厳選採用とは?
厳選採用とは、企業が求める基準を高く設定し、スキルや経験、カルチャーフィットなどにおいて真に自社にマッチする優秀な人材のみを絞り込んで採用する手法です。採用する人数の多さよりも、人材の「質」を最優先に重視する点が大きな特徴です。
厳選採用が取り入れられる背景
近年、多くの企業で厳選採用が注目されています。その背景には、労働市場の変化や企業を取り巻く状況などが深く関わっています。
一度採用すれば社員をクビにするのが困難
日本の労働法制では、一度正社員として雇用すると、企業側の都合で簡単に解雇することは非常に困難です。そのため、入社後のミスマッチやパフォーマンス不足によるリスクを防ぐために、入り口である採用の段階で妥協せず、厳格に見極める必要性が高まっています。
不況の中で最大限のパフォーマンスを発揮する必要がある
経済の不確実性が高まり、先行きが不透明な状況下において、企業は限られた人的リソースで最大の成果を上げる必要があります。教育コストや時間をかけずに自走でき、すぐに業績に貢献できる優秀な人材をピンポイントで獲得する需要が増加しています。
厳選採用を取り入れるメリット
厳選採用を実施することで、企業は様々な恩恵を受けることができます。ここでは主なメリットを解説します。
リスクを軽減し優秀な人材を獲得できる
採用基準を高く保つことで、スキル不足やカルチャーアンマッチによる早期離職、あるいは業務でのパフォーマンス不良といった採用リスクを大幅に軽減し、自社にとって確実にプラスとなる優秀な人材を確保できます。
育成を最小限にし、即戦力を獲得できる
すでに高いスキルや豊富な経験、専門知識を持つ人材を採用するため、入社後の基礎教育や研修にかかる時間とコストを最小限に抑えることができます。配属後すぐに実務で活躍してもらうことが可能です。
採用のミスマッチを防げる
面接や選考プロセスにおいて多角的に候補者を評価し、企業文化や業務内容との適合性を深く確認するため、入社後の「思っていた職場と違った」というミスマッチを効果的に防ぐことができます。
長期的に人材にかかわる費用を抑えられる
一人あたりの採用単価自体は高くなる傾向がありますが、定着率が高く、早期離職による再採用コストや教育コストが削減されます。長期的な視点で見ると、トータルの人件費や採用関連コストの最適化につながります。
厳選採用で用いられる手法・ポイント
厳選採用を成功させるためには、従来の手法にとらわれない戦略的なアプローチが必要です。効果的な手法やポイントを紹介します。
募集時点で厳格な基準を定める
求める人物像(ペルソナ)を明確にし、必須スキル、経験年数、価値観などの採用基準を募集要項の段階で厳格に設定します。これにより、ターゲット層以外の応募を事前に防ぎ、選考の効率を高めます。
大手就職・転職サイトの活用
母集団形成のために大手サイトを活用しつつも、スクリーニングの条件を細かく設定します。自社の求める高い基準を満たす人材だけが選考プロセスに進めるような適切なフィルターを設けることが重要です。
リファラル採用
自社の社員から、自社にマッチしそうな優秀な知人や友人を紹介してもらう手法です。自社の社風や業務をよく知る社員が事前にスクリーニングを行っている状態となるため、マッチング精度が高く厳選採用に非常に適しています。
ダイレクトリクルーティング
企業側から、求めるスキルを持つ候補者に直接スカウトメッセージを送る手法です。人材データベースから自社の要件に合致する人材をピンポイントで探し出してアプローチできるため、質の高い母集団形成が可能です。
構造化面接
あらかじめ評価基準と質問項目を明確に定めておき、すべての候補者に対して同じ手順・同じ質問で面接を行う手法です。面接官の個人の感覚やバイアスを排除し、客観的かつ精度の高い評価が可能になります。
厳選採用を取り入れる際の注意点
メリットの多い厳選採用ですが、導入にあたってはいくつか気をつけるべきポイントもあります。
そもそも応募者が優秀でない可能性も
採用基準だけを高く設定しても、自社の魅力づけや採用ブランディングが不足していると、そもそもターゲットとなる優秀な人材からの応募が集まらず、採用活動自体が停滞してしまう事態に陥る可能性があります。
会社に新しいアイデアを取り入れられない
既存の優秀な社員と同質性の高い人材ばかりを採用してしまうと、組織の多様性(ダイバーシティ)が失われるリスクがあります。異なる視点が欠け、イノベーションや新しいアイデアが生まれにくくなる恐れがあります。
人手不足や業務過多に悩む企業には向かない
厳選採用は、ターゲットの選定から口説き落とすまでに時間がかかる傾向があります。今すぐ人手が必要な部署や、慢性的な業務過多に陥っている企業の場合、採用が間に合わず現場の負担をさらに悪化させてしまう恐れがあります。
自社に採用ノウハウが蓄積しない
優秀な人材を見つけるために、外部のヘッドハンターやエージェントに頼りきりになってしまうと、自社内に「優秀な人材を見極め、惹きつける」という採用ノウハウが蓄積されず、長期的な採用力の強化につながりません。
まとめ
厳選採用は、入社後のミスマッチを防ぎ、即戦力となる優秀な人材を獲得できる強力な手法です。しかし、採用難易度が高く時間もかかるため、自社の採用力や組織の状況に合わせた慎重な導入が求められます。自社の課題や目的に応じて、適切な採用手法を選択・設計していきましょう。