントに参加できる」や「大学教授が学生に自社を紹介してくれる」などです。

 

新卒採用を成功させる方法・戦略

昨今ではさまざまな業界・業種において、少子高齢化の加速による「人手不足」が顕著です。そのため、中途採用のみで対応していた企業が、新卒採用も併用する事例が見受けられます。新卒採用を成功させたい場合には、ライバルに差をつけるべく、戦略やコツが必要です。以下に、新卒採用を成功させる方法・戦略について解説します。

毎回の採用人数を固定する

経済情勢や会社の状況によって、新卒採用の人数を変動させる会社もあるでしょう。

しかし、新卒採用をすると決めたら、毎年の採用人数を固定することをオススメします。なぜなら、毎回の採用人数を固定すると、大失敗を避けやすくなるからです。

採用人数を変動させると、売り手市場で各社が採用に苦戦する時期には、一定レベルに満たない新卒者を採用することになるでしょう。すると、社内の生産性や職場環境などに悪影響を与えかねません。また常に採用人数を固定すれば、入職者と退職者を一定に保てるため、慌てて中途採用をする必要もなくなります。

応募者を増やす

応募者が増えるほど、大きな母集団の形成が可能です。また母集団が大きくなるほど、良い人材に出会える可能性は高まります。

昨今は少子高齢化による「慢性的な人手不足」であり、各社で人材の争奪戦が繰り広げられています。加えて新卒採用は他社も似たようなスケジュールで実施するため、人材獲得に苦戦する企業は多いでしょう。そのため、新卒採用で良い人材を獲得したい場合には、精度の高い母集団を増やすことが不可欠です。応募者を増やすには、狙いたいターゲットや予算などに応じて、最適な採用手法を選ぶと良いでしょう。

採用計画をもとに採用スケジュールを作成する

採用計画とは、「いつまでに・どういった人物を・何人採用する」といった、採用を成功させるための計画です。計画をもとに採用活動をするため、効率的な採用が実現します。

採用計画は、以下のような手順ですすめます。

  • 1、採用目的の明確化(例:新卒採用で安定的な人材確保を目指す)
  • 2、採用条件の明確化(どういった人材を採用するか)
  • 3、採用人数の決定(予算や業務量から採用人数を決める)
  • 4、採用手法を選ぶ(予算やターゲットから最適な採用手法を選択)

「採用目的」を達成する時期から逆算し、適切な採用スケジュールを作成しましょう。

採用計画について詳しく知りたい場合には、以下の記事もご参照ください。

内部リンク:「採用計画」

 

まとめ

新卒採用を成功させるには、適切なスケジュール作成と自社に合った採用手法の選定が不可欠です。コツを押さえて新卒採用を実施すれば、実りある採用が実現するでしょう。

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